2021年の韓国の話題を振り返ると、キーワードはエンターテインメントだ。特にネットフリックスなどインターネット経由のメディアサービスを通して、映画やドラマ、バラエティ番組を観ることが一般的になり、さらにコロナ禍でテレビ番組に熱狂する人が増えた。なんといっても『イカゲーム』と『スウパ』だろう。『スウパ』とはMnetで2021年8月から2カ月間放送された『ストリートウーマンファイター』(SWF)の通称で、大人気となったダンスバトル番組だ。
ふたつの共通点は、強い女性像というのも興味深い。『イカゲーム』は困難な現実の中で強かに生きる女性たち、『スウパ』は夢を目指すパワフルな女性たちが主役だった。ここ数年は男性中心の番組が人気だったからこそ、新鮮さが際立ったようにも思う。
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2021年エンターテインメント界で最も話題になった『スウパ』こと『ストリートウーマンファイター』。8月24日から10月16日まで毎週1回放送された。
すでに日本でも知られる『イカゲーム』はさておき、韓国にストリートダンスブームを巻き起こした『スウパ』に注目したい。コロナ禍でダンス動画は世界的トレンドでもあったが、韓国ではこの番組によってお茶の間にもブームが到来した。
スウパは8つのダンスチームが頂点を目指して競う番組で、決勝にはHoly Bang(ホーリーバング)とHook(フック)というチームが残り、ホーリーバングが優勝した。 最初はBOAら審査員が評価していたが、番組の中盤からは審査員のほかに視聴者の投票やチームの動画のアクセス数も合わせて評価されるようになり、視聴者参加型の展開となった。人気の理由は、誰もが地道に努力すれば認められ、多くの人から支持を得られるという韓国人が共感しやすいストーリー。
けれど、ブームのいちばんの立役者は各チームリーダーたちの魅力だ。彼女たちの人気はスターを越えるほど急上昇し、番組が終わったいまもうなぎ上り。番組出演前から、Kポップアイドルの振り付けを担当したり一緒に舞台に立つなどしていた彼女たちだが、バックダンサーとしてのこれまでと違い、いまでは立派な主役。最近は芸能界のキャスティングランキングの上位を占め、広告業界からも多くのラブコールを受けている。今後もそんな彼女たちの活躍ぶりをぜひチェックしてみよう。
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ハニージェイ / Holy Bang
ホーリーバングをスウパで優勝に導いたリーダーのハニージェイは、ガールズヒップホップ分野で独自のスタイルを確立した。投稿ではボッテガヴェネタを着こなしている彼女、最近アナスイのアクセサリーアンバサダーに就任。
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アイキ / HOOK
ホーリーバングとともに決勝まで昇りつめたフックのリーダー、アイキ。2019年NBC「ワールドオブダンスシーズン3」でベスト4まで進み話題となったダンサーだ。親しみやすくもクリエイティブなダンスにファンが多い。
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モニカ / PROWDMON
芸術性のあるダンスで好評を博しているプラウドマンのリーダー、モニカ。女優のような美しさでクールなイメージとギャップのある気さくなキャラクターで人気。パルファン・クリスチャン・ディオールのホリデーアイテムをPR。
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ガビー / La Chica
多くのKポップスターの振り付けを担当するラチカのリーダー、ガビー。ハイテンションなキャラクターとおしゃれのセンスで人気を集めている。エキゾティックな雰囲気も彼女の魅力だ。
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ノゼ / WAYB
アイドルのようなルックスで注目を集め、ミュージッククリップや広告、メディアにもひっぱりだこのノゼ。番組で踊った楽曲「Hey Mama」の振り付けが大人気となり、多くのファンにカバーされている。

鄭慈卿 Ja-Kyung Jung
チョン・ジャキョン、ソウル生まれ。映画制作会社の演出部を経て、メディアコーディネーターに。日本語は独学で習得。雑誌を中心に書籍、テレビ、広告、ブランド、スポーツなどのコーディネーションを担当。 Instagram: @mademoiselle_pudding