スープ編 from ソウル 韓国で二日酔いに欠かせない牛の血のスープ。

世界は愉快 2022.01.11

鄭慈卿 Ja-Kyung Jung

 

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今年も寒いソウル。雪で霞むソウルNタワー。

クク、チゲ、タン(湯)、チョンゴル(鍋)、韓国の食卓には汁物がないと何だか物足りなくて寂しい。もともとは朝スープを飲む習慣があるが、特にお酒を飲んだ翌朝は必ず酔い覚ましスープ「ヘジャンクク」から始める。体内に溜まったアルコールの分解を助け疲れた胃腸に再び活力を与える、韓国人にとって“復活”するための重要なルーティンだ。

へジャンククとは、もやしスープ、スケトウダラスープ、ウゴジ(乾燥白菜)スープなど解腸ククの総称。なかでも代表的なのが、疲労回復効果が高くビタミンAが豊富な牛の血のスープ「ソンジヘジャングク」だ。牛の血は貧血の予防と改善に役立つほかデトックス効果も期待でき、高タンパクで低カロリーな食材。だから女性には美容食としても人気がある。牛の血のほかには外バラ肉、白菜、もやしが入っており、おろしニンニクと味噌で煮込んだスープは淡白な味わいだ。

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有名店チョンジンオク(清進屋)の「ソンジヘジャンクク」は、牛の血やセンマイがたっぷり。ゼリー状の牛の血は熱湯に入れると固まり茶色に変化する。365日24時間絶えず釜で煮込まれたスープは滋味深く世代を問わず人気。photo: Cheongjinok

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1980年代のチョンジンオク。photo: Cheongjinok

ヘジャンククの起源については定かではないが、ヘジャンククという名称は朝鮮時代(1392年~1910年)から登場し現在にいたる。70~80年代まで明洞と並ぶソウルの繁華街だった鍾路区清進洞(チョンジンドン)には専門店がひしめく「ヘジャンクク通り」と呼ばれる路地もあった。いまは再開発による地価の高騰などで多くの店が立ち退きオフィス街に。1937年創業の老舗チョンジンオク(清進屋)ともう1軒だけが残っている。

韓国人のヘジャンククへの愛情は格別。ヘジャンククは心身に染みわたるおいしさなので、ヒーリングフードとしてもおすすめだ。機会があれば牛の血のスープ「ソンジヘジャンクク」もぜひトライしてみてほしい。
 

チョンジンオクでは家でも簡単に味わえるレトルトパックも販売している。

photography & text: Ja-Kyung Jung

鄭慈卿 Ja-Kyung Jung

チョン・ジャキョン、ソウル生まれ。映画制作会社の演出部を経て、メディアコーディネーターに。日本語は独学で習得。雑誌を中心に書籍、テレビ、広告、ブランド、スポーツなどのコーディネーションを担当。 Instagram: @mademoiselle_pudding

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