注目の女性リーダー編 from コペンハーゲン 王室人気の立役者、祝デンマーク初の女王在位50周年!

世界は愉快 2022.02.02

文/冨田千恵子(在コペンハーゲン、ライター)

2022年1月14日、デンマークの女王マルグレーテ2世が在位50周年を迎えた。新型コロナウイルス感染対策で祝賀行事は縮小されたとはいえ、久々の明るいニュースに国中がお祝いムードに包まれた。

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デンマーク王室ファミリーの記念写真。右端にはモデルとしてランウェイを歩いた、孫のニコライ王子の姿も。©Steen Brogaard, Kongehuset 

デンマーク初の女王マルグレーテ2世、在位50周年の功績とは?
 

女王は、前王フレデリック9世の長女として、1940年に誕生。バレエや絵画が好きな快活なプリンセスとして、幼い頃から国民に人気があったという。1953年に実施された王位継承法改正に関する国民投票で、女子が王位を継承する法案が可決され、72年に女性として初めて王位についた。以来、立憲君主制の近代化に尽くし、デンマーク王室は「開かれた王室」として、世界でも人気のあるロイヤルファミリーのひとつとなっている。

即位当時は君主制に反対する意見が多かったが、2016年にEpinion for DR(国営放送DRの調査)が行った世論調査によると、国民の71%が君主制を存続すべきと答え、廃止派の15%を大きく上回った。
 

女王が国民に人気がある理由は、その親しみやすさだ。たとえば、王室唯一の愛煙家であることを隠さないし、女王のモノマネで人気を博したコメディアンのステージにサプライズで「本物」として登場するなど、どこか茶目っ気のある人柄が感じられるからかもしれない。
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デンマークのマルグレーテ2世女王陛下、御年81歳。©Per Morten Abrahamsen 

それがよくわかったのは、在位50周年を記念し、「女王様への質問」というデンマーク国営放送の特別番組でのこと。小学生から、アーティスト、タクシーの運転手まで、年齢も職種もさまざまな18人が城に招かれ、女王に直撃質問をした。たとえば、「大切な伴侶(2018年に逝去したヘンリック高配)を亡くした悲しみからどう立ち直りましたか?」から「お食事中にテレビを観ることはありますか?」や「体型維持のために特別な運動はされていますか?」など。時に涙ぐんだり、笑ったりしながら、どの質問にも、丁寧に答える姿が印象的だった。

また、大晦日に行なわれる女王のテレビでのスピーチは、年越しパーティ前の恒例行事。「これを聞かないと年越し気分になれない」というデンマーク人も多い。特にコロナ禍では国民を励まし続け、ひとつにまとめようと努めている女王のスピーチは心に響いた。国民のモラルサポーターとして50年間努力してきた女王は、究極の女性リーダーと呼ぶのに相応しい。
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1972年の女王の布告映像。

text: Chieko Tomita

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