大人の習い事 from スウェーデン スウェーデンの森の精ムッレに学ぶ、自然と生きる知恵。

世界は愉快 2022.03.10

神咲子

スウェーデンは2022年2月9日をもってコロナ規制がすべて解除されたため、特にコンサート、ダンス、演劇などの館内での催しが以前の賑わいを取り戻している。だが、パンデミック以降もアウトドア人気が相変わらず高い。

●IMG_20210929_183957.jpg

photography: Jessica Dahl

もともとトレーニング好き、ランニング好き、散歩好きが多いスウェーデン人だが、極寒の真冬でもスウェーデンにはこれほどの人がいるのかと思うぐらい野外で身体を動かす人々を大勢見かける。

---fadeinpager---

そんなスウェーデンで圧倒的な人気を誇るアウトドア系トレーニングが「Vildmarksäventyr för Vuxna(荒野のアドベンチャー 大人用コース)」だ。主催するのは国内に約300の支部がある「Friluftsfrämjande」(フリールフツフレムヤンデ、青空推進団体の意)。スウェーデン流ゆるキャラ「スコーグスムッレ(森の精ムッレ)」がマスコットだ。国民の健康と生活向上、自然への敬意をはらうことを目的にさまざまな野外活動を教えている。コロナ禍限定の予定だったが参加希望者が絶えないため、いまは定員も増やしレッスン回数も増やしている。

もともとスウェーデンでは、子どもたちが森の精ムッレから森での作法を教わると考えられていた。現代では、ムッレに扮するリーダー(大人)が子どもたちに森での決まりごとや自然を大事にする心を説きながら、一緒に森を冒険する。その大人版が「荒野のアドベンチャー」。ストックホルムから約200km西に位置するオーレブロー市支部が、2020年の春から始めたコースだ。当時の規制に則して定員5名でスタートしたという。

●50235432238_8c8901d2d9_k_Skogsmulle läser.jpg

もともと子どもを対象とした森の精ムッレによる野外レッスンは、すべての自治体で開催されている。なかには家族で参加できるものも。photography: Friluftsfrämjande

 

●50293705018_380b8418fe_k_skogsmulle_figur.jpg

雷鳴とともに嵐の日に生まれたという森の精ムッレは、子どもたちと一緒に遊び歌う自然界のシンボルだ。photography: Friluftsfrämjande 
---fadeinpager---

●IMG_20210929_182656.jpg

「荒野のアドベンチャー 大人用」の始まり。森林や自然の知識を得られるだけでなく、新たな発見があるのもこのコースの醍醐味だ。photography: Jessica Dahl

「荒野のアドベンチャー」は単なる自然散策や森林浴ではない。火のおこし方、地図の読み方とコンパスの使い方、パラ(シュート)コードの使い方、道に迷った時の対処法、キノコや苔など野生の動植物について、鳥の鳴き声の聴き分け方や鳥の見分け方、ボートの漕ぎ方、アウトドアクッキングなど森と共存するためのさまざまな知恵を学ぶものだ。

●received_3141247426149179.jpg

火のおこし方のレッスンでは、自分たちがおこした火を使って焼いたパンを大自然の中でほおばる。格別においしいこと間違いなし。pphotography: Maria Resebo

受講料は1レッスン1,250クローネ。いま定員は5名から7名に増え、今年は春から秋まで全12回を予定している。森の精ムッレによる「荒野のアドベンチャーコース」を受講しても資格や検定認定などはないものの、童心に帰り自然と戯れ自然と共生する知識を得られるサステイナブルなヒーリング野外教室だ。

text: Sakiko Jin

神咲子

在スウェーデンライター。コーディネート業も行うが、本業はレストラン業だった。そして50歳を過ぎてから、鉄道の電車の運転手に。スウェーデンの北部ウメオ市とスンズヴァル市を運転する日々を送る。

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
いいモノ語り
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories