ペッカムはロンドンの中心部から6キロほど南に位置するエリア。ここが話題になり始めて久しいが、いまでも新たなお店が続々とできて進化を続けている。最近は某ファッション誌がここのエリア限定で、おすすめレストランの特集記事を掲載していたばかりだ。
最寄駅のペッカムライ周辺をビルの屋上から望む。まだまだ工事中のビルも多い。
1990年代にはロンドンの中でも特に貧困なエリアとされていたものの、21世紀になってから政府の再建プロジェクトのテコ入れにより変わり始めた。近隣にカンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツとゴールドスミス・カレッジというふたつの美術大学がキャンパスを構えていることもあり、アーティストたちによるスタジオや小さなギャラリーなどが作られるように。さらにはロンドン東部で人気のハックニーやダルストンの家賃高騰を受けて、当時はまだ安価だったこのエリアに若いクリエーターが引っ越ししてきたことも新風を吹き込んだ理由だ。
もともとはアフリカやカリビアン系の人々が多く住む地域だったこともあり、中央を抜けるメインストリートにはエスニックな食材店が並ぶ。
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その一角にあるマーケットは、1908年築のエドワーディアンのビルを改装して作られた複合施設だ。
古いレンガ建ての建物に、モダンなエントランスをプラスしたファザードが目印。
1階のマーケットプレイスにはフードコートや古着、雑貨を売る小さな店舗が並ぶ。いずれも地元の人たちによる個人ビジネスだ。コーンロウなどを得意とするアフリカンヘアの美容院や、カリビアンやアジアのストリートフードの店舗などが軒を連ねていて、都心とは一線を画したユニークな雰囲気が楽しい。
小屋が立ち並ぶ、マーケットプレイスの内部。
ニカラグアのストリートフードも楽しめる。
上階には机ひとつからスタジオオフィスまでのさまざまなサイズのレンタルワークスペースがあり、屋上にはロンドンを360度見渡せるレストランを構える。
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マーケットの建物を裏から抜けたらコープランドパーク&バッシービルディングへ。ここにはクリエイターたちのスタジオのあるビルが建ち、その周辺にはレストランやバーが並ぶ。週末には中央の広場に屋台なども並んでさらに賑やかになる。
広場に抜ける歩道には個性的な品揃えのレコードショップが。
店内ではこんな可愛いオリジナルのキッズTシャツを販売。
独創的なストリートアートもあちこちでみかける。
ビルの屋上には屋外シネマも。
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ペッカムレベルズは、かつて立体駐車場だった建物を利用したクリエイティブハブ。内部には多くのスタジオやイベントスペースを構える。屋上にあるロンドンを一望できる気持ちいいバー フランクスは、もはやペッカムの代名詞のような場所だ。
バー フランクスでは青空の下で誰もがリラックス。夕暮れはとびきり美しい。
地下鉄の駅はすぐ近くにないけれども、ヴィクトリアやロンドンブリッジなどのロンドンのターミナル駅と繋ぐ電車が走っていて、さらには近年オーバーグラウンド線も乗り入れていてアクセスは良好。
さまざまな文化が混じり合い、クリエイティビティで満たされた、本当のロンドンを体感できる刺激的なエリアだ。
おしゃれなレストランの隣にはコインランドリー。こんな組み合わせもペッカムらしい。
text: Miyuki Sakamoto
在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。