チケットは嘔吐袋! スウェーデンの「不快な食べ物」美術館が話題。

世界は愉快 2023.12.13

美術館やアートギャラリーを旅行の目的のひとつにしている人も多いはず。そんな人にぜひ行って欲しいのが、スウェーデン南部のマルメ市にある「Disgusting food museum」。その名の通り「不快」な食べ物を世界中から約80種展示している。その中の何種類かは匂いを嗅ぐことができ、また展示の最後には試食もできる。

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チケットを兼ねた嘔吐袋。photography: Sakiko Jin

スウェーデン人、アメリカ人、フィリピン人、3人の創設者が世界中を旅行したときに、「食べ物を見た目や匂いだけで判断し忌み嫌わないで欲しい!」と感じ、それがこのミュージアムの開館に繋がったのだ。
不快だと思われる食べ物はほとんどがその国での伝統食でもあり、先人の知恵が詰まったデリカテッセンでもある。このミュージアムでそれぞれの食べ物の歴史や知識を紹介し、ビジターが普段食べられるものとそうでないものの先見や見解をいま一度見直すことができる機会を設けている。

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Escamoles(エスカモレス)というメキシコのアリの幼虫。この卵を焼くとポップコーンに似た食感を持つというデリカテッセン。photography: Sakiko Jin

最近の昆虫食やラボ肉などの未来食に関しても、まずくて食べられないという考えを二の次にし、地球全体が抱えるサステナ食における代替タンパク源を必要とする問題を考えたら、それらの未来食品に対してもっとオープンな考えになるのでは? とも問いかけている。

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ある意味での伝統食に違いないアメリカの人気お菓子類だが、永久に近い賞味期限の長さが添加物の多さを語っている。photography: Sakiko Jin

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数ある発酵食の中でもこれが一番臭かった! アイスランドのHákarl(ハカール)という発酵ザメは毒を持っているが、地中に埋め、発酵させ、その後乾燥させることにより人間が食べられる品に代わる。photography: Sakiko Jin

常設展の「不快な食べ物」だけではなく、中国のメラミン含有粉ミルク(2008年)などこれまで人間が起こした食関連のスキャンダルなどの食品も展示されている。
試食コーナーではドライ昆虫や日本のくさやに負けず劣らずの発酵臭を放つスウェーデンのSurströmming(スールストルンミング・発酵ニシン)などもあり、ある種の勇気と覚悟を必要とするが、試食サイズでほんの一口なのがありがたい。

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フルーツの王様と謳われる東南アジアのドリアン。photography: Sakiko Jin

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カンボジアで食される毒蜘蛛タランチュラのフライ。photography: Sakiko Jin

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日本でも人気のピータンは食べ慣れない人たちからすればやはりゲテモノに......?photography: Sakiko Jin

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試食コーナーで食べられるクロアリ。photography: Sakiko Jin

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展示の最後の試食コーナーは任意なので食べるのを躊躇う人はパスできる。photography: Sakiko Jin

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スウェーデンのスールストルンミング(発酵ニシン)とアイスランドの発酵ザメ。臭さの軍杯はどちらに?(笑)photography: Sakiko Jin

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2018年からこれまでに約400人が嘔吐している。photography: Sakiko Jin

2018年のオープン以来、年間2万人のビジターが訪れるこのミュージアム。チケットが嘔吐袋と兼用というセンスあり、またビジターが最後に嘔吐した日から今日で何日目かなどのユーモアも忘れない。食欲が増すか減るかは訪問後のあなた次第。ちょっと変わった食とアートの展覧会をぜひトライして欲しい!

Disgusting food museum
https://disgustingfoodmuseum.com

text: Sakiko Jin

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