『ビートルジュース』(1988年)や『シザーハンズ』(90年)など、独特の世界観を持つ作品で知られる映画監督のティム・バートン。彼の半世紀にわたる制作活動を振り返る『ザ・ワールド・オブ・ティム・バートン』がロンドンのデザインミュージアムで開催中だ。事前予約だけで3万2000枚以上のチケットを売り上げ、同ミュージアムの新記録を打ち出すほどの大人気となっている。
この展覧会は2014年以来、世界11ヵ国14都市を巡回し、その最後の地としてバートン自身が暮らしているロンドンが選ばれた。今回は新たにバートンが制作総指揮を務めたNetflixのドラマシリーズ「ウェンズデー」(2022年)からの品なども加わり、展示総数はおよそ600点を数える。
エキシビションはまず、彼の故郷であるカリフォルニア郊外バーバンク時代とカリフォルニア芸術大学時代からスタートし、ウォルト・ディズニー・プロダクション勤務時の作品へと続く。穏やかで平凡なアメリカ郊外での暮らしに馴染めないストレスをバネに創作活動に打ち込み、やがて花開いていく様子が伝わってくる。
![Rob Harris for the Design Museum (1).jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/Rob%20Harris%20for%20the%20Design%20Museum%20%281%29.jpg)
![Rob Harris for the Design Museum (2).jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/Rob%20Harris%20for%20the%20Design%20Museum%20%282%29.jpg)
いちばんの見どころは彼が世界的な名声を得てからの映画の衣装や小道具、スケッチなどが並ぶ一角だろう。『シザーハンズ』でジョニー・ディップがまとったシザーハンズのコスチューム、『マーズ・アタック!』に登場するマーシャン・スパイガールのぴたぴたでグラマラスなドレス、『ウェンズデー』でジェナ・オルテガが演じたウェンズデー・アダムス着用の学校の制服やパーティドレスなどはコスチューム・デザイナーのコリーン・アトウッドによるものだ。アトウッドは数多くの作品でバートンとタッグを組み、彼の意図を誠実に衣装に落とし込んだ独創的な衣装で知られている。
![Tim Burton, Untitled (Edward Scissorhands), 1990. EDWARD SCISSORHANDS ©1990. 20th Century Studios, Inc. All Rights Reserved.(大).jpeg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/6a627be6717c28c4bd74cd729b1e8cbd9ffe6edd.jpeg)
![Design Museum Tim Burton Selection (High Res)-8.jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/Design%20Museum%20Tim%20Burton%20Selection%20%28High%20Res%29-8.jpg)
![Rob Harris for the Design Museum (8).jpg](https://madamefigaro.jp/series/uploads/62b2f20bf943301bf22c78dd31612d43eb8c0aac.jpg)
映画以外での活躍を伝えるコーナーもあり、そこでは2009年の『ハーパース・バザー』でバートンがフォトグラファーのティム・ウォーカーと製作したハロウィンがテーマのファッションストーリーや、バートンのドローイングをインスピレーション源としたアレキサンダー・マックイーンの2000年秋冬コレクションからのドレスが観られる。
近年、ロンドンのミュージアムやギャラリーはアートやデザインばかりではなく、映画やファッション、さらにはストリートカルチャーをテーマにした斬新なエキシビションを開催することが多い。その中で『ザ・ワールド・オブ・ティム・バートン』は特に見応え十分で、ファンならずとも是非とも訪れたいエキシビションとなっている。
会期: 開催中〜2025年4月21日
会場:The Design Museum
224-238 Kensington High Street, London W8 6AG
開館時間:10:00〜17:00(月〜木) 10:00〜18:00(金~日)
これ以降の会期は無休の予定
料)22ポンド~、学生16.50ポンド~
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在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。