ドイツの10月といえば、南ドイツ、ミュンヘンで開催される世界最大のビールフェスティバル「オクトーバーフェスト」。第190回目となった今年は快晴で開幕、警察が一時入場制限をかけるほどの盛り上がりをみせた。
開幕後、爆破予告により7時間閉鎖となったり、最終土曜日は嵐に見舞われるなど「ジェットコースターのようだった」と話題に。それでも最終的には、650万リットル以上ものビールが飲み干され、大賑わいのうちに幕が降りた。
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ベルリンのオクトーバーフェストの新章が始まる予感
ドイツ語で"10月のお祭り"を意味するこのオクトーバーフェスト、その歴史は1810年にまで遡る。後のバイエルン王ルートヴィヒ1世とザクセン皇女の結婚を祝って開催された競馬大会と市民の祭典が発端だ。
毎年16日から18日ほどの開催期間に、世界中から700万人近くが訪れ、平均700万リットルものビールが飲み干されるオクトーバーフェスト。提供されるビールは「マース」と呼ばれる1リットルの巨大なビールジョッキ入りで、ミュンヘン市内の6つの醸造所だけが参加を許されている。とことん、ビールを飲みまくる祭り。しかし、昨年話題をさらったのは、ミュンヘン最古のアウグスティーナー醸造所が作ったアルコールフリービールだった。
この時期ドイツ各地で、その土地ならではのビールが楽しめるフェスティバルが開催されているが、ベルリンではアルコールフリーのオクトーバーフェストを来年開催すると発表し、大きな話題を呼んでいる。主催者は、アルコールフリーのビールやスピリッツ、ノンアルコールのワイン、ソフトドリンクなどを揃えて、誰もが楽しめるお祭りにしたいと話す。
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実は近年、アルコールはもちろん、ビールの消費量も減少傾向にあるドイツ。ビールの好みランキングでは、ピルスナーとヘレスに次いでアルコールフリーのビールが3位にランクインするほど。今年はZ世代を中心に「シュペーティ」(南ドイツの醸造所が1950年代に開発したコーラxオレンジジュースのミックス飲料)がパーティで人気を呼んでいる。
お酒を飲まなくたって、おいしく飲んで楽しく過ごすことができるはず! 長い歴史を誇るオクトーバーフェストの新章が始まりそうだ。