LAの冬の風物詩はココア? 日本人の懐かしさをくすぐる、注目トレンドを探る。

世界は愉快 2026.01.28

稲石千奈美

こたつにみかん、鍋料理にお餅ーーそんな日本の冬の風物詩があるように、LAの冬を象徴する存在のひとつがココアだ。世代を問わず愛され、アメリカでは「ホットチョコレート」と呼ばれるのが一般的。厳密には固形チョコレートを溶かして作るのがホットチョコレート、粉末ならココアと区別されるのだが、その違いを気にする人はほとんどいない。

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この冬、LAで話題をさらっているのがオープンしたばかりのダイナー「Max&Helen's(マックス&ヘレンズ)」のホットチョコレートだ。ネットフリックス人気番組「腹ペコフィルのグルメ旅」で知られるフィル・ローゼンタールと名シェフのナンシー・シルバートンが手を組み、古き良きアメリカンダイナーの復活をと開店した。

入店には数時間待つこともあるダイナーのホットチョコレートの評判は瞬く間に広がり、さらなる人気を呼んだ。超濃厚なホットチョコレートにのるのは自家製マシュマロで、香ばしく焦がした表面はサクッとした口当たり、中身は驚くほどふんわりと軽い。

マシュマロが熱々のホットチョコレートに溶けいくとリッチな液体はさらに甘美に。勢いあまって食事と一緒に注文するとホットチョコレートだけで満腹になりかねないので、デザート感覚で後からオーダーするのが正解だ。

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「Max&Helen's」のホットチョコレートはフィルの両親MaxとHelenのイラストの描かれたカップで。9ドル50セントとお高めだが納得できるという声が多い。「とてもおいしいのでぜひトライして」とあらかじめ助言されていたのでパンケーキ、卵、ベーコン、ポテトの朝食セット(27ドル)と一緒にホットチョコレートを頼んでしまって後悔することに。

一年を通して夏のイメージが強いロサンゼルスにもきちんと冬はやってくる。気温が下がり、雨が続き、時には強風がパームツリーを揺らす日も。ファーマーズマーケットに並ぶ野菜や果物も徐々に顔ぶれを変えて季節の変遷を知らせてくれる。とはいえ(今日のように)ポカポカと心地よい日が多いLAだから、気候そのものよりも年間行事や食習慣に合わせた季節感を楽しむのがこの街らしい冬の習慣だ。

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一方で、アメリカンクラシックとは異なるLAらしい魅力ならメキシコや中南米のココア文化をチェック。

メキシカンホットチョコレートはダークチョコにシナモンやアーモンド、バニラなどを練り込んだディスク状のチョコを水もしくは好みのミルクで溶かして作る。かわいい木彫り泡立て棒「モリニーヨ」をくるくる回して泡立てるのが正統派だ。地域によってスパイスやナッツはさまざまで、唐辛子を加えることも。

オアハカ料理の名店「Guelaguetza(ゲラゲッツァ)」や「 CaCao Mexicatessen(カカオ デリカテッセン)」など、街のあちこちで飲み比べが楽しめる。

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オアハカ地方を代表する色彩やディテールも人気のレストラン「Guelaguetza(ゲラゲッツァ)」

さらにディープに踏み込むなら「チャンプラード」に挑戦してみて。ホットチョコレートにとうもろこし粉を加えてとろみをつけ、ピロンチーヨという固形の黒糖で甘くする。口当たりはポタージュのようで、甘酒やお汁粉に近い存在かもしれない。「La Monarca(ラ・モナルカ)」や「Gusto Bread(グスト・ブレッド)」など、地元民に愛されるラテン系カフェやベーカリーで、ほんのり甘い菓子パンのパン・ドルセと一緒に味わっても◎。

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オアハカ料理レストラン、ゲラゲッツァのホットチョコレートはオアハカ地方の良質なダークチョコレートを使用している。お湯で溶かしたものが6ドル50セント、牛乳なら7ドル。チャンプラード(7ドル50セント)もメニューにある。モリニーヨは1杯分を泡立てる小さなものから30センチほどの長さのものまであるが、一本木彫りが基本。

家で作ってみるなら、オアハカ地方の「Villa Real(ヴィラ・レアル)」のチョコレートディスクがおすすめだ。アーモンド、ヘーゼルナッツ、バニラビーンズなどが練り込まれたダークチョコは、奥行きのあるリッチな味わい。チャンプラードのとろみづけには、LA発のとうもろこし粉専門店「Masienda(マシエンダ)」の良質なマサハリナを使って。

マシュマロをふわりと浮かべたホットチョコレートは、おばあちゃんやお母さんが作ってくれた冬の日の思い出、感謝祭やクリスマスでの団らん、キャンプファイアーのぬくもりを呼び起こすハートフルな飲み物。寒空の下で身体をあたため、エネルギー源としても親しまれてきたという説もあるほどだ。

甦る山火事の記憶や移民取り締まりの実情など、愉快なことばかりではない今年のLA。だからこそ甘く優しいホットチョコレートが一杯ずつ、街のコミュニティや人々を励ましているように感じる冬だ。

●1ドル=156円(2026年1月現在)

photography: Uma kv, Guelaguetza

稲石千奈美

在LAカルチャーコレスポンデント。多様性みなぎる都会とゆるりとした自然が当然のように日常で交差するシティ・オブ・エンジェルスがたまらなく好き。アーティストのアトリエからNASA研究室まで、ジャーナリストの特権ありきで見聞するストーリーをエディトリアルやドキュメンタリーで共有できることを幸せと思い続けている。

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