「最後にラブレターを書いたのはいつですか?」NY発、言葉を贈る「バレンタイン」とは。

世界は愉快 2026.02.13

長谷川安曇

「最後にラブレターを書いたのは、いつだろう? いや、そもそもラブレター自体、書いたことがあったっけ......」そう感じるのは、私だけではないはず。デーティングアプリで右にスワイプすることが主要なニューヨークのデートシーンでは、なおさらだ。

そんな時代に、注目を集めているのが、フローラルデザインスタジオ「ポップアップフローリスト」による「ラブレター・キャンペーン」だ。

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創設者のケルシー・ヘイズが、街へのオマージュとして立ち上げたこのプロジェクトは、今年で2年目を迎える。1月19日から25日までの1週間、ニューヨーク市内のカフェやベーカリー、ブティックなど十数カ所に、赤い郵便ポストが設置された。通りすがりの人々が、匿名で手書きのラブレターを投函できる仕組みだ。

誰かへの愛の告白だけでなく、恋人へはもちろん、家族や友達など大切な人への想い、ニューヨークという街へのラブレターを書いてもいい。集まった手紙は1000通以上。その中から選ばれた30通が、言葉にインスピレーションを得たフラワーインスタレーションとともに展示される「ラブレター・ギャラリー」として、2月7日、1日限定でギャラリーの「ホスト・オン・ハワード」で公開された。

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摘みたてのような、自然の感じが美しいインスタレーション。ポップアップフローリストは、2016年にケルシー・ヘイズによって設立。表現力豊かで多彩なクリエーションで知られている。プラダやグッチ、ネットフリックスなどのブランドと協業するほか、ジジ・ハディッドなどのクライアントも手がけてきた。

ちなみに、米国郵便公社の監査・調査機関である「U.S. Postal Service Office of Inspector General(USPS OIG)」が2024年に発表したレポートによれば、「ファーストクラス」と呼ばれる、手紙やはがき郵便の量は、2008年から2023年の間に約50%減少したという。Eメールやソーシャルメディアなど、デジタルのコミュニケーションの普及が主な要因だ。そんないまだからこそ、紙に向かい、言葉を選び、誰かを思い浮かべるという時間そのものが、稀有で特別なことになるのかもしれない。

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デジタル時代だからこそ、手書きの言葉が持つ温度が胸に沁みる。想いを綴るロマンチックなバレンタインのかたち。

以前、バレンタイン当日の地下鉄で、前に座っていた若い男性が、バルーンを片手に持ち、膝の上にカードを置いて、書きにくそうにぎこちない字で「Be My Valentine」(このバレンタインをあなたと)と書いているのを見かけたことがある。ずいぶん直前の準備だなと思ったが、いま振り返ると、公の場でラブレターを書くなんてロマンティックだ。

デジタルなやり取りが主流となったいまだからこそ、手書きのカードや手紙は照れくさいが、誰かに想いをはせること自体を取り戻す行為でもある。ポップアップフローリストのラブレター・キャンペーンは、そんな感覚を、ニューヨークにそっと呼び戻してくれるかもしれない。

長谷川安曇

東京出身、2004年からニューヨーク在住。フリーのライターとして活動しながら、映像制作にも携わり、キャンペーンやミュージックビデオのプロデュースとフィルムメーカーとしても活動する。www.azumihasegawa.com

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