愛しのペット編 from イギリス 職務に励む、イギリスの犬猫たちに癒されて。

飼い主の愛に包まれて、マイホームでのんびりと暮らすペットたちの一方で、公共の場で「職務」に励みつつ、その可愛らしい姿や仕草で多くの人たちを癒す猫や犬がイギリスには少なくない。

その筆頭といえば、何と言っても首相官邸のダウニング街10番地に住む猫ラリー君だろう。

2019年に首相官邸がクリスマス用に作成した、ラリー君をフィーチャーしたビデオ「Night Before Christmas」。クリスマスデコレーションが施された重厚なインテリアの官邸内を、気後れすることなく我が物顔で自由に歩き回る姿が可愛い。

ラリー君の肩書きは「内閣府付きネズミ捕り主任」。非公式ながらもツイッターもありフォロアーは50万人近い。

 

野良猫だったところを英国最大の犬猫施設バタシー・ドッグス&キャッツホームに保護されたのちに、2001年に首相官邸にやってきた。当時の首相はデヴィッド・キャメロン。キャメロン元首相は下ろしたてのスーツにラリー君の毛が付くことや、キャットフードの匂いに悩まされてラリー君との不仲が噂されていた。しかし首相を退く際には「ラリーは首相官邸に住んでいるので、私たちと一緒に連れていけないことがとても悲しい」とコメント。キャメロン元首相の猫嫌いを緩和したのはラリー君だったとも言われている。

その後、テリーザ・メイ元首相との生活を経て、現在はボリス・ジョンソン首相の家族と暮らしている。バラク・オバマら、ワールドリーダー達と対面した経験も持つ。

ネズミ捕りの腕前はまあまあといったところのようだが、野良から保護施設を経て、いまではイギリス一有名な猫となったラリー君。幸薄い過去を持つ動物だって、セカンドチャンスがあれば人生(猫生?)が一転することだってあると教えてくれた。

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ロルフ君はウォーリック大学の「オフィシャル・キャンパス猫」。大学の近くに暮らす家族のペットだが、連日校内を訪れている(イギリスでは猫を外飼いすることは多い)ことからキャンパスのマスコットに「昇格」した。

お気に入りの校舎内の椅子に座るロルフ君。3年前に交通事故にあってから、外出時にはイエローの猫用LEDベストを着用している。

キャンパス内での親代わり「キャンパス・マム」のクラウディア・レイ博士のオンライン講義にも「参加」。

大好きなクラウディア博士の部屋まで、まっしぐらに廊下を走っていくロルフ君。

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テスト期間中は、大学の図書館による「ロルフ・セイス・リラックス」キャンペーンのキャラクターとしても活躍。試験が続くストレスフルな日々も、ロルフ君を見習ってくつろぐ時間も大切しようとアプローチする。

昨年12月には校内のクリスマスライトのスイッチオンも担当。現在、ロルフ君のインスタグラムやツイッターなどには計4万人のフォロワーがいる。同大学の学生や関係者だけではなく、アメリカや日本のファンも多いとか。

近年、イギリスではセラピードッグがいる病院や学校が増えてきているが(私の息子の学校にもゴールデンレトリバーのセラピードッグ、ジャクソン君がいる)、スコットランドのアバディーン国際空港は19年に初めてのセラピードッグたちが常駐する飛行場となった。犬たちは空の旅に不安を感じる人たちの心配を軽減するべく活躍中だ。

犬たちがはめている黄色いスカーフが目印。

安らぎを与えてくれる動物たち。たとえ自分のペットではなくても、そこにいるだけで気持ちが和らぐ。私たちは彼らに日々助けられていることを実感する。

text: Miyuki Sakamoto

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。

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