世界のお祭り from ミラノ サルデニア島で行われる黒い仮面祭り「バルバジア」

世界は愉快 2023.04.19

坂本きよえ

お祭りといえばみんなが行きたがるのがこれ。古代から続く神秘的な祭りでその儀式は年に1度サルデーニャ島の内陸部にある小さな村アモイアーダ村で行われる。元々はカーニヴァルだという人もいれば、不気味な祭りと言う人もいて、インパクトの強さを語らずにはいられない。これはバルバシア地方の32の村で行われ、毎年9月の初めの土日にオーリエ村で始まり12月の初旬の週末まで続く。地元ではバルバジアの秋祭りと呼ばれていて今年で25年目を迎える。この祭りは、村の人々と接し伝統と歴史を知ることができる。この時期には、自宅の中庭を訪問客に開放し、おもてなしする行事もあり、ラテン語で「コステス アペルタス」「中庭を開放する」と呼ばれている。
アモイアーダで行われるお祭りは、動物と火の守護人である聖アントニオ・アバーテノシュクジツに、村の男性たちは「アムトーネス」「トイッソアドレス」に変身する。影と陽を表す存在で前者は闇を反響させ、後者は光を引き寄せると説明される。この聖アントニオ・アバーテの祝日では、歌とダンスを1日中続けるのだ。

仮面をつけた瞬間に、人から動物のような神に姿を変えるマムトネスを、「人」と呼んでよいのかは疑問だ。奇異な仮面の起源は諸説ある。父から子へと代々、口述で伝えられてきたマモイアーダの伝統のため、文書で記されたものもなく、その由来は定かではない。非常に古い歴史があることは確か。3千年以上前のヌラーゲ文明時代からの慣わしに由来するという説まである。一方のイッソアドレスは、赤い上着を身に纏い、鈴の付いた黒革の帯を肩から斜めにかけてパレードを歩く。これを見学しに、イタリア中から人が集まる国内で秋のいちばん人気のお祭りだ。

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歩いたり飛んだりしながら歩く行列は間近で見ると迫力がある。photography: Kiyoe Sakamoto

贖罪の儀式であり、死と再生を表現するマムトーネスは黒い仮面をつけ、羊の毛を纏い、25~30kgの重さのsa Carriga(サカリッガ)と呼ばれるカンパナッチ(鈴)を背負う。マムトーネスが跳ねながら進む行進で、大きな鈴の音を鳴らし悪い霊を追い払うと言われている。

 

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大きな音ほど悪い霊を追い払うと言われるマムトーネスの鈴の音。photography: Kiyoe Sakamoto

儀式の主役であるマムトーネスは、死者の王国の住人であると同時に、羊飼いと羊の間に結ばれた固い絆を表す存在と言われている。彼らは地元の職人が作った、人間の顔に似たグロテスクな仮面をか被る。顔の一つひとつの造作が大きく誇張されていることと、なめらかな黒い塗装が特徴だ。

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このウールの糸は人の命を表現するらしく、糸を切れない様に引き出しお守りとして祭りに来ている人に贈るならわしもある。photography: Kiyoe Sakamoto

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マモイアーダは、マムトーネスで有名な村。マムトーネスとは、古い歴史をもつ、マモイアーダの仮面。イソハドレスとともに、独特のリズムの動きを伴った、儀式のような行進をする。通常、12人のマムトーネスと8人のイソハドーレスでショーが行われる。photography: Kiyoe Sakamoto

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野獣のマスクは地元でお土産としても売られている。photography: Kiyoe Sakamoto

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地元のお祭りに来た子どもたち。photography: Kiyoe Sakamoto

text: Kiyoe Sakamoto

坂本きよえ

在ミラノジャーナリスト。イタリア人の人柄の良さ、寛容さに惹かれて住み続けて数十年。旅好き、ヴィンテージマーケット好き、物好き、食べ物好き。ミラノのギャラリー&レストランの7人の侍(オーガナイザー)に選ばれイベント企画を手がけるニューライフスタイルに挑戦中。最近お気に入りの場所はサンセットが美しいポルトガル。

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