人気のおやつ from ベルリン ドイツのおやつに欠かせないチョコレートケーキ

世界は愉快 2022.11.08

ヨーロッパでも1、2を争うチョコレート消費大国ドイツ。ドイツで人気のおやつといえば、ダントツでチョコレート! 週末のコーヒータイムには欠かせないケーキも、もちろんチョコレート系が充実している。
中でもドイツを代表するケーキと言えば「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ (黒い森のチョコレートケーキ)」ではないだろうか。ほろ苦いチョコレートスポンジにサクランボの蒸留酒キルシュヴァッサーをたっぷりと染み込ませ、甘すぎない生クリームとサクランボを何層にも挟む。ドイツ南西部に広がる“黒い森“の豊かな恵みを生かした、大人の味のケーキだ。

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たっぷりクリームを使うのがポイント。カロリーは直径26センチのホールケーキで4000カロリー超え!(レシピによって異なります)
© Hochschwarzwald Tourismus GmbH

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その発祥には諸説あるが、ドイツ最大の森である黒い森周辺で生まれたことは間違いなさそうだ。麓の村々では、古くからサクランボなど果樹栽培が盛んで、中世から果物農家には収穫した果物で蒸留酒を作る権利が与えられていた。そのため、この地方ではサクランボとクリームを組み合わせたデザートがよく食べられており、それにサクランボの蒸留酒キルシュヴァッサーを添えることも多々あった。そこから発生したケーキなのではないかという説が有力だ。
近年になって、テュービンゲン市資料館研究者の調査によって新情報が寄せられた。1930年に、テュービンゲンの菓子マイスターが、現在の形によく似た黒い森のサクランボケーキを焼いたのを見たという弟子の証言が見つかったのだ。ちょうど冷蔵庫が一般化し、生クリームを使ったケーキが普及し始めた時期にも重なるため、この話には信憑性があると、研究者は説く。製菓団体の集まりでもこのケーキが作られているため、そこから一気にこの地方に評判が広まったと推測されると言う。その後、アルザス地方を経てパリのパティスリーにも「フォレ・ノワール(黒い森)」という名前で同様のケーキが並ぶまでとなった。

焦げ茶色のチョコレートスポンジを包む真っ白なクリーム。その上に点々と置かれた真っ赤なサクランボ。雪に包まれた黒い森をイメージしたとも言われる可愛らしい見た目も、人気の理由のひとつ。赤いポンポンがついた黒い森地方独特の民族衣装をイメージしたのではないかとも言われている。

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このケーキの元となったとも言われる民族衣装。「ボレンフート」と呼ばれる帽子が特徴。未婚の女性は赤いポンポン、結婚していると黒になる。
© S. Nieselt/ Schwarzwald Tourismus

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赤いポンポン帽子作りの職人
© Gaby Baur/Schwarzwald Tourismus

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何層にもなったチョコレートスポンジのおかげで、とても高さがあるため切り分けるのが難しい黒い森のチョコレートケーキ。サーブする際に倒してしまうと良い義母に恵まれない、なんていう言い伝えもあるとか。黒い森のカフェで注文すると、大抵最初からケーキは横倒しになっており、その上からフォークを刺すという独特の作法で出されることが多いのも謎だ。
ボリュームは多いが甘すぎないので、キルシュヴァッサーの香りに一口、もう一口とフォークが進む。男性にもファンが多いこのケーキ、ビールを飲みつつケーキをぱくつく強者も見かけるほど。地元の蒸留酒やサクランボを使う本場のケーキは一味違う。
いまにも魔法使いや妖精がでてきそうな趣の黒い森散策と組み合わせて、本場オリジナルの黒い森のサクランボケーキを食べに行ってみては?

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text: Hideko Kawauchi

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