連載【石井ゆかりの伝言コラム】第27回「受験生」&「立春」

第27回「受験生」&「立春」  

2月4日が「立春」で、暦の上では春なのですが、日本ではこの時期が1年で一番寒い時期です。「暦の上では…」とは実によく耳にするフレーズですが、もしかするとその体感のギャップが一番大きいのが、この時期かもしれません。もとい、立秋や白露といった、夏から秋への節目も、かなり大きなギャップを感じます。厳しい寒さや暑さは、だれしも「早く終わってほしい」もの。何かを待ち望んでいる時、時間の進みはとても遅く感じられます。「暦と気分のギャップ」も、特に次の季節を待ち望むような時に、大きく感じられるということなのでしょう。

日本では2月が受験シーズンで、多くの学生さんが試験に臨みます。このほど、試験改革の問題がニュースになり、多くの大人たちが「自分が受験生だった頃」のことを思い起こしていたようです。私自身、受験生だったのはもう30年近く前ですが(!)、当時の記憶が甦りました。
私は東北で高校時代を過ごし、大学は東京と京都で受験しました。非常に寒い冬で、京都の二次試験では雪が積もっていました。そもそも雪深い北国から寝台列車で14時間かけてやって来たので、道に雪が積もっていることに何の違和感もなかったのですが、九州や中国地方などから受験に来た学生たちは、さぞ「条件が悪い!」と感じたことでしょう。受験会場でみんながしきりにカイロを振る、カシャカシャカシャカシャという音が耳に残っています。指先が冷たくて、文字も書きづらいくらいだったのです。

当時、受験用の筆記具はエンピツと決まっていました。センター試験では今でもシャープペンシルは不可だということですが、その理由は「シャープペンシルの芯では、その成分などの関係で、読み取りがうまくいかないことがある」からなのだということでした。
私はこれを聞いて、軽い衝撃を受けました。
というのも、試験でシャープペンシルがNGなのは、まったく別の理由だと思い込んでいたからです。

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シャープペンシルは、芯の出し入れのために、フタを開けることができます。お尻のフタを取ると、中が丸い空洞になっています。芯が入る内側の空洞、そして、そのまわりの空洞と、2重の空洞になっています。「この空洞に、小さな紙をくるっと入れておけば、カンニングができる」と私は思っていたのです。この空洞に、元素記号表とか、中国の王朝の順番と年代とか、覚えたかったことをメモした紙を入れておけばいいのです。もちろん、受験ではどんな問題が出るかはわからないわけですが、運良く(?)メモしたことが出れば万々歳です。さらに、難関受験などでは、トイレの時間などを利用すれば、何かもっとズルいことができるかもしれません……!
そういうことをさせないために、エンピツなのです。私の中では、長年そういうことになっていたのです(もちろん、この方法を使ったことはありません。エンピツではできないのですから)。
「カンニングに使えるから、シャーペンは試験に持ち込んではならぬのだ」と考えていたのは、……私だけなのかもしれません。
推理小説の読みすぎだったのでしょうか。

design : SANKAKUSHA

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