子どもがアダルトサイトを見ていた......保護者はどうするのが正解?

Society & Business 2021.10.01

子どもがスマホでアダルトサイトや動画を観ていた......。後日、高額請求が来て発覚したり、何らかのトラブルに巻き込まれてしまうこともありえます。このような事態に、保護者はどう対応すればよいのでしょうか? 保護者向けの性教育サイト「命育」の代表・宮原由紀の著書『子どもと性の話、はじめませんか?』(2021年 CCCメディアハウス刊)から、子どもを導く大人の心構えを抜粋してお伝えします。

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子どもがアダルトサイトを見ていることが発覚! 保護者はどう対応したらいい? photo: Ben_Gingell_istock

思春期になると、自分からアダルトサイトや動画にアクセスして見ることがありますが、思春期を迎える前の児童期は、偶然に目にしてしまうケースがあります。

たとえば、体や性のことで疑問に思ったことを調べようとしたとき。スマホやタブレットの音声入力を使えば、小さな子どもでも、自分が知りたいキーワードで動画やサイトを検索できてしまいます。
わが家でも、子どもがまだ幼児のころに自分で音声機能を発見し、「かめんライダー!」などと動画検索をしているのを見て、「これは早いうちにネットの知識を伝えておかないと……」と、驚いたことがあります。

また、ほかのサイトを見ていたときに表示された広告を何気なくクリックして、アダルトサイトを閲覧してしまうケースもあると聞きます。まだふれる機会の少ない児童期に、子どもとアダルトサイトや動画との関わり方を考えておくといいでしょう。子どもが思春期になると面と向かって話しにくくなる可能性もあるため、性の話を素直に受け止められるこの時期に話をしておくことが大切ですし、話もしやすいでしょう。

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まずはあなたが冷静に。

アダルトサイトのリンクをクリックしたら高額請求をされてしまい、子どもがあわてて保護者に相談したことで発覚するケースもあります。

「なんでそんなサイトを見たの!?」と怒りたくなる気持ちもわかりますが、まずは話してくれたことを受け止めた上で、対処法を考えましょう。家族内で解決できない場合は、東京都が運営する「こたエール」などのホットラインに相談を。

アダルトサイトや動画に興味を持つのは、ごく当たり前のこと。しかし、子どもは現実とフィクションとの区別がつきません。アダルトサイトや動画についての保護者の考えや現実との違いについて、繰り返し話すことが大切です。そうすることで、アダルトサイトや動画を見て、子どもが不安に思うことがあればあなたに助けを求めますし、疑問に感じたことを質問してくれるようになるでしょう。

とはいえ、もし子どもがアダルトサイトや動画を見ている場面に遭遇したら、ショックを受けてしまうかもしれません。次のポイントを参考に、子どもと接してみてください。

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●子どもがアダルトサイトを見ていたらどうする? 4つのポイント

・パニックにならない
・「どのように知ったのか?」「何か質問はある?」と聞く
・保護者自身が、アダルトサイトや動画をどのように考えているのかを伝える
・次に挙げるような、アダルトサイトの問題点を伝える

●アダルトサイトの問題点

・ 現実との区別がつきにくく、セックスや人間関係について健全な考え方ができなくなる可能性がある
・女性に性行為を強要するなど、性的同意がなされていないことが多い
・性感染症や妊娠など、セックスによって生じるリスクについては示されない
・避妊についても示されない
・小児性愛や、性暴力など犯罪行為に関するものもある
・ 視覚的な興奮をあおるために、男性器や女性の胸を強調する演出が施されるケースも。出演者と自分の体を比較したり、ゆがんだボディイメージを持つ可能性がある

●知っておくべきこと

・現実のセックスとは違う
・出演者は仕事として演じている
・アダルトサイトは性のお手本ではない
・すべての人の体は違っていて優劣はない

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子どもへの伝え方は?

アダルトサイトは、子どもが性のお手本としてとらえてしまうことや避妊が示されていないことなど、さまざまな問題を内包しています。「映像には映っていないところで出演者たちは同意している」など、画面だけではわからないことも伝えましょう。

●伝え方の例
STEP① まずは落ち着いて
まずはぐっとこらえて落ち着きましょう。あなたがパニックになってしまうと、子どもはあなたに相談や質問ができないと受け取ってしまいます。

STEP② 冷静に尋ねよう
「何を見ているの? 大人が見るサイト(動画)のようだけど、どこでそれを知ったの?」
「何か聞きたいことはある?」

偶然見てしまったのか、または友達から聞いたのかなど、アダルトサイトや動画をどのように知ったのかを尋ねます。聞くときには、責めるような口調にならないよう気をつけましょう。
過激な性描写を見て、ショックを受けたり、いやな気持ちになったりする子もいるでしょう。疑問に思ったことや、気持ちをしっかり聞いてあげてください。子どもから質問されたときは、わかりやすい言葉で伝えることもポイントです。

STEP③ あなた自身の考えを伝えよう
「興味を持つのはわかるけれど、お母さん(お父さん)は、子どもが見るべきものではないと思っているよ。このサイト(動画)には、ウソの表現も混ざっていて、あなたはどれがウソなのかわからないまま見ているかもしれないからね。特に、人に暴力をふるうような場面があったり、小さな子どもの裸があったりする映像は、見てはいけないよ」

大人にならないと見てはいけないものなのか、中高生になってから見るのなら否定しないのか、どのような内容なら見てもよいのかなど、アダルトサイトや動画に対してのあなたの考えを子どもに伝えます。

また、アダルトサイトや動画にはウソの表現も混ざっていること、子どもの場合、どこまでが妄想やファンタジーで、どこまでが本当の表現なのかがわからないまま目にしていることも話しましょう。
「小学生のうちは判断ができないため、見るものではない」「犯罪行為が行われているようなアダルトサイトは、見てはいけないよ」という考え方の場合は、このように伝えてみてはいかがでしょうか。

STEP④ アダルトサイトと現実の世界の違いを具体的に伝えよう
「このサイト(動画)で行われていることは、現実ではなくパフォーマンスだよ。パフォーマンスのためにセットが用意されて、出演者も演技をしているんだ。現実のセックスは相手と通じ合うためのもので、お互いの『いいよ』が必要だよ。このサイト(動画)ではわからないけれど、画面に映っていないところで出演者も『いいよ』のサインをしているよ」

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『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』
\1,540(税込)

 

ある日突然やってくる子どもからの疑問、子どもの性への興味、性の会話を避けてきたまま思春期になってしまった…そんなとき、あなたはうまく対応できますか?テーマは、妊娠や避妊、性交だけでなく、自分のからだは自分のもの、防犯の知識(プライベートゾーン)、男女の体の違い、性的同意、急増している自画撮り被害、性の多様性・ジェンダー、ネットリテラシーのことまで……性教育ってとっても幅広い!

 

 

text: Yuki Miyahara

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