スマホひとつでピル処方⁉ 医療×テクノロジー加速の舞台裏。

Society & Business 2021.10.13

From Pen Online

文/野呂エイシロウ

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メデリ株式会社CEOの坂梨亜里咲(さかなし・ありさ)氏 。

いまのようなパンデミックが起こると、急に健康に気を使うようになるのは筆者だけではないはずだ。ジムに通いゴルフを始めて8キロ痩せた。まあ、その前に15kgも太ってしまったので、まだ7kgの借金なのだが……。日々、動画を見て運動したりと、健康に関してもネットと融合するものが増えたと感じている。そんな中、ユニークな医療×テクノロジーの企業が登場しているので、2社を取材した。

ひとつは、女性用のピルをネットで診断することで処方できるメデリ(渋谷区)である。ZOZOTOWNを創業し、投資家としても知られる前澤友作氏が投資したことでも注目されている企業だ。新型コロナの件もあって、人が集まる病院に交通機関を使ったりして行きにくいという人も多い。そこで、自宅などでスマートフォンから簡単に産婦人科医と遠隔面談。PMS(月経前症候群)や生理のトラブル相談をオンライン診断できるというプラットフォームである。

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211011_ed690cb22851fd87dc7ea5d86d90152e47f2538e.jpg自宅にいながらスマートフォンを使いながら、実際に面談したときのように細かい相談ができる。

「26歳から不妊治療を始め、妊活や不妊治療に悩む人を減らしたいという想いからメデリを起業しました。20〜30代の働く忙しい女性でも便利に利用でき、将来のために自分の身体と向き合っていただくためにオンラインピル診療サービス「mederi Pill」をスタートしました」と答えるのはCEOの坂梨亜里咲氏。ご自身の経験が生かされているという。男の僕は、実はわからないのだが、産婦人科は、妊娠から病気までさまざまな患者さんが来る。男性の産婦人科医も多い。だからピルの件だけで来訪しにくいそうなのだ。

そこで、ピルの相談に乗ってくれる医師との橋渡しを作ろうと決意したそうだ。「2020年から約1年ほど投資家とのディスカッションを通して、日本人にピルの正しい情報を理解してもらい、QOL向上に活かしてほしいという想いが強くなりました。私自身、生理不順を治すために10代の頃から結婚するまで10年間ピルを服用していました。多様なメリットを感じ服用をしていたのですが、日本では"避妊用"というイメージが強く、服用率は3%程度と諸外国より低いです。」と坂梨氏。

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98%の利用者がオンライン診療に満足。

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病院に行くことなく、ピルを受け取ることができる。

このサービスを初めて、実際にはお客さんの反応はどうだろうか?

「先行会員様の約半数が、ピルをはじめて飲む方です。約98%の方がmederi Pillのオンライン診療に満足いただけています」と坂梨氏。

・産婦人科にかかるのは毎回緊張するけれど、自宅でできるならではのフラットな空気感が話しやすく、すごく安心できる
・ピル処方特化ということで目的が明確で、相談しやすい
・興味があったがチャレンジする機会がなかったので嬉しい

など、産婦人科やピルを身近に感じられるようになったと、評判は上々のようだ。

そう、僕も尿酸値とコレステロールの薬を飲んでいるが、できればネットで簡単に面談だと嬉しいなと思う。

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211011_7b65e87791dca46164594ad01cba1368dc74fda7.jpg治療代は1回¥1,650、低用量ピル代が¥2,650(1カ月)、送料が1回に付き¥550

ちなみに、治療代は1回¥1,650、低用量ピル代が¥2,650(1カ月)、送料が1回に付き¥550。取り扱うピルも国内正規品でさまざま種類があることがホームページから伺える。参加した医師の反応はどうだろうか?

「診療の質にこだわっており、全員が産婦人科医です。定期的に開催している医師とのフィードバック会では、「なぜ若い方が産婦人科に来てくれないのか悶々としていたが、想像以上にかかるハードルが高いことがわかった。対面診療のアプローチにも生かし、工夫していきたい」との発言が。医師にとってもオンライン診療でいただくユーザー様の声が学びとなっているようです。」と医師自身も発見があったと坂梨氏。

「不妊治療に至る人を減らして、産みたいときに産める社会を実現したいです。私自身、不妊治療にたくさんの時間とお金を使っており、正しい知識をもっと早くから知っておけばよかったと後悔しています。「いつか子どもがほしいな」と何となく思っていても、それが順調にかなうとは限らない。女性だけではなく男性にもその事実を伝えるサービスやプロダクトを通して、からだにまつわる正しい知識を得て、選択肢を失わないまま望む人生を生きてほしいです。」

とご自身の経験と後悔がこのサービスに活かされているという。きっとこれは、新たな常識となるのだろうと思う。

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医療健康情報を、専門医がオンライン上で確認。

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メディコレのホームページ。

それにしても、ネット上にはたくさんの医療情報が転がっている。それぞれの真偽を確かめるのはなかなか難しい。そんな医療情報に安心をつくりたいと、元フジテレビの報道マンが新サービスをこの9月に立ち上げた。株式会社メディコレである。奇しくも筆者の誕生日だ。

「情報の安心化は現代社会が抱える大きな課題のひとつです。なかでも医療健康情報については、問題ある情報を得たばかりに健康を害する危険性を秘めています。私含めて99%の日本人は医者でなく、専門知識をもっていません。人生100年時代の到来や新型コロナウィルスの猛威などの影響で医療健康コンテンツの需要が高まっていますが、どの情報が安心できるものか判断するのが難しい現状があります。コンテンツが流通する前に専門医が確認したことがひと目でわかるサービスをつくれば、安心して情報に接することができると考えました」と橋本礼次郎社長は語る。

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メディコレに参加する専門医。

ご本人もフジテレビ時代、報道番組や情報番組に携わり、ネット上などの医療情報が真実なのか?デマなのか?間違いなのか?疑問を持っていたという。

このサービスは、メディアの記事やPR文章など、医療健康情報を公開前の段階で専門医がオンライン上で確認作業を行い、問題がないコンテンツに対して認証マークを付与するサービス。

必要に応じて、コンテンツに掲載可能な医師のコメントを獲得することも可能だという。ネット上で完結するので、コンテンツ制作のDX化とも言えよう。

「情報の安心化を起点にして人々の健康寿命を最大化することです。画期的な健康サポート技術やサービスが誕生しても、それを利用する人は健康リテラシーが高い人ということが現状だと思います。そういった素晴らしいサービスを利用する人を増やすには健康リテラシーを高めることが重要です。私は健康リテラシーを高めるために重要なのは安心できる情報に接する環境を整えることだと考えています。健康寿命を最大化するための一丁目一番地として、情報の安心化の必要があると考えています」

筆者もこれまで多くの健康番組の構成をしていたが、すべてが正しかったか?というとちょっと怪しい面もあることは否めない。ネット上の情報を鵜呑みにしたり、書籍や雑誌情報を紹介したことは幾度もある。

健康被害が出なかったことは運が良かったのに過ぎないだけかもしれない。

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メディコレで確認するポイント。

「SNSの普及で今や一人ひとりがメディアになり、流通する情報量はかつてないほど膨大になっています。しかし不正確な情報、もしくは悪質なフェイクも存在して社会問題になっています。そんな中で事業として情報を発信するメディアが差別化を図るには、徹底した情報の安心化ではないかと思っています。安心できるコンテンツを作ることは情報の受け手の受益性を高めるので、メディコレとして全力でサポートさせていただければと思っています。」

確かに、インスタグラムやフェイスブック、YouTubeには素人がつぶやいている健康法が次々と登場している。これからは真実を見極めることが必要な時代へとなるのだろう。

「私はメディコレの情報安心化事業を通じて知る権利をアップデートしたいと考えています。知る権利1.0=「情報を知る権利」をアップデートして、知る権利2.0=「安心できる情報を知る権利」を提供する初めての会社になりたいと思っています。」

テレビ放送は、放送法で様々なことが定められており、不備や間違いがあれば訂正放送や場合によっては処罰などもある。また上場企業ということでコンプライアンス機能も働いている。だがネットにはまだ放置状態である。これからは真贋を判断する材料が必要なのだろう。このメディコレもそんな指針のひとつになるのかもしれない。

ネット社会が生み出す新しい医療サービスと医療情報判断サービス。ネットは更に我々の社会をよくしていくのだと、筆者は確信している。

野呂エイシロウ

1967年生まれ 放送作家、戦略的PRコンサルタント。学生起業家として活躍。その後編集者を経て「天才たけしの元気が出るテレビ」で放送作家デビュー。「奇跡体験アンビリバボー」などを構成。現在までに企業のブレーンとして150社以上に携わる。

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text: Eishiro Noro

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