30歳以下の若い社会人、うまく付き合うカギとは?

Society & Business 2021.10.01

物事の意味合い、気候変動、個別対応、新しい労働形態など様々なテーマについて、マネージャーと若い部下との対話は必ずしも容易ではない。彼らは自分の仕事に何を期待しているのだろうか。そして、彼らは自分の会社に何を期待し、何を目指しているのか。このテーマをより明確にするカギを紹介しよう。

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若い部下は、物事に意味を求めたり、充実感や周りからの想いやりを求めたり、マネージャーにとっては必ずしも理解しやすい存在ではない。photo: Getty Images

多くの若者は物事に意味を求め、社会的責任を掲げる献身的なブランドを愛しながらも、その思いとは裏腹に、社員数の多い大企業に就職する。自らの心の健康を守り、燃え尽き症候群になるのは避けつつも、多くの若者は起業やフリーランスの仕事を夢見ており、決して楽な道のりを送っているわけではない。新生活が始まって以来、テレワークも手放したくない一方、普通のオフィスライフが恋しいというのも本音である。

企業のマネージャーたちから見れば、30歳以下の社員は時に矛盾した期待を抱えている。30歳以下の社員は時に相反する期待を持っており、「採用」と「定着」は時に頭の痛い問題である。フランスでは18歳から30歳までの80%の人が、「自分の職業生活に満足」しており、仕事に愛着を持ち、仕事に関連する価値観(努力、功績、自発性、責任感)を持っている。これは、フレデリック・ダビとスチュワート・チャウ(Ifop(フランス世論研究所)の事務局長と世論調査会社Viavoiceのオピニオン・ポールの責任者)が、35歳以下の人々を対象に実施した調査・研究をまとめた『La Fracture』(1)の中で描いた人物像の大枠である。

「彼らは“脱サラ”世代とは程遠いものの、若者と企業の関係を再定義しようとする世界的な動きが見られる」とスチュワート・チャウは強調する。その背景には、若者からの企業への要求の高まり、そして若者の変革への熱い思いがある。

それらの変化は日常の細かな点であまり目立たないものの、少しずつ全てを変えていく。そして、そこに若い社員たちを満足させるカギが存在する。

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息苦しくさせない

「自由な時間」こそが、18歳から30歳までの世代が求めるものであり、彼らの最も強い欲求であり、彼らにとって幸せのカギだと考えている。「生活のあらゆる面において、常にプレッシャーや周りからの要求があり、情報が氾濫しています。そこで最も貴重なカギとなるのが、自分のための時間です」とスチュワート・チャウは説明する。

「2007年には、『人生を楽しむための時間を持つこと』を重要視する若者は31%でした。しかし2021年には42%にまで上昇し、成功した人生のためには、“幸せな家庭”に次いで重要な基準として挙げられています」。これは、2021年の18~30歳の人たちが、あまり働かないことを望んでいるということだろうか? 必ずしもそうではない。一方で、彼らは、燃え尽き症候群、モラルハラスメント、ダメなマネジメントなどが日常的に語られる時代にキャリアをスタートさせている。このような問題を意識すると、当然健康への警戒心が高まるかもしれない。「彼らは何よりも、ビジネスとプライベートを織り交ぜながら、非常に明快に語ってくれます。この世代は、会社を辞めてもすべてが終わるわけではないことをよく知っているのです」。

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ビジネスとプライベートを上手に融合

若い部下は、ビジネスとプライベートの境界線を引かないことを求める。仕事は家に帰ってからも続き、時には深夜のメールをベッドの中で受け取ることもあるので、彼らはプライベートな生活も送りながらオフィスワークする権利を求めているのだ。

「いまの若い部下は、境界線を超えて、仕事とプライベートをうまく融合させています。密閉されたふたつの時空を、隣り合っているだけではなく、融合させることを望んでいるのです。具体的には、ジムや医療機関への通院、荷物の受け取り、ちょっとした買い物、短時間の約束など、普段は家の近くで行うことをオフィスエリア内で行うために、日中でも躊躇なく時間を取っています。これらは、あらゆるレベルで柔軟性が求められていることを意味しています」とスチュワート・チャウは述べる。「このニーズは若者に限ったことではありませんが、彼らはその最前線にいて、それを新しい常識とし、他の社員に影響を与えています。これは、若者の間で自由主義が大々的に受け入れられていることと大いに関係があります。オフィスにおいても、彼らは自由を求めています」。

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よく耳を傾ける

“個々人に合わせて”と付け加えてもいいだろう。なぜなら、35歳以下の部下は、万人に適用される柔軟性ではなく、オーダーメイドの柔軟性を求めているからである。「時間の使い方はひとり一人の経験に基づくという考え方に注目しました。雇用主が条件を押し付けてもうまくいきません。ビジネスとプライベートの融合は自分で考えて、決めて、オーガナイズするという考えです。この点においては、若者たちが全面に出て環境に影響を与えています」とスチュワート・チャウは言う。テレワークやフレックスタイムに関する新しいルールを適用しなければならない上司に対し、彼らは自分たちの個性やニーズ、要望を主張している。また同時に、彼らは上司に対して、集団業務や評価基準、マネージャー同士の関係などの見直しを求めている。

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一緒に飲む

フランスでは、午後7時以降の地元の居酒屋でも同様のことが言える。35歳以下の43%が定期的に会社の近くで同僚と飲んでいるのに対し、50歳以上では4分の1にとどまっている。このような傾向は、お酒が好きというよりも、お互いをよく知りたいという気持ちの表れだと言える。若い部下は、職場でも個人レベルでも、集団帰属意識を年長者よりも強く感じており、求めている。若い社員にとって、オフィスは仕事をするだけでなく、自分を表現し、自分の価値観や約束を守る場所でもある。

「スキルの集合体というよりも、彼らは会社を本当の意味での人間社会として見ているのです」とスチュワート・チャウはまとめる。若者の33%(平均26%)は、会社に思いやりを期待しており、43%(一般的には36%)は連帯感を示すことを期待している。彼らの目には、オフィスは生活の場であり、すべての人の進歩とビヤンネートル(幸福)への想いをシェアする集団的なコミットメントの場であると映っているのだ。だからこそ、同僚との固い絆、ほとんど友好的な絆、時には親密な絆が重要なのである。18-30歳の人々は、仕事の内容と同様に、職場環境も意味や喜びの源であることを望んでいる。ユートピア? おそらく、上の世代の人たちの目には、そう映るだろう。しかし、若い人たちはこのレッテルを真っ向から否定するだろう。なぜなら、彼らは要求レベルが高く、上司よりも誇り高く、幸福感があり、仕事に愛着を持っているからだ。つまり、彼らが必要なものを与えれば、18-30歳はより充実し、より献身的になる可能性があるということが言える。そして、それは企業にとってもメリットがあるのだ。

text : Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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