患者を性犯罪から守る指針、仏国立産婦人科医会が発表。

Society & Business 2021.11.03

フランスで、産婦人科医に対する性的被害を訴える声が高まる中、フランス国立産婦人科医会 (CNGOF)は10月21日、患者を保護し、安心できる環境で診察を受けられるための指針を発表した。

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10月21日、フランス国立産婦人科医会(Collège National des Gynécologues et Obstétriciens Français)は“産婦人科の診察におけるルールブック”を発行した。photo:Getty Images

「婦人科医療のMeToo運動が始まったとも言えるでしょう。いままで女性の声はずっと押し殺されてきたので、これは良いことです」と「産婦人科での性被害をストップ」という団体のスポークスパーソンであるソニア・ビッシュは10月19日、テレビ局BFMTVで語った。

9月28日には婦人科の教授であり、テノン病院に勤務する子宮内膜症の専門医エミール・ダライに対し「15歳以上の未成年に対する性暴力」の捜査が始まった。2日後には集団暴行(強姦)の捜査も加わった。

それ以来、婦人科医の性暴力を訴える声は増加している。それに応える形で10月21日、フランス国立産婦人科医会(CNGOF)は正しい診察の形態を記したルールブックを作成。「産婦人科の診察は患者の最もプライベートな部位と関わることから、他の医療の診察と異なることを認識しなければならない」と明記している。このルールブックは「フランス国内のすべての産婦人科医に向けた」ものであり、関連職業の代表がこれに署名した。

しかし医師だけでなく、患者への周知も大切だ。ネットで閲覧することはできないが、患者が最適な環境で診察を受けられるよう、待合室にこの憲章を張り出すことを開業医に勧めている。CNGOFは「診察の前にすべての女性が知っておくべきだ」としている。

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診察の際の同意

CNGOFのルールブックは産婦人科医の診察を受けるに当たって、患者が知っておくべき診察法と医者の対応を12の点にまとめている。それだけでなく患者が拒否できる点にも触れている。「診察法は患者によって異なる。例えば若い女性が避妊の相談で初めて診察を受ける際、特定の症状がないなら内診を行うのは好ましくない」とされている。

このルールブックは法廷で焦点になる 「患者の合意」という点も取り上げている。まずは「内診が行われる前には口頭での合意が必要である」こと。そして「内診を望まない女性は診察を始める際にそのことを伝えること」を定めている。

このルールブックは研修医の立ち会いに関しても言及していて、患者が望まない場合はこれを拒否できると明記している。診察に伴う行為に関しては「胸部と腹部の触診、手袋もしくは指サックで膣との接触、膣鏡や経膣カテーテルなど医療機器の使用」などについても説明がなされている。「必要があれば説明がなされた後、肛門の触診に及ぶこともある」とも書かれている。「人目につかないところで服を脱ぐことができる」「自分が選んだ人の同席」など患者の権利も組み込まれている。

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続く性暴力

テノン病院での一件以前から、産婦人科での問題が告発されたことはあった。大勢の女性が勇気を出して被害を訴えている。ウェブ情報サイトLes Joursが10月12日に発表した調査によると、2013年にはヴァル=ドワーズ県の医師に対し予審が開かれている。この医師は現在引退しているが、118件の告訴がなされている。

text:Camille Lamblaut (madame.lefigaro.fr)

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