燃え尽き症候群になってない? 業務過多から抜け出すためには。

Society & Business 2021.11.29

積み重なるプロジェクト、対応しきれない締め切り、常に感じる危機感。新型コロナウィルスによるロックダウン以来、仕事の世界は危機的状況に陥り、誰もが心身ともに健康を害している。疲れがたまっているいま、脱・仕事術を身につけることが急務となっている。

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仕事のやりくりや無理な締め切りは当たり前のようになっている。しかし、これって何のため? 常に危機状態にあり、スローダウンすることが急務となっている。photo: Getty Images

過剰な要求に気持ちが圧倒される。社員、管理職、専門家としてただでさえ忙しい日常に、予期せぬ会議やすぐに返信しなければならないメール、ギリギリのタイミングでの案件が飛び込んでくる。その結果、息苦しさを感じ、心臓の鼓動が激しくなり、いまではすっかりおなじみとなったアドレナリンが放出される。これらの小さな日々の仕事が、長期プロジェクト、開発ビジョン、社内昇進など大きなインパクトとなる。もちろん、1分も無駄にできない。『Travailler, la grande affaire de l'humanité』(1)の著者であり、人類学者であるジェームズ・スズマンは、「『働きすぎ』や『社員の生産性をストレスレベルで測る』といった傾向は、もはや当たり前のことになっている」と指摘する。仕事は野心と同様、無限に拡がる可能性がある。常により良く、あるいはより多く、より高く、より遠くを目指すことができる。

しかし、特に新型コロナウィルスによるパンデミックが始まってからは、息つく暇もない。ロックダウン、テレワーク、そして現在の急激な景気回復が、この現象を悪化させているのは確かである。コンサルタント会社「Empreinte Humaine(アンプラント・ユマン)」の社長を務める心理学者のクリストフ・グエンは「従業員の大半が労働時間と仕事量が増え、その半数は休息がないと回答しています。新型コロナウィルスによる危機が去ったにもかかわらず、疲労感は消えていません。それどころか、2021年10月に発表された自社の最新調査によると、現在250万人近くの人がバーンアウト(燃え尽き症候群)を経験しており、2020年5月の約3倍となっています。管理職、39歳以下、女性が最も燃え尽きやすく、心理的苦痛を受けやすい傾向があります」と述べる。

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緊急事態に備える

緊急事態に備える方法は多様化している。中でも特に30歳以下の人は、充実した時間を取り戻すために、雇用主に対して新たなパワーバランスを求めている。また、自分の身を守るために都市を離れたり、再教育を受けたり、キャリアを中断したり、新しい日常の儀式を行ったりする人もいる。たとえば、パリの若い社会人たちが年度初めに集まり、「デトレーニング(一旦仕事を休むこと)」の美徳について考察するなど、多くの人々が深い考察を行っている。絶え間ないパフォーマンスが求められる中、スローダウンすることでより豊かで新たな地平線が見えてくるのだ。

仕事の過重性を認識する

お手上げになる前に、まずは仕事自体を評価する必要がある。自分のために、あるいは会社のために、不必要な過剰な負荷と価値のある負荷を区別すること。第一に、心と体の両面での健康への影響を重要視する。「夕方や週末になっても仕事のことが頭から離れないのは、仕事過多になっているか、仕事がうまく処理できていないからです。プロジェクトや締め切りが重なったり、目的達成のためのリソースが不足していたり、興味のない仕事案件が蓄積されたりすると、週35時間勤務でも気が滅入ってしまいます。時間の量は、仕事の質と同等に重要です」とクリストフ・グエンは述べる。

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優先順位は? 議論の時間を設ける

上司とはもちろん、マネージャーとも議論の時間を設ける。緊急事態に陥ったときこそ、議論の時間を設けることはより難しいものの、より重要なタスクとなる。

会社のために自分を犠牲にして「重要なのであと1時間仕事します」とか、申し訳ない思いで「仕事が遅れているので週末働いて追いつきます」などと言う。しかし、クリストフ・グエンはそういった場合、マネージャーは何もしてくれないと語る。「夜遅くまで急ぎの案件を処理しているにもかかわらず、その努力が認められないのは最悪です」と彼は強調する。だからこそ、上司だけでなく同僚とも定期的に話をして、他のスタッフがどのように仕事をこなしているのか、どのような助けが必要なのかを皆で把握することが重要である。そして、議論の場を開くことは文句を言う場でもなく、怠け者に見える訳でもない。「重要なのは、敵意を持たずに協力的な精神を保ち、解決策を提案することです。目的を達成するための方法を冷静に議論し、仕事の配分やタスクの優先順位のルールなどについて合意できなければなりません。やりがいこそが議論の原動力です」と心理学者は続ける。これにより、仕事をただこなすのではなく、自らのコントロールを取り戻すことができる。また、議論は外に出て視野を広げ、新たなインスピレーションを得るための唯一の鍵となる。議論なしでは、欠けていることや心に引っかかること、もう我慢できないことを整理することは難しい。

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仕事をテーラーメードする

働き方改革は千差万別である。第一に、特に大切なことは? 上司には、定期的に優先順位を見直すことや、新たな仕事を依頼する前に抱えている案件のひとつを外してもらうよう依頼してみよう。自分だけで集中する1時間を設けたり、毎日のルーティーンを設定したり、エネルギーを使い切らないうちに仕事を終えたり、仕事で参ってしまわないように休日を前もって設定したりすることも検討してみよう。あるいは、給料の一部を犠牲にしてでも週4日だけ働きたいという仕事スタイルを選ぶという選択肢もある。週休4日制を導入した先駆的な企業への応募の機会を待ちながら、別の働き方の可能性を模索しよう。より良い働き方になるかもしれない。

(1)「Travailler, la grande affaire de l'humanité」(著者:James Suzman、出版元:Flammarion、480ページ、23,90ユーロ、 leslibraires.fr)

text: Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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