友だちと恋愛抜きで子どもの「両親」になったイギリス人。

Society & Business 2021.12.09

From Newsweek Japan

文/イアン・ジョリエット(ロンドン在住のDJ/ジャーナリスト)

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子どもが欲しいジョリエットは7年来の友人に共同育児を提案した photo: IAN JOLIET

どうしても子どもが欲しかった40代の男女が選んだ新しい「家族の形」。僕と彼女は恋愛抜きで、生まれてくる子どもの親になる。

僕はずっと子どもが欲しかった。まだ10歳にもならない頃からだ。小さな頭でそんなことを考えるようになったのは、たぶんイギリスのケンブリッジで幸せな子ども時代を過ごし、両親から家族の素晴らしさを教わったから。そして僕が昔から子ども好きだからだろう。

最後に恋人がいたのは数年前。真剣に交際し、初めて本気で結婚を考えたが、残念ながら1年で破局した。

未来は僕が思い描いていたものとは違っていたが、女友達からは幾度となく、男性はいつでも欲しいときに子どもを持てるから大丈夫、と言われた。女性の場合、年齢的に妊娠・出産のタイムリミットがあるのは分かるが、男の僕でもいつでも子どもが持てるとは思えない。

女友だちのリンジーとは7年前の夏に友人宅での持ち寄りディナーで知り合い、友情を育んできた。似たところもあれば違うところもあるが、共通の趣味がある。

ふたりとも現在40代、リンジーも子どもを欲しがっていてタイムリミットが近いのを自覚していた。選択的シングルマザーたちの会員組織がすごく参考になるという。僕が聞いたところでは、子どもが欲しくてシングルマザーになることを選ぶ女性は大勢いるようだ。

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彼女に思いを打ち明けた日。
 

そんなやりとりの末、2020年9月、恋愛抜きで一緒に子育てする「プラトニック・コペアレンティング」というアイデアが頭に浮かんだ。それはリンジーも僕もずっと欲しかったもの──子どもを手に入れる完璧な方法に思えた。

その3週間後、僕はリンジーの家に食事に行く約束だった。彼女と恋愛抜きで一緒に子どもを育てたいと確信し、話をすることにした。それは「運命を決する瞬間」だった。僕の人生がある方向に進むか、それともリンジーがノーと言うか。

やっと話を切り出せたのは約30分後。僕の話をリンジーは黙って聞いていた。彼女がすぐにイエスと言ったときは本当にほっとした。

20年12月18日、僕たちは不妊治療専門医の診察を予約していた。リンジーの42歳の誕生日前だ。妊娠が判明したが、クリスマスの数日前に流産。合計3回流産した末に、今回の妊娠に至った。

性交渉による自然な妊娠だった。それがいちばん簡単だったし、(女性が40~42歳の場合には)性交渉で妊娠できなかったことが国民保健サービス(NHS)で体外受精を受ける条件のひとつだから。しかし、いまもこれまでも恋愛関係はない。リンジーとはいい友人だ。

現在リンジーは妊娠24週目。まだ同居していないが、これから育児で大変になるから、広い家に2人で引っ越すつもりだ。

いまは生まれてくる子どもが最優先で、リンジーも同じ考えのはずだが、別のパートナーに出会う可能性を消したくはない。女友だちと恋愛抜きで共同育児しているなんて言ったら、相手は嫌がるかもしれないけど!

恋愛感情がないほうが楽かどうかは正直分からない。離婚した夫婦や破局したカップルが仕方なく一緒に子育てをするのも、理屈の上では「プラトニックな共同育児」だが、プラトニック・コペアレンティングの場合は自発的で積極的だ。

リンジーも僕も自分たちの決断に満足している。万事うまくいけば、僕の人生でいちばんの名案になるだろう。

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text: Ian Joliet

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