起業で天職を見つけた、10人の女たち 2度目の起業で叶えたのは、クリーンで安全性の高いオムツ。

社会と向き合い、自身の夢を描き、それを起業という形で現実のものにした女性たちがいる。
天職と出合った人の女性が伝える、仕事を始めた理由と、働くことの意義。

キャロル・ ジュージュ=レオウェリン

Joone CEO

起業失敗から学んだ、 クリーンなオムツ。

パリ大学で教鞭をとり、女優として舞台や映画に出演。そんなキャロルのキャリアは、乗馬中の事故で突然中断した。6カ月の静養中、出産前後の母親たちのネットワークビジネスで起業するも、収益を生まず大失敗。しかしこの時のコミュニティから、 母親は子どもの食とヘルスケアの情報を求めていると感じた。有害物質や表示の規制が少ないヘルスケア製品には改良の余地があると、2017年にジューヌを興し、クリーンなオムツ作りをスタート。Eコマースで自宅に届く、安全性が高く可愛いオムツは大成功し、4年後の現在は、ベビー、妊婦、ティーン用のスキンケア商品まで幅を広げる。いずれも有害物質を可能な限り排除し、独自に開発したシステムで二次元コードによるトレーサビリティを実現。2021年はモノプリなどで店頭販売を始め、東アジア進出も目前に控えて躍進が続く。

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ー 2度の起業で苦労したことは?

起業することは困難の連続。初期は特に資金面、製品のクリエイ ション、それからマーケティング戦略。ブランドを作ることは恋愛小説の創作に近く、時間と説得力が必要です。どの段階でも困難を乗り越えるための手段は、柔軟性と行動力を示すことでした。

ー 1日のタイムスケジュールを教えてください。

今夏に息子が誕生し、毎日が激変。7時までに起床し、子どもがまだ眠っていればヨガか瞑想。9時頃に子連れで出勤。会議室を保育室に改造し、デスクも置いたので、午前中は子どもを横目に会議や電話連絡。14時にシッターが到着したら昼食を取り、午後は仕事に専念。帰宅後は子どもが寝た20時頃に夕食。夜は仕事をすることもあるけれど、2日に一度はゆっくり夫と過ごします。

ー お手本にしている人物を教えてください。

バンブルの創始者でCEOのホイットニー・ウルフ・ハード。オンラインデーティングを安心できるものにして、伝統的な業界の在り方を変貌させたビジネスモデルに刺激をもらいました。

ー 働くことのモチベーションを教えてください。

ジューヌは安全性が高い100%追跡可能な商品で、子ども向けヘルスケア市場の意識を向上させることができました。有益で善意のあるポジティブなものを世界にもたらしたと自負しています。これこそ、私とチームを毎日前進させてくれる力です。

ー 母親になったことで、仕事への影響は?

自分の中の優先順位が変化しました。以前は夜や週末に働くことに疑問を感じなかったけれど、いまは子どもと過ごす時間もとても大事。日々の中で子どもとの暮らしを充実させながら仕事でも有能であるためには、自分のオーガナイズ力が役立っていると思います。

ー 人生のモットーを教えてください。

未来はより良い世界になるし、人間は集団的により良い世界を望むことで向上できるという考えが私の哲学です。人間はもともと善なる存在で、常により良いものを目指していく素晴らしいキャパシティを持っていると信じています。

ー これからやりたいことや最終的な目標は?

目標のひとつは、ジューヌのベビーと子ども向けヘルスケア商品が世界市場において3%の販売シェアを獲得すること。ふたつ目は、教育の場にインパクトを与えるような小説を書くこと。そして、家族が健康で幸せに暮らせることです。

＊「フィガロジャポン」2022年1月号より抜粋