望まない妊娠をタブー扱いするのはもうやめよう。
Society & Business 2022.03.07
クラウドファンディングで支援、#わたしたちの緊急避妊薬。
日本財団によると、思いがけない妊娠は1年間に約61万件、そのうち未成年者の場合は6割以上が中絶を選んでいるという。手術には親権者の同意が必要だが相談しにくい、医師に自己責任と叱られる、相手が親族や兄弟のため誰にも相談できないなどの理由で妊娠週数が進んでしまうケースも多いという。
若者の場合、予期せぬ妊娠の原因は正しい避妊法を知らないことや自分たちで責任がとれない顛末を想像できないこともあるが、セックスを断れない状況だってあるのだ。
photo: iStock
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そんな時のひとつの選択肢が、アフターピルと呼ばれる緊急避妊薬。避妊できなかった時に性行為から3日以内に服用すれば、約85%の確率で排卵を抑え妊娠を妨げられる。吐き気や頭痛などの副作用を伴うこともあるが、将来の不妊に繋がることはない。
フランス、イギリスやアメリカは、緊急避妊薬の無償提供を行っている。しかし日本では1錠¥8,000~¥10,000と高額で、未成年者にとってはかなりハードルが高いことは確実だ。
そこで、Z世代の社会起業家のひとり、鶴田七瀬が主宰するソウレッジが、クラウドファンディングのプロジェクト「#わたしたちの緊急避妊薬」を立ち上げた。この5月には緊急避妊薬の無償提供を開始し、避妊の知識を広める活動も勢力的に行っていく予定だ。
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ソウレッジは「すべての人が、自分の人生を選択できるように。性教育への最初の一歩を届ける」ことを目標に、学校や経済的な困窮する家庭に性教育教材の寄付を行うNPO。なかでもメディアや学校、自治体で話題になったのが、ソウレッジが開発した「性教育トイレットペーパー」の寄付だ。トイレットペーパーにイラストで描かれた性の知識を、パーソナルで日常的な空間である学校や公共施設などのトイレで子どもたちが自然と得ることができる。
”つるたま”の愛称で知られる、現在26歳の鶴田七瀬。大学時代に日本のNPO法人でのインターンを経て、北欧の性教育の現場(教育、医療、福祉などの施設)を30カ所以上訪問。帰国後2019年にソウレッジを設立。22年度の「フォーブス30under30 日本発、世界を変える30歳未満の30人」に選出された。
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未成年の予期せぬ妊娠をなくすための、「#わたしたちの緊急避妊薬」プロジェクトは、緊急避妊薬の無償提供を行うだけでなく、学校以外でも正しい性教育の知識を得られる環境づくりや不安な性行為を繰り返さないようにするサポートも忘れない。困っている人たちの「見える化」を目指し、LINEなどで継続的に情報を発信していくという。
22年3月25日まで目標額¥20,000,000を目指して、クラウドファンディングを実施中。オンラインピル処方サービスのエニピルと連携しており、受診後妊娠判定を受けた場合、申請すれば22歳以下の若者に即日配送される仕組み。
さまざまな情報が氾濫するいまこそ、大人である私たちが性教育のあり方を改めて考え、学び、社会のためにできることはありそうだ。
https://camp-fire.jp/projects/view/392012