BWAピッチコンテスト ファイナリスト発表会 365日、ゲーム感覚で楽しめる環境アクション。

Society & Business 2022.05.23

Dream Award ファイナリスト #1
Earth Calendar(アース・カレンダー)

発表者:鈴木理沙さん

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鈴木理沙 / Risa Suzuki
ビジネス系専門学校に通う19歳。フィリピンにいたストリートチルドレンとの出会いを通して社会問題に関心を抱き、高校3年生でエコカルチャー(日常の中で出来るアクション)の発信を軸として、イベントの企画運営からプロダクト制作まで幅広く活動する【学生団体TOWA】を設立。現在、その代表を務めながら2022年中に社会起業するという目標を掲げ日々奮闘中。
https://towayouth.wixsite.com/towa-youth-jp
instagram : @towa_youth_jp
instagram : @mi_xx_risa

 

鈴木理沙さんによる「Earth Calendar」のピッチ

この春に高校を卒業した鈴木理沙さんが提案するのは「Earth Calendar(アース・カレンダー)」。日めくりカレンダーに日々の“地球のためのミッション”が記載されていて、小さなアクションを起こすためのきっかけを生むプロダクトだ。

「日々のミッションは日常のなかで、ゲーム感覚で楽しめるものにしたいと考えています。例えば、ある日は水不足の問題にフォーカスし、水を大切にするアクションとして【シャワー3分間チャレンジ】というミッションを提案します。洗顔料やボディソープを短時間で一気に流すというもので、やってみると意外とできてしまうんです。また、別の日にはプラスチック問題にフォーカスし、【包装されていない食材しばりで買い物】にチャレンジしてみる。Earth Calenderは、こうした日常プラスαの楽しいミッションが365日分記載されたカレンダーです」(鈴木理沙さん、以下同)

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「Earth Calender」のイメージ(鈴木さんの発表資料より)

鈴木さんが環境問題をはじめとする社会課題に強く関心を抱くようになったのは、14歳のころ。フィリピンのストリートチルドレンに出会ったことがきっかけだった。高校では国際人文科で世界各地の文化や価値観を学び、18歳でエコカルチャーを発信する学生団体TOWAを設立。子どもや高校生向けにSDGsイベントを開催するなど精力的に活動していくなかで、一つの課題に直面したという。それは、多くの人が環境問題に関心を寄せているものの、具体的なアクションにつなげられないという点だ。

IMG-8241.jpeg鈴木さんが設立した学生団体TOWAが発行するオリジナルマガジン。(鈴木さん提供)

「20代から60代を対象にした、ある環境意識調査によると、約7割の方が地球環境に対して危機意識を持っているようです。しかし、実際に私の周囲を見渡すと、地球のために何かアクションを起こしている人はあまりいないように感じます。話を聞いてみると、『なにをすればいいか分からない』と」

もちろん、それぞれが日常のなかでゴミの分別や節電など、できることはやっている。ただ、日常プラスαのアクションを起こすとなると、ハードルの高さを感じてしまう。そこを一歩乗り越えるためには何が必要か? ヒントになったのは、タイで行われているある取り組みだった。

「タイではレジ袋が廃止されています。そこで、お店を利用される方はレジ袋の代わりに洗濯ハサミを使ったり、バケツを応用して使ったりと、それぞれがクリエイティビティを発揮している。私はタイのみなさんの(楽しみながらアクションを起こす)エンターテイメント性に惹かれ、自分たちの日常にも取り入れられないかと考えました。そこで考案したのが、Earth Calendarです」

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カレンダーをめくるたび「新しい当たり前」が増えていく

Earth Calendarの特徴は4つ。「毎日、違うミッションを提案すること」「各ミッションに補足説明を記載し、地球環境にまつわる豆知識が得られること」「環境に配慮した素材を使用すること」「老若男女に愛されるデザインにすること」。なかでも、楽しむ、アクションを起こすという観点においては「毎日、違うミッションを提案すること」が重要だという。

「例えば、その日のミッションを気に入ったり、意外に難しくないことだとわかったら、『明日もやってみよう』となり、やがて習慣化していくと思います。そうやって、新しいミッションを日々クリアしていくことで、“新しい当たり前”を増やしてほしいんです。それに、毎日違うミッションをクリアしていくほうが、充実感や満足感を感じてもらえると思います」

今後はミッションのアイデアを公募で集め、まずは1カ月分のカレンダーを制作。そして、SNSなどで得られた反応を参考にしながらブラッシュアップし、月ごとに販売していくことを想定している。

「Earth Calendarはシンプルなプロダクトです。だからこそ、多くの人に受け入れてもらいやすく、私たちの日常に彩りや楽しみを与えてくれるものだと思います」

<審査員のコメント>

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フィガロジャポン編集長 佐藤 俊紀
地球環境については課題があまりに大きすぎて、私自身を含めて多くの人が無力さを感じてしまうところがあると思います。こうした多くの人が抱える課題に対して丁寧に寄り添った、素晴らしいアイデアだと感じました。

環境問題を解決するには、大きな“うねり”が必要で、そのうねりを作り出すには日々のアクションの積み重ねが必要です。その点、Earth Calendarには、一人ひとりが確実に実行できる、小さなアクションを生み出す力があります。

「日めくりカレンダー」に着目した点もユニーク。毎日カレンダーをめくる、そのルーティーンの延長線上に「今日も何かをやり遂げた」という達成感を積み重ねていくことができる。結果的に、日々の生活そのものが(環境問題を解決するための)実践につながっていくというのは、とても面白いと思います。

 

text : Noriyuki Enami (Yajirobe.Co.Ltd)

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