2022年 第75回カンヌ国際映画祭 カンヌのレッドカーペットが黒煙に包まれた理由。
Society & Business 2022.05.23
5月22日、ドキュメンタリー映画「Riposte Féministe」の上映にあたって、活動家集団レ・コルーズが、カンヌのレッドカーペットで拳を振り上げた。
カンヌ映画祭でフェミサイドの犠牲になった女性たちの横断幕を掲げるレ・コルーズのメンバーたち。(カンヌ、2022年5月22日) photo : REX / Aflo
5月22日、カンヌ映画祭のレッドカーペットに、フェミニスト集団レ・コルーズのメンバーが登場。フランスでフェミサイド(女性殺人)の犠牲になった女性たちの名前を記した巨大な横断幕を広げた。
これは、映画祭でその日の午後に上映されたドキュメンタリー「Riposte Féministe」の一環として行われた演出。アンジェリック、エヴリーヌ、ソフィア、ナディア……昨年7月に行われた前回のカンヌ映画祭以降にフランスで発生したフェミサイドの犠牲者たち129人の名前やアイデンティティが、パレ・デ・フェスティバルの大階段に現れた。続いて黒いドレスに身を包んだ活動家たちが拳を振り上げると、発煙筒に点火、レッドカーペットに黒い煙が立ち上った。
このシーンは、写真家レイモン・ドパルドンによって撮影された。彼の息子のシモンがマリー・ペレネスとともに監督した「Riposte Féministe」は、レ・コルーズたちを追ったドキュメンタリー映画。彼女たちは、ほとんどの場合夜に、性暴力や街頭での性的ハラスメントを告発するメッセージを街角にコラージュし、性的暴力の被害者への支援メッセージを発信している。
【関連写真】女性の名前が書かれた横断幕を掲げるレ・コルーズほか
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「Holy Spider」
同日、クロワゼット通りでは、イランのコンペティション部門出品作のスリラー映画「Holy Spider」も上演された。デンマーク人のアリ・アッバシ監督のこの作品は、イランの女性たちの厳しい状況を描いた感動的な長編映画だ。
そして、今回のカンヌ映画祭での強烈な行動の中には、5月20日に起こったハプニングも忘れられない。スターの居並ぶレッドカーペットに女性活動家がトップレスで乱入したのだ。胸には「私たちをレイプするのはやめて!」というメッセージ。ウクライナの難民女性たちに対するロシア人による性的暴行を告発するものだった。
text : Madame Figaro with AFP