フランス議会で、一着のワンピースが物議を醸した理由。

Society & Business 2022.07.15

2012年7月17日、フランスの国民議会での口頭質問で、激しいやじが飛び交った。騒ぎの理由は、当時の地域間平等・住宅大臣セシル・デュフロが着用していたワンピース。10年を経て、この時のワンピースがふたたび議事堂に登場した。

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マリー=シャルロット・ガラン(ヨーロッパ・エコロジー=緑の党)議員がセシル・デュフロのワンピースを着て国民議会に初登院。(パリ、2022年6月28日) 動画のスクリーンショット

議員にとって、議事堂で着用する衣服は決してさまつな問題ではない。フランスの先の選挙で、ローヌ県第3選挙区から選出された緑の党議員マリー=シャルロット・ガランは、そのことを想起させるために、2012年7月にやじや嘲弄(ちょうろう)を引き起こしたセシル・デュフロのプリントのワンピースを着用した。この服を一種のコミュニケーションツールとして利用するアイデアは、6月中旬に実施された国民議会選挙の際にデュフロ元大臣から示唆されたという。

 

 

ガラン議員の説明によれば、このボーデンのワンピースを政治の舞台へ再登場させたのは、現在NGO「Oxfam France」の理事長を務める元大臣の後を「引き継ぐ」意思を公に明示するため。また「国民連合にいるかもしれない女性嫌いで性差別主義者の議員たち」にメッセージを送り、「この空間はあなた方の占有物ではないと彼らに伝えるため」でもあるという。「議事堂内に相変わらず存在する性差別や性的暴力」に対抗する「シンボル」だと、議員はジャーナリストに向けて強調した。

 

セシル・デュフロ(左)と同じワンピースで登場したマリー=シャルロット・ガランの写真を並べた投稿。デュフロはこの投稿を引用し、「私の人生があるのは、道を切り拓いてきてくれたフェミニストのおかげ......そして歴史は、これからも続いていく」とエールを送っている。

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罵声とやじ

この逸話はなかなか奥が深い。ワンピースは七分袖のシンプルなデザインのもので、丈は膝まで。白地にブルーの大きめのモチーフがプリントされ、ウエストマークだが、襟元のあきは控えめだ。ブルボン宮殿の議場がこのワンピースに騒然となったのは、まったく予想外の事態だった。

2012年7月17日。当時、フランソワ・オランド政権で地域間平等・住宅大臣を務めていたセシル・デュフロは、グラン・パリ構想について議員からの質問に答えるために演壇に上がった。しかし、罵声と口笛の集中砲火を浴び、答弁どころではなくなった。議員たちが問題視したのは、地味な色合いのパンツスーツとは異なる彼女の装い。女性らしい身体のラインを強調したデザインが、当時ルヴァロワ市長と議員を兼務していたパトリック・バルカニをはじめとする一部の議員たちを憤然とさせた、とファション史家のソフィー・ルマイユは『S’habiller en politique, les vêtements des femmes au pouvoir 1936-2022(政治家の装い、権力の座についた女性たちの衣服 1936-2022年)』の中で書いている。

「おそらく議員たちが自分の発言を聞かないように彼女はあのワンピースを着たのだろう」と、バルカニ議員は当時フィガロ紙に語っていた。外見に関わるある種のオブセッションを物語るこうしたコメントについて、歴史家は著書のなかで次のように分析している。「身につけている衣服によって、また身体を引き立てることによって、女性は自分の言葉から注意を逸らそうとしている、と絶えず嫌疑をかけられている」

2016年、この服は装飾美術館で第二の生を得た。同美術館で開催された展覧会「適切な服装でお越しくださいーー服がスキャンダルになる時」に出品され、400点に及ぶ衣服やアクセサリーとともに展示されたのだ。展覧会終了後、ワンピースは持ち主に返却され、デュフロはそれ以後、何度かこの服を着用している。しかしこのワンピース騒動後も文化的習慣はそれほど変わってはいない。10年たったいまも、国会議事堂に以前として性差別が存在している問題に変わりはないのだから。

text : Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)

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