よい決断をするための8つのアドバイス。
Society & Business 2022.09.27
決断することは、人によって簡単だったり、難しかったりする。たやすく冷静に決断できる人もいれば、何日も拷問のように悩んでしまう人もいる。決断について、フランスの心理学者からのアドバイス。
一つの選択をするだけでも、まるで人生がかかっているかのように迷ってしまう人もいる。photography : Getty Images
レストランでメニューを見た時、次のバカンスの行き先を決める時、ヘッドハンティングされた時……。決断を迫られるたびに、まるで人生のすべてがかかっているかのように迷う人がいる。
決断することは、なぜそこまで難しくなってしまうのだろうか? 「選択とは諦めることである」というアンドレ・ジッドの格言を思い出してみてくださいと、臨床心理学者であり、精神病理学博士のネイラ・シディアック(1)は言う。「あらゆる選択には“訣別”と“損失”という概念が伴います。片方の選択肢は当然諦めざるを得ないので、この諦めが物事を複雑にするのです」
彼女いわく、これは現代特有の苦悩だ。「私たちが生きる社会では、多くのものが常につながり合っていて、非常に多くのものにアクセスすることができます。その結果、決断という行為がどんどん難しくなっているのです」。よい決断ができるように、シディアックは8つのアドバイスをくれた。
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1. 焦らない。
目新しい助言ではないが、意外と大きな助けになる。決断しやすくするには「まずストレスの度合いを下げることが必要」とシディアックは言う。つまり冷静な状態に戻る時間を取ることだ。
具体的には緊急性のある決断と、重要である決断を仕分けすることだ。「重要な決断はたくさんあるでしょうが、その中でも緊急を要するものはそれほどないはずです」。急がば回れ、だ。
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2. 問題点を書き出し、状況を要約する。
当面のストレスを減らすには、問題点を書き出してみることが有益だとシディアックは指摘する。「問題を相対的に捉え、最初の選別をするため」だそうだ。
それから、次の4つの質問に答えてみる。
・争点はどこにあるのか?
・可能な選択肢はどれなのか?
・自分にとって重要なのは何か?
・自分にとって優先すべきことは何か?
課題をより正確に把握できるはずだ。
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3. 困難な状況を台本にしてみる。
いまの状況を「数行の台本のように書き出し、3つの異なるエンディングを与えてみましょう」とシディアックはすすめる。こうすることで、不要な選択肢を外し、残った選択肢をまとめ、その上で自分の決断を一歩下がって見つめることができるという。
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4. 誰かにアドバイスをしているように考える。
意見やアドバイスは、他人に助言する場合の方が的確であることが多い。自分事となると力を発揮できないのなら、他人に助言していると脳に思い込ませたらどうか、と心理学者は提案する。
もし友人が同じ状況に置かれていたら、どのように助言するだろう? 実際、問題を紙に書きだしてみて、それが友人からの相談であるかのように返答してみよう。
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5. 「やりたい」か「やりたくないか」でリストを作る。
ここでは、通常の「+」と「-」で分けるのではなく、「自分がやりたい(欲しい)」「自分がやりたくない(欲しくない)」と自分軸に沿って分けてみよう。
「その方が全体的にクリアになり、具体性を帯びます。やりたくない事を明確にすることが、やりたい事を選ぶきっかけになるかもしれません」(シディアック、以下同)
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6. モチベーションをちゃんと見極める、判断する
自分が本当に何を欲しているのか考えると、早く答えが出ることがある。イタリア語を習い始める、ジムに登録する、と決断するだけでなく「やり遂げるモチベーションがあるかどうかを判断する必要があります」
自分に合いそうな完璧な先生を探し始める前に、本当にこのプロジェクトに自己投資できるのか考えてみよう。意外と早く答えが出るかもしれない。
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7. 身体を動かす。
頭の中を整理するには、自然の中で散歩するに限る。「身体を動かすことでストレスや不安から解放され、感情と義務でがんじがらめになった問題から少し距離を置くことができます」とシディアックはアドバイスする。
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8. 決断を引き受け、間違うことを受け入れる。
「決断するということは、自分を形作っていくことでもあります。自分の欲望だけでなく、関心がないこと、責任があることを自覚し、受け止めるのです」と心理学者は言う。
それができるかどうかが、子どもと大人の違いだ。子どもやティーンエージャーの場合は親が決断してくれるが、大人になると状況は一変する。
そして最後に、完璧な選択などなく、間違うこともあるということを受け入れるのも大切だ。
(1)「Les bienfaits de l'écriture, les bienfaits des mots(書くことの恩恵、言葉の恩恵)」ネイラ・シディアック著 (Éd. Odile Jacob), 22,90 euros.
text: Anne-Laure Mignon (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki