性的ハラスメントの犠牲者を守るフランス式暗号とは?

Society & Business 2022.10.24

あらかじめ決められた暗号を伝えることで、街頭でハラスメントを受けている人が、商店に身を寄せ、守ってもらうシステム——。イギリスで行われている取り組みをモデルした助け合いのシステムが、フランスでも始まった。

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フランスでは10人中8人の若い女性(18〜24歳)が街を歩いていて危険を感じたことがあると言う。Getty Images

ボルドー、リヨン、ルーアンなどフランスの複数の都市で「Ask for Angela(アンジェラを呼んで)」と書いてあるステッカーが商店のウィンドウに貼ってあるのを見かけるようになった。このステッカーはイギリスで行われている取り組みをモデルにしたもので、路上での執拗なナンパなどのハラスメントに対処するもの。Angelaという名前はAngel=エンジェル、つまり身を守ってくれる天使であることに由来する。

政府が推奨するこの市民の助け合いシステムは、街中で身の危険を感じた女性が身を寄せられる場所のネットワークを築くことを目指している。不安を覚えた女性がこのサインを掲げた店に入り「アンジェラはいます?」という暗号フレーズを言えば、店の人は助けを求めているのだと理解し、その人を守ることができる仕組みだ。商店がこのネットワークに積極的に参加するよう政府は申請書を配布し、店の従業員には被害者に対応する際のトレーニングを提供している。

この取り組みは2020年5月にマルレーヌ・シアパ前男女平等担当大臣が開始した「アンジェラ・プラン」の一部だ。当時はコロナ禍、そしてロックダウンの真っ只中だった。大臣は「現行犯の調書を取れる警察官が周りにいない場合でも」身の危険を感じた女性が安全に過ごせる場所を提供する必要があると発表した。当初はバーやナイトクラブに限定されていたが、現在は昼夜を問わず商店、ホテル、レストランに拡大された。

10人の女性の内8人

今年の3月にYouGovが行った調査によると、フランスでは10人中8人近くの若い女性(18〜24歳)が道を歩いていて不安を感じるとのことだ。大半の女性が後をつけられたり、付きまとわれたりされたことがあると答えた。この数字は仏内務省が発行した『街中でのハラスメント指標 2022年版』を裏付ける。2019年と2020年には91%近い女性が「性差別的被害」を被ったとことがあると報告している。

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

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