「ジェンダー平等の達成」には286年かかる?
Society & Business 2023.01.03
責任のあるポジションや生活水準。現在進行中のさまざまな危機が、男女間の不平等を“悪化”させているとの見識を国連が明らかにした。
12億人の女性と妊娠可能な年齢の女子が人口中絶を制限する国に住んでいる。photography: Getty Images
昨年4月に再選を果たしたフランスのマクロン大統領は、勝利演説で「いまより公平な社会、男女の平等のために働く」と述べた。しかし現実は厳しく、国連は社会に存在する男女の格差を根本的に解消するには286年かかると見通した。昨年9月にAFP通信が伝えた国連の公式発表によると、いま、世界で起きているさまざまな危機は男女の不平等を悪化させる可能性があるという。「現在のスピードからすると、法的保護の欠落が是正され、差別的な法律が廃止されるには、最長で286年かかると考えられる」と国連女性機関(UN Women)と国連経済社会局(DESA)が発表した。
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職場でのリーダーシップ
家父長制度が生む不平等に対して対策を取っている国もある。しかし、責任のある職につける可能性、生活水準や給料の格差、家庭内での精神的負担など、現存する性差別はあまりにも根深い。そのため女性が「職場で権力やリーダーシップのある職に平等に就くことができる」には140年、「国会などで男女の数が同等になるには最低でも40年かかる」と国連は考えている。
原因は「コロナパンデミックとその爪痕、各地で起きている紛争や気候変動だけでなく、女性の性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)に対する否定的な態度がある」からだと報告書は指摘する。2022年の終わりには一日1.90ドル以下という極貧状況で暮らす女性や女子は3.83億人いると推定されるのに対し、男性や男子は3.68億人だ。
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「女性のために投資する」
これに加え、女性と子どもを産むことができる年齢の女子のうち、12億人が人工中絶を制限する国に住んでいる。多数の原因があるので「互いに手を取り合って女性や女子のために投資する必要があるのです。この目的に沿って進歩を促進させなければなりません」と国連女性機関シマ・バホスは当報告書でコメントしている。
「データを見れば、収入、安全、教育、健康の面において女性の生活は明らかに後退していることがわかります。そして世界危機がこれを更に悪化させています。この流れを逆転するのに時間がかかればかかるほど、女性にとっても、男性にとってもコストが高くなります」と彼女は付け足した。憂慮すべき現状だ。国連加盟国が設定したSDGsの一つ、“2030年までのジェンダー平等の達成”には程遠い。
text: Madame Figaro with AFP translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki