人工中絶合法化を訴え、自分の出産シーン動画で選挙キャンペーン。

Society & Business 2023.01.12

アメリカの連邦議会議員に立候補しているケイティ・ダーリング。ロー対ウェイド判決が覆され、地元ルイジアナ州で人工中絶が禁止されて以降、人工中絶する権利を焦点に選挙活動を行なっている。

 

 

右側の車窓からはニワトリや牛の姿が過ぎ去り、セント・タマニー群にある自分の牧場も遠のいていくのが見えてくる。助手席に座っているケイティ・ダーリングは妊娠9か月。夫の運転で地元ルイジアナ州の病院に向かっているところだ。彼女は民主党候補として連邦議会に立候補している。10月3日にSNSにアップされたこのキャンペーンビデオは田舎町の穏やかな風景から始まり、出産までの道のりを記録したものだ。同時に人工中絶合法化に向けての戦いをほのめかすものでもある。

ビデオの中で彼女は心配そうな表情で登場し、ナレーションで自分の不安を語る。高リスク妊娠であることを告げられており、何らかの合併症が起きることを心配している。その中で中絶に対するルイジアナ州自身の厳しい法律についての疑問も語る。ここでは妊娠によって母親の命が脅かされている場合、もしくは出産後赤ちゃんが生存する可能性がない場合のみ、人工中絶が許されている。レイプや近親相姦の結果の妊娠であっても中絶は認められていない。

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ロー対ウェイド判決

「最近ルイジアナ州で議決された中絶禁止法は我が国の中で最も厳しく無情なもので、私はこれに対し大きな懸念を抱いています。妊娠中の女性にとって必要なのは安心して産むことができる環境です。命が危険に晒されることはあってはなりません」とビデオで発言している。ルイジアナ州第1選挙区の民主党候補であり、中絶合法化を支持する彼女は、女性の権利と中絶の権利を公約にあげている。このビデオは彼女の旗印となるものだ。

ワシントン・ポスト紙のインタビューでは立候補を決意した時、自分は妊娠7カ月だったと語り、AP通信は「6月にアメリカ最高裁判所が人工中絶の憲法による保護を廃止する決断を受けて」の決断だったと伝えている。アメリカ全土において中絶を憲法上の権利とした1973年のロー対ウェイド判決が覆されたのが今年の6月だ。以降、それぞれの州は中絶に対する自らの考えによって州の法律を定めることができるようになった。

「自分の安全が保障される場所に引っ越さなきゃ、ととっさに思いました。しかし落ち着いて考えてみると、どのようにしたら自分たちの生殖に関する権利を取り戻すことができるか、それが大事だと気づきました。そこで民主党に連絡し、候補者の支援について問い合わせました」と『The Cut』という情報サイトで説明している。これをきっかけに、社会問題に対して強い思い入れがある彼女は、単なる有権者から最前線に立つの候補者へと変身した。中絶制限法に抵抗するケイティ・ダーリングの戦いはこれからだ。

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

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