親による子の写真のSNS投稿に罰則を!仏で法案提出。
Society & Business 2023.02.21
フランスで、ブリュノ・ステュデール議員が旗振り役となって、与党の議員たちが1月19日に国民議会に法案を提出した。「児童の肖像権を保護」し、みだりに子どもの写真を公表する親に罰則を与えるのが目的だ。
法案によると、ティーンエージャーの10人に4人が、親が自分の写真をネットで公表しすぎると思っている。photography: Getty Images
親が子どもの写真をSNSに投稿しすぎている? フランスの再生党議員ブリュノ・ステュデールの答えは「ウィ」だ。1月19日、バ=ラン県選出のステュデール議員ら再生党の議員たちは「児童の肖像権を保護する」ために、インターネット上での児童の画像使用に関する規制を強化する法案を提出した。1月27日にBFMTVの番組に出演した議員は「SNSが普及した21世紀のいま、親に託された大きな使命のひとつ」ともいうべき懸案事項であると説明した。
この法案のなかでステュデール議員は、平均的な子どもの場合、「自分自身のアカウントや、親や身近な人たちのアカウントに投稿された、自分の顔が写っている写真の枚数は13歳までに1300枚に上る」と指摘している。枚数自体は本人や家族が有名度によって差があるものの、この現象には多くのリスクが伴うと議員は言う。まず、小児性愛者の間で子どもの画像が拡散するリスク、そして次に、子どもたちのメンタルヘルスを損ねるリスクだ。「“いいね”合戦や、その他の評価を通して、子どもたちがインターネット上で過度に第三者の判断に晒されると、特に自分自身や自己イメージの受容において心理的な問題が生じる可能性がある。またサイバーハラスメントを生む土壌にもなる」と法案には記されている。審議は3月に予定されている。
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「シェアレンティング」
法案は「シェアレンティング(sharenting)」と呼ばれる現象にも警鐘を鳴らしている。これは「sharing(共有する)」と「parenting(親であること)」のふたつの語を組み合わせた言葉で、親が自分のアカウントに子どもに関するコンテンツを掲載する行為を指す。ロックダウン期間中に、子どもを持つ若いインフルエンサーたちの間で一般化した。
このトレンドは「未成年のプライバシー侵害の主なリスクのひとつ」とされる。同法案はまた、全米行方不明・被搾取児童センターの2020年の報告をもとに「(2020年に)児童ポルノサイトに掲載された写真の50%は、もともと親によってSNSで公表されたものだった」とも指摘している。
法案の後半では、「なかには、特に全裸の赤ちゃんや体操着姿の少女の写真など、とりわけ小児性愛者の興味を引く画像もある」という記述も見られる。さらに議員たちは「子どもに屈辱を与え、子どもの品位を損ねる行為を親自身が動画に撮影するケースもある」と注意を喚起している。赤ちゃんやペットにスライスチーズを投げつける「チーズ・チャレンジ」が例として挙げられている。
「親としての権限を持ち、同様の理由で子どもの肖像権をも保有する親は、子どもの保護者であると同時に管理者でもある」とステュデール議員は強調する。議員はまた「影響力という経済の到来」によって、自分の子どもの画像を金儲けに利用する親もいると告発している。
そのうえ、法案によれば、ティーンエージャーの10人に4人(1)が、親によってネット上で過剰に自分の写真が公表されていると考えている。「児童の権利擁護に関わる諸団体によって収集された多くの証言も、子どもたちが認知的不協和の状態に置かれていることを一様に示唆している。子どもたちの多くは、親によって見せびらかされることを好ましく思っていないようだ」
法案が採択されれば、「親の権限という定義の中にプライバシーの概念が導入」され、ふたりの親が共同でこの権利を行使すべきであるという点が明確化されることになる。今回の法案は2年前に着手された審議を引き継ぐものだ。2020年に提出された「子どもインフルエンサー」に関する法案でもすでに「オンライン上のプラットフォームにおける16歳以下の児童の画像の商業利用」に関する法律上の不備を是正することが狙いとされていた。
(1)2019年にマイクロソフト社が実施した調査による。
text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr)