ウィキペディアにもっと女性科学者を! 物理学者ジェスの奮闘

Society & Business 2023.04.10

ジェス・ウェイドは5年前からオンライン百科事典でのマイノリティの地位をプロモートしようと奮闘している。2022年10月17日のワシントン・ポスト紙に登載されたインタビューでその道のりを語った。

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女性科学者を世間に知らせるため、オンライン百科事典が登載した1,750ページの一つであるキム・コッブさんについての記事。Madame Figaroのスクリーンショットより

ウィキペディアを男女平等のプラットフォームにすること。それが33歳のイギリス人の女性物理学者、ジェス・ウェイドが自らに課した使命だ。2017年から世界中の女性科学者のページを作成し、世間に知られていない彼女たちの仕事を明らかにする活動をしている。

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科学界のマイノリティの認知度を向上させる

2017年にアメリカの気候学者キム・コッブとの出会いからこの活動が始まったとジェス・ウェイドは昨年10月17日付けのワシントン・ポスト紙で語っている。インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者である彼女は、ウェイドさんの発見についてウィキペディアに何の記載もないことに腰を抜かすほど驚いた。そしてこのオンライン百科事典には女性科学者についての情報が圧倒的に少ないことにすぐに気付いた。

「ほとんどの人がウィキペディアを利用しています。このサイトは非常に重要なリソースなのに、女性や有色人種に関する記事が少な過ぎました」

そしてウェイドさんは科学界におけるマイノリティの認知を高めるため、この参加型プラットフォームに記事を投稿するようになった。現在1,750項目書き上げたが「まだまだやることはたくさんあります」と話す。

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男性に関する記事が多いウィキペディア

「ウィキペディアは歴史から締め出されてきた人たちに信憑性を与えてくれる力強いツールです。科学界には大勢の女性がいますが、彼女たちの功労を称えるための努力は足りていません」とジェス・ウェイドはワシントンポスト紙に話している。

当プラットフォーム上のジェンダーギャップを減らす活動をしている編集グループWoman in Redというウィキプロジェクトによると、女性に関する英語で書かれた記事はたったの19%しかない。すなわち「2022年10月10日付けではウィキペディアに登載されている1,907,982件の伝記の内、369,172のみが女性だということです」とウィキペディアのページにも載っている。

参加型のサイトであるため、ボランティアが執筆した記事は管理者に有効であると認めてもらわなければならない。その記事が投稿されるに値するかどうかは、知名度などの基準で決められるとジェス・ウェイドは説明する。「女性や有色人種の場合、二重に卓越していないとこのサイトに容認されないという悪循環があります」と嘆いた。

ジェス・ウェイドの活動はすでに成果をもたらしている。3年間で女性の記事の割合は15%から19%に上がったとウィキメディア財団広報部長アヌシャ・アリカーンはワシントンポスト紙に報告している。新たに75,000件の女性のプロフィールが登載されたとのことだ。
ジェス・ウェイドも自身の科学研究で複数の賞やメダルを受賞している。ウィキメディアにも彼女のページが登場した。

text: Lena Couffin (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

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