男性の育休取得でパパのうつリスク軽減。一方ママは?

Society & Business 2023.04.26

男性の8~10%が悩まされている産後うつのリスクは、父親が2週間の育休を取得することによって減らすことができるとフランス国立衛生医学研究所INSERMが発表した。

01-ikujikyuka-230302.jpg父親が育休を取得すると、子どもの誕生後の父親の鬱のリスクが軽減することがフランス国立衛生医学研究所INSERMの研究で分かった。photography: Getty Images

フランスでは2021年7月に父親の育休が、14日間から28日間(そのうち7日間は義務)に延長された。2023年に入り、延長以前に行われた調査結果が発表され、なんと父親の育休の有効性を裏付ける新たな証拠になり得る事実が発見されたのだ。

国立衛生医学研究所INSERMが行ったこの調査によると、赤ちゃんの誕生後、父親が2週間の産後休暇を取ると、世界的に見て父親の8~10%が悩まされている産後うつのリスクが減るとのことだ。

異性愛者10,000組を対象にしたこの調査では、育休を取らなかった男性のうち5.7%が産後鬱を発症したのに対し、産後2カ月間で育休を取得した男性の発症率は4.5%。育休を予定している場合は4.8%だった。

赤ちゃんの発育、生活をともにしていく中での家事分担、母親のウェルビーイング、職とキャリアにおける男女の平等。父親が育休を取ることで生じるそうした利点はすでに周知されており、裏付けもされているが、精神衛生面にも良い効果があることが追認されたのだ。

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母親にはマイナスの影響?

しかし、そこに矛盾する現象が現れた。男性パートナーが育休を取得すると女性の産後うつのリスクが上がるのだ。父親が育休を取得した場合、母親の産後うつの発症率が16.1%であるのに対し、取得していない場合は15.3%だった。

この数字をどのように理解したらいいのだろう。「産後うつを発症するリスクが高い女性のパートナーほど育休を取る傾向があるということは言えるかもしれません」とINSERM研究所長マリア・メルシオールは解説する。「いずれにせよ、この調査によって父親にフォーカスした家庭・子育て政策が、両親の精神衛生面に大きな影響を与え得るということが判明しました。それらの政策によって、労働市場においての男女平等が向上したり、家庭における父親の参加の増加につながったりすることがあるからです」

男性の育休が母親の精神衛生にマイナス効果を与えていることが判明したことによって、別の問いが浮かぶ。父親がどのくらいの休暇を取れば、母親に良い効果があるのかという問いだ。「今回母親に表れたネガティヴな結果は、母親の産後うつを防止するには父親の育休が2週間では足りないということを示しているとも理解できます」とこの調査の第一著者でありソルボンヌ大学のINSERM博士号のキャタリン・バリーはコメントする。その答えを出すため、2021年に父親の育休が28日に延長された後も調査を継続することがすでに予定されている。

text: Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

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