「自分の赤ちゃんを可愛く思えない」母親の割合は?

Society & Business 2023.07.08

一部の母親は新生児との絆を築くことを困難に感じており、彼女たちに対する医療サポートも欠如している——イギリスの「親と乳幼児財団」が、母親と子どもの絆に関する調査結果を明らかにした。

00-230621-bond.jpg

最近イギリスで行われた調査では、回答した女性の11.5%が、出産後に赤ちゃんをなかなか可愛く思えなかったと回答した。photography: Cavan Images/Getty Images/Cavan Images RF

母性本能の考え方に従えば、お母さんが自分の赤ちゃんを可愛く思うのは当然とされる。しかし、この考えは、改められるべきなのかもしれない。

イギリスの「親と乳幼児財団」は同国の「乳幼児メンタルヘルス啓発週間」の6月12日、お母さんと赤ちゃんの絆に関する研究結果を発表した。英「ガーディアン」紙が報じたところによると、この調査は過去5年間に出産したイギリス国内の女性1,000人以上を対象に行われた。そして自分の子どもを可愛く思えたかどうかについて母親に記述してもらった。その結果、10人に1人(11.5%)の女性は出産後の数週間、赤ちゃんとの絆を築くのが難しいと感じたことを回答した。

軽視されがちなサポート

この調査の大きな目的は母親の責任を軽減し、サポートするための解決策を見つけることだ。同調査により、出産したお母さんが赤ちゃんとの絆を築くための医療サポートが不足していることも浮き彫りとなった。調査対象となった女性の73%が妊娠中、生まれてくる子どもとの関係を築くためのアドバイスを受けなかったと回答している。さらにほぼ同数(71%)の女性が、そのようなアドバイスを受けたかったと述べた。

同財団から意見を求められたイギリス王立助産師協会の最高責任者、ジル・ウォルトンは、アドバイスがなかった理由として、看護スタッフの忙しさを挙げた。人手不足に加えてこうした問題への気付きもほとんどなく、医療従事者は通常、赤ちゃんを迎えるための実用的なアドバイスに終始する。今回の調査結果を発表した記者会見で、同財団の政策・広報部長であるタモラ・ラングレーは、「看護スタッフがプレッシャーにさらされていることは理解しますが、母親の心身の健康への配慮は普通に行われるべきものです」と医療関係者への提言をおこなった。

根強く残る社会通念

ある種の社会通念も原因のひとつかもしれない。「私たちは、“完璧な親”神話を問い直し、必要な時に助けを求めてもいいのだと妊婦が思えるようにする必要があります」と、タモラ・ラングレーは言う。同調査の結果は、母子の絆は誰にとっても自動的に生じる本能的なものだという考えを否定するものだ。

text: Louise Servans (madame.lefigaro.fr)

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

世界は愉快
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories