プーチン大統領と元体操選手の愛人、15年の秘密の愛とは?
Society & Business 2023.09.13
ロシアのプーチン大統領の愛人といわれる元五輪チャンピオンの話は、タブーなだけに逆にあらゆる憶測を生む。フランス人ジャーナリストのセリーヌ・ノニーがアリーナ・カバエワとプーチン大統領との愛を追った新著『Alina. L’amour secret de Poutine. (原題訳:アリーナ、プーチンの秘密の愛)』を上梓。著者にインタビューした。
アリーナ・カバエワは2008年以降、ロシアのプーチン大統領と交際していると伝えられている。(モスクワ、2008年1月11日)photography: Tass/Tass/ABACA
著者のセリーヌ・ノニーは元体操選手で、現在はフランスのスポーツ新聞「レキップ」のベテラン記者。アリーナ・カバエワがロシアの新体操チャンピオンだった2000年代に何度か取材もしている。その頃のアリーナ・カバエワはカリスマ性のある、明るくてフレンドリーな女の子だった。今、アリーナ・カバエワはどうしているのだろう。現在40歳。2008年以降、30歳年上のプーチン大統領の愛人として、ふたりの間にできた子どもたち(何人いるかは誰も知らない)とともに大統領の邸宅のひとつでひっそりと暮らしていると伝えられている。ふたりの交際は一度も公式に認められたことはなく、あらゆる憶測を生んできた。小説以上にドラマチックな実話を著者のセリーヌ・ノニーは綿密な調査に基づき、書きあげた。
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ーープーチン大統領と出会う前のアリーナ・カバエワはどんな女性だったのか。
関節の柔軟性を活かして新体操に革命を起こした選手だ。彼女が取りいれた曲芸師の技のうち、いくつかは今でも彼女だけしか成功していない。2004年アテネオリンピックで金メダル、そのほか、世界選手権大会やヨーロッパ大会、ロシア国内大会などで優勝し、とても才能のある女子だった。その後ロシア連邦下院議員となるも、実際には政治活動をしていない。スポーツは国のイメージと密接に結びつくため、いまもロシアではアイコン的存在だ。
ヨーロッパ選手権で入賞16回、世界選手権で入賞9回、銀メダル3回、そして2004年のアテネオリンピックで金メダルを獲得し、アリーナ・カバエワは新体操の歴史にその名を刻んだ。photographer: Breloer Gero/DPA/ABACA
ーープーチン大統領とはどういう関係か。
それは国家機密となっている。我々が知ることができるのは、スポーツ行事や政治の場でふたりが公式に顔を合わせた時のみ。しかし2008年に初めて、ふたりの関係が報じられた時、新体操の世界では以前から噂が流れていたので誰も驚かなかった。もちろん、ふたりの関係は常に否定されている。だが、それでは彼女が当局やプーチンの側近からこれほど優遇されている説明がつかない。彼女はテレビ持株会社であるナショナル・メディア・グループ(NMG)のトップとして莫大な給料を得ている。それでも彼女とその家族が高級マンション暮らしや旅行、様々な特権を享受しているのは不自然だ。また、ヴァルダイ湖畔にある大統領の邸宅のひとつに住んでおり、この家は彼女のために建てられたということも意味深だ。
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ーープーチン大統領の恋愛歴は?
1983年にリュドミラという女性と結婚し、2013年に離婚した。それだけだ。プーチン大統領は政治に影響があることを恐れて決して私生活を明かさない人物だ。KGBの対外情報部員として私生活を隠してきた影響もあるのだろう。彼の妻も、2人いる娘も常に影の存在で、娘たちはプーチンの苗字すら名乗っていない。離婚してからは公式には独身ということになる。これは、彼がロシア正教とつながりがあることと関係があるかもしれない。ずっと年下の体操選手との間に何人も非嫡出子がいるのはやや都合が悪いのだろう。その一方で、男の中の男という本人自ら演出してきたイメージや、支配する「アルファの男性」伝説作りには役立っている。
ーーアリーナ・カバエワは今、どんな暮らしをしているのだろう。
大したことはなにもしていないし、ウクライナ戦争以降、ロシアのオリガルヒやその親族に対する制裁が課されているなかで、旅行もままならない状況だろう。彼女の母親らの親族も同様だ。現在も彼女は自分の慈善団体のトップにいるが、同時にロシアのメディア大手、NMGを率いているという立場に騙される者はいない。あれは名誉職だ。私の取材を受けてくれた数少ない人々によれば、彼女自身は変わっておらず、あけっぴろげでチャーミングで明るい女性のままだそうだ。しかし2014年以降、誰も彼女と会っていない。
ーーカバエワとプーチンとの話はタブーとなっている。この本では、ふたりの関係をすっぱ抜いて一時休刊となった新聞や、アリーナ・カバエワの出産を担当後、謎の死を遂げた医師にも触れている。あなたの身に危険が及ぶことはないのだろうか。
正直に言うと、この本を書く前に、まずロシア人の友人たちに電話で意見を求めた。その結果、フランス人ジャーナリストがロシア国外で出版する分にはそれほど危険ではないだろうという意見で一致した。でも、しばらくはロシアに行かないつもりだ。
新体操世界選手権後のアリーナ・カバエワとウラジミール・プーチン。(2007年12月1日)photography:Tass/ABACA
『Alina. L’amour secret de Poutine. (原題訳:アリーナ、プーチンの秘密の愛)』セリーヌ・ノニー著、アルトー出版
text: Pascaline Potdevin (madame.lefigaro.fr)