27歳のフランス系女性兵士が語った、イスラエル紛争の最前線とは?
Society & Business 2023.10.24
10月7日にハマスの攻撃を受け、イスラエルでは、すぐさま予備役の男女が動員された。23歳のフランス系イスラエル人のイラナもそのひとりだった。フランス版「マダム・フィガロ」のリポート。
ヨルダン川西岸地区のイスラエル国防軍の女性兵士たち。(イメージ写真、2022年9月4の日) photography : Getty Images
イラナは23歳のフランス系イスラエル人だ。普段はエルサレムに住み、経営管理を学んでいる。2023年10月7日、人生が激変した。その日の未明、ハマスがイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けたのだ。いくつものキブツと、ガザ地区から5キロ離れたところでおこなわれていた野外音楽フェスが標的となった。この攻撃により、1,200人以上のイスラエル人が死亡し、その後のイスラエル軍の反撃で2,200人以上のガザ住民が死亡していることが現在までに判明している。
イスラエルは予備兵動員を開始し、イラナのような多くの男女が武器を手に取った。「3年以上前の2019年、志願して軍隊に入りました。まだイスラエル国籍を持っていなかったので(2020年に取得)、当時の私にとって兵役は義務ではありませんでした」とイラナは入隊当時を振り返った。 1年半にわたって訓練を受け、武器の扱い方を学んだ後、イラナは日常生活に戻った。以来、勉強と旅行に明け暮れた。「いつか招集があるなんて思っていませんでした。あの時までは」
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当然の選択
2023年10月7日、ハマスの攻撃があった当日にイラナは一本の電話を受けた。「事態の緊急性から全員に連絡があり、招集されました。午後2時ごろ電話がかかってきて、いまどこにいるのか、イスラエルかそれ以外かを聞かれ、その日の夜までに出頭可能かを聞かれました。私はすぐに承諾しました」
ワッツアップ経由で取材に答えたイラナはこれが「当然の選択」であると語った。ただ、同じくイスラエルに住む両親に自分の決断を告げるのはためらったそうだ。「両親を納得させるのは大変でしたが、選択の余地がないことをわかってもらいました。入隊すると軍に"忠誠"を誓います。この国をとても愛しています。もちろんフランス人でもありますが、自分が住むこのイスラエルが自分の家であり、祖国だと実感しています。ここを守り、戦います。決して諦めません。いずれにせよ女性兵士は前線に行かないので、必然的に危険はずっと少ないのです」とイラナは言った。なぜ女性兵士は前線に行かないのだろう?「それは誘拐されたりレイプされたり妊娠させられたりのターゲットになる恐れがあるからです。だから女性を送らないのです」
動員されたイスラエルの女性たちは後方支援で自分たちのスキルを役立たせている。「私たちが男性に武器の使い方を教えています」とイラナは言う。彼女自身は地雷除去などを担当する部隊に配属されて若い新兵に武器の扱い方を教えている。「イスラエル国防軍が所有する武器の使い方を教えています。自分ができることをやっているのです」
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アドレナリン放出状態
イラナは10月7日の夜にイスラエル南部の軍事キャンプに到着し(正確な場所は秘密)、大勢の志願兵を昼夜問わず訓練した。「40万人」と彼女は言う。「本当にたくさんの、たくさんの人がやってきました。基地に着いたとき、人の多さにびっくりしたほどです。友人も多く動員され、フランスに住む友人もやってきました」
イラナはその後、一旦帰宅した。いつ再招集があるかわからず、気が抜けないものの、興奮状態は少し収まった。「気が動転していて、冷静ではいられない状態でした。基地での10日間はあまり眠れませんでした。こなさなければならない仕事が山ほどあって、アドレナリン放出状態でやりきりました。帰宅してからストレスを感じるようになりました。まだ事態は解決していないし、昨日まで一緒にいたのに明日には前線に送られる兵士たちのことが頭から離れないのです」
イラナにとって一番つらいのは、自分が国の役に立てているか確信が持てないことだ。「力になりたい。前線に行くことも厭いません」と言う。「教えた兵士たちは、"一緒に行ければいいのに"とか、"イヤホンを通じて声が聞けたらいいのに"と言ってくれました。確かに、教官の私たちは武器の使い方に習熟しています。だからガザに入ることができるものならそうしていたでしょう」と言う。たとえこの戦争で理不尽なことがおこなわれていても。「紛争が民間人に及ぼす影響に関して、もちろんずっと考え続けています。難しい問題です。個人的にはどう考えればいいのかすら、わかりません。ガザ地区で多くの死者が出るおそれがあります。イスラエルの犠牲者が理不尽に亡くなったのと同様、なんの責任のない人たちが犠牲になるのです。人道的な見地から、双方にとって悲惨なことです」
Text : Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)