フランスは「安楽死の合法化」に舵を切る?マクロン大統領の結論とは。

Society & Business 2023.12.29

TV出演したマクロン仏大統領は、安楽死合法化を直訴したフランソワーズ・アルディからの公開書簡に動揺したことを語った。

フランスのTV番組出演中のマクロン仏大統領。(パリ、2023年12月20日)photography : Abaca

フランスのマクロン大統領は12月20日、大統領官邸のエリゼ宮で特別収録されたTVトークショー「C à Vous」にゲスト出演し、数日前に歌手のフランソワーズ・アルディが「トリビューン・ディマンシュ」日曜紙に寄せた大統領宛の書簡について、「非常に大きな問題を提示された」と語った。2018年から咽頭がんを患っている歌手は書簡で、マクロン大統領に「共感を示して」ほしい、「安楽死の合法化」を視野に入れてほしいと訴えている。「フランソワーズ・アルディの書簡にみんな動揺した。誰でも死は怖い。自分の死でも近親の死でも」と大統領は言うと、この問題を検討する時間が欲しいと語った。

この問題には時間をかけている

「なんらかの報告を受けて"さあ、さっさと片付けよう"と言えるような問題ではないと言いたい。急いで片付けたほうがいいと思う問題があれば、そのように処理している。この問題には時間をかけている。と言うのは、中途半端に下手なことをすれば国が壊れてしまうと思うからだ」と大統領は語ると、「痛みにもっと寄り添いたい。とりわけあらゆる年齢の子どもたちの」と続けた。そしてまずは「緩和ケアのフランスモデル」の「完成」を目指すと表明した。その目的は「治療の初期段階から今まで以上に痛みへの配慮をおこない、この痛みに寄り添う」ことだとも。

一方、オランド前仏大統領も12月21日、ラジオ局の「フランス・アンテール」の朝番組に出演し、この問題に関して意見を表明した。そして現大統領の意見への反論として次のように述べた。「当事者にそんな時間があるだろうか。これ以上待てるものだろうか。私自身、(大統領時代に安楽死に関する)報告書を作成させている。法案化まで行けなかったことが残念だ」と述べるとさらに、「私の時代に(緩和的鎮静を合法化した)クレス・レオネッティ法が成立し、安楽死の肯定まで至らずとも、一部の状況を改善させた。現在ではもう何年も議論され、倫理委員会からの意見も出ている状態だ。なぜまだ待たなければいけないのか理解できない」と憤った。マクロン仏大統領の方では終末期に関する「文書の概要」を2月に公表する予定だと発表している。

text : Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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