妊娠中の飲酒の問題は? 産婦人科医が解説。

Society & Business 2024.01.02

フランス公衆衛生局の最新調査によると、フランス人の25%が、妊婦が特別な機会にグラス1杯のアルコールを飲んでも危険はないと考えているという。その真偽について、産婦人科医に聞いた。

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photography: shutterstock

妊娠中、特別な機会にアルコールを飲むことは本当に危険なのだろうか? フランス公衆衛生局が9月5日付で発表した最新調査(1)によれば、全員が明確にそう認識しているわけではなさそうだ。調査では、2020年までのフランス人のアルコールに関する知識と認識の変化を説明している。フランス公衆衛生局は、「改善されたとはいえ、"妊娠中はアルコールゼロ"という知識と、少量のアルコール摂取のリスクに関する認識との間にはまだギャップがある」と指摘している。

たとえば、25%のフランス人は、特別な日にグラス1杯のアルコールを飲んでもリスクはないと答えている。今回は、婦人科医のキャロル・メートル医師と一緒に、妊婦の飲酒について何が真実で何が真実でないかを考察する。

妊娠初期にお酒を飲んでもいい?

胎児の脳はまだ形成されていない妊娠初期は、アルコールを飲んでも問題はないと考える人がいる。最初の数週間は妊娠に気づかず、無邪気にアルコールを飲み続ける女性もいる。

婦人科医のキャロル・メートル医師は、「妊娠初期の飲酒は、まだ細胞分裂の段階なので、それほど危険ではありません。ですから、妊娠超初期に飲酒しても、それほど深刻ではありません。しかし、現在のところ、危険ではない最低限安全な飲酒量は明らかではないため、妊娠検査で陽性が出たらすぐに禁酒するのがベストです。そして妊娠2カ月目からは絶対にやめましょう。6週目には心臓の動きが聞こえるようになり、12週目には大脳半球が形成され始めます」

赤ワインやシャンパンは害が少ないから飲んでも大丈夫?

妊娠中でも、年末年始の夜くらいはお酒を飲みたくなるかもしれない。その場合は、できればウォッカではなくシャンパンを。メートル医師はこう断言する。「赤ちゃんへの危険性は、血中アルコール濃度と摂取したアルコールの量によります。特に妊娠初期であれば、シャンパンやワインを一杯飲んでもそれほど深刻ではありません。しかし、もちろん控えたほうがいいでしょう」

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アルコールを使った料理も食べない方がいい?

コック・オ・ヴァン(鶏の赤ワイン煮)、バナナのフランベ、ラム酒を使ったババ・オ・ラムなどの調理に使われるアルコールは胎児に有害なのだろうか?

「調理中に、アルコールが完全に飛ぶわけではありません。たとえば、ババ・オ・ラムにはアルコールが多く含まれています。さらに、母親の代謝、体重、アルコールを排出する能力にもよります。用心のため、アルコールを含む料理も控えたほうが良いでしょう。妊娠中のアルコールの吸収は、少なければ少ないほど良いのです。胎盤は何もろ過しないので、胎児の肝臓が直接アルコールを吸収することになるのをお忘れなく」

妊娠後期であれば飲酒してもいい?

妊娠後期、赤ちゃんの脳が形成されていても、アルコールの摂取は病気を引き起こす可能性がある。「胎児の脳は妊娠の第三期に入っても、まだアルコールを受け付ける準備ができておらず、そのリスクも異なります。器官の異常よりも、アルコールは行動の問題を引き起こすでしょう。赤ちゃんは胎児アルコール症候群、多動症、注意力の欠如、または顔の特徴の変化など、さまざまな問題に苦しむ可能性があります」と産婦人科医は説明する。

(1)使用されたデータは、2004年、2007年、2015年、2017年、2020年にフランス本土で行われた繰り返しの電話調査から取得されたもので、各調査15歳以上、1000人のクォータサンプルに基づいて行われた。

text: Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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