フランスに学ぶ、女性がお金を貯めるためすべき7つのこと。
Society & Business 2025.06.24
投資を始めるにもまずお金を貯める必要がある。でも気付くと使ってしまっていたり......いったいどうしたら貯まるのだろう?

金勘定を始めるとつい忘れがちなこと、それは投資がとりもなおさず自分のためであり、将来の夢に賭け、思い通りの人生を歩めるようになるためであることだ。女性がそのことを忘れがちであるのはこれとは逆の考え方でずっと育てられ、他人に尽くすよう教えこまれてきた歴史があるからだ。
フランスでは1965年7月13日の法律により、ようやく夫の許可なしに妻が銀行口座を開設できるようになった。それから60年が経ち、女性たちは悟り始めた。女性の自立は経済的自立に大きく左右される。そしてそれは給与だけでは足りず、ほかの努力が必要だ。投資を始めた女性はみんな、そのことに気付いている。
自由に選択できるようになりたい、経済的なピンチや人生の予期せぬ出来事に備えたい。そんな動機から彼女たちは投資を始めた。フランス語の「投資する(investir)」という言葉がラテン語の「着る、包む(investire)」から来ているのは偶然ではない。女性たちは現実を直視し、身を守る術を学ぶ必要がある。
忘れていけないのは2024年の時点で、フランスの男女賃金格差は依然として13.9%あることだ。夫婦の場合、女性の収入は平均して配偶者よりも42%低い。子どもがいると「母親ペナルティ」も生じる。最初の子どもの出産から5年経った時点で女性の収入は20%低下している。
フランスでは結婚の半数が離婚に至る。その場合、「別居ショック」も起きる。フランス女性財団の報告では、離婚で女性の生活水準が22%低下する一方、男性は3%の低下にとどまる。女性の年金は男性よりも40%低く、しかしながら男性より6年長生きする。こうした数字から明らかなのは、貯蓄や投資はもはや贅沢ではなく、すべての人にとって緊急の課題であることだ。十分な資金を貯めるための一歩を踏み出すためにはどうすればいいのだろうか。
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#1. 自分の収入は自分名義の口座へ。
これは当たり前のことのように思えるかもしれない。フランス国民議会議員であるマリーピエール・リクザンは経済的な平等に関する法律を複数立案している。彼女は女性たちに「自分名義の銀行口座を開設し、自分の給与や社会保障給付金はそこに振り込んでもらいましょう」と呼びかける。
フランス世論調査研究所(Ifop)の2024年調査によると、フランスで23%の女性が自分名義の銀行口座を持っていない。つまりは配偶者による経済的暴力の危険性(口座を空にして蒸発する、勝手にお金を使いこむ等)にさらされている女性がそれだけいるということだ。
共同口座の場合は、たとえ自分の債務や支払遅延でなくとも連帯責任を負うことも知っておこう。だから生活面でも経済面でも、自分だけの空間を持つことが大切なのだ!
#2. 配偶者と話し合う。
たとえ相手が乗り気でなくとも、配偶者と金銭面の話し合いをすることは不可欠だ。ViavoiceによるViveS Média2025年バロメーターの調査によると、36%のカップルが生活費の負担割合を半々にしている一方で、女性の75%は配偶者よりも収入が少ない。
「これでは女性たちが負担部分だけ平等を求められているようなものだ」と(『Le Prix à payer(原題:対価)』(Les Liens qui libèrent刊)の著者、リュシル・キエは指摘する。収入に応じた家計負担を検討すべきではないだろうか。この方式はカップルの24%が採用している。
また、家族のために費やした時間や精神的負担は何らかの形で金銭的に「補償」されたり、支出の配分において考慮されているだろうか。女性の時間は貴重だし、シャドウワークだって価値がある。そうなってないと思うなら、ここに挙げた数値を再チェックしてからパートナーと話し合ってみよう。
#3. 自分を優先する。
週に1回は銀行残高を確認し、月に1回は自分の収入や支出について考える「マネーデート」を実践してみよう。うまく支出を管理し、赤字や失敗をできるだけ避けられるだろう。
貯蓄を「我慢」と同義語のように感じてる人が多いが、むしろ自己投資、つまり自分へのお金なのだ。理想は収入を得たら自動的に2割を貯蓄と投資に回す。このお金があることで、配偶者に依存せずに夢を実現し、キラキラした人生を送れるはずだ。
#4. 50:30:20のルールを適用する。
理想を言えば、予算の5割が必要支出、3割が欲しいもの、2割が投資や貯蓄に充てられるべきだ。初めての「マネーデート」では直近3ヶ月の口座明細を用意し、こんまり式の片付けメソッドで支出を整理してみよう。惰性で払っている月会費や見直すべき保険、貯蓄に回すべきだった衝動買いなどはないだろうか。
フランス版「マダム・フィガロ」では投資マスタークラス講座を開催している。講師は戦略的資産計画のコンサルタント、ジェラルディン・メティフだ。彼女によれば投資を始める前に「セーフティーネット」として3カ月分の生活費(日常支出)相当額、自営業ならば6カ月分を銀行預金か生命保険商品で用意しておくことが望ましいそうだ。
#5. 小さくスタートする。
『ラテ・ファクター 1日1杯のコーヒーで人生を変えるお金の魔法』(訳註:日本語版は双葉社、2021年)の著者、デヴィッド・バックによれば、ちょっとした無駄遣いを制することは大きな出費を抑えることと同じくらい、貯蓄に有効だ。著者は一例として、毎日5ドルでカフェラテを買うとどうなるかを問いかける。同じ額を年率10%の投資に回せば、40年後には100万ドル近く貯まることになる。この利回りはかなり強気だが、説得力のある論理だ。
似たようなやり方で、おつりを貯めるというものもある。昔ならば専用のお財布に入れていくことになるだろうし、Z世代ならばカード経由で一部のアプリ(Plum、Goin)や銀行が提供するソリューションを利用する手もあるだろう。
#6. 家計管理ツールを活用する。
無料や有料の家計管理アプリは数えきれないほどあり、目標達成のための支援をしてくれる。スマートフォンで消費カロリーや1日あたりの水分摂取量を測定するようなものだ。
あるいはマエヴァ・デルヴィ著『Mon budget sur pilote automatique(原題:予算を自動操縦)』(Éd. Alisio)のような本を読むのも自分の貯蓄を客観的に把握するのに役立つ。
#7. 給与アップを交渉する。
クララ・モレイ著『Les Règles du jeu(原題:ゲームの法則)』(Éd. Dunod)では「上司の靴の中の小石になりなさい!」とすすめている。確かに、同じ仕事をしている男性同僚がもっと高い給与を得ているのなら、給与アップ交渉もありかもしれない。
昇級を得るには、いい顔ばかりはしてられない。交渉の際には相手を苛立たせる覚悟も必要だ。年次ボーナスや給与の一部を業績連動変動給にするよう交渉することもできる。目的は余裕資金を増やし、投資に回すこと。
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2025年:女性にとって朗報となる法律が施行される。
夫婦合算申告をしている女性は2025年9月から施行されるリクサン法の恩恵を受けるかもしれない。
これまでは、個別税率を選択しない限り夫婦双方に同じ平均税率がデフォルトで適用されていた。その結果、給与の高い方(75%の割合で男性)が平均13ポイント、税率引き下げの恩恵を受ける一方、低い方は6ポイント、本来の税率よりも高い税率が適用される不均衡が生じていた。今後は「個別税率」がデフォルトとなり、世帯の税負担は各人の収入に比例して分割される。
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text: Catherine Laurent (madame.lefigaro.fr)