Ruinart KYOTOGRAPHIEで出合う、アートに隠れた「見えない男」。
Travel 2018.03.29
2017年夏、フランスのシャンパーニュ・メゾン、ルイナールは″見えない男”の異名をもつ中国人アーティスト、リウ・ボーリンを、シャンパーニュ地方・ランスに招待しました。
10日間の緊密なコラボレーションから生まれた作品は、この春KYOTOGRAPHIEで一挙に展示公開されるというから注目です。
1729年創業、世界最古のシャンパーニュ・メゾン、ルイナールは、アーティストと深い絆を結んできたことでも知られています。
最初のコラボレーションは1896年。アール・ヌーボーの代表的作家のひとり、アルフォンス・ミュシャに依頼したポスターで、シャンパーニュ・メゾンとして史上初の広告を発信、大きな反響を呼びました。
以来、ユベール・ル・ガルやエルヴィン・オラフといったアーティストやデザイナーとコラボレートし、毎年世界中で30にも及ぶアートフェアに協賛しているのです。
ルイナールの最高醸造責任者フレデリック・パナイオティス(左)とリウ・ボーリン(右)。「Lost in Blanc de Blancs bottles」の撮影メイキング風景。
今回ルイナールが「今年のアーティスト」として招いたのは、中国人アーティスト、リウ・ボーリン。全身にペイントを施し、背景に溶け込んでしまう写真作品で高い評価を得るアーティストです。シャンパーニュ造りの現場に招かれた彼が作品撮影に選んだのは、ブドウ畑からクレイエルと呼ばれる地下のセラーまでの8カ所でした。
1896年、ルイナールとアーティストの初コラボ、アルフォンス・ミュシャによる広告ポスターは……。これに、オマージュを捧げた『Hinding in Mucha posters』。これまでもゴッホやピカソ作品に溶け込んだり、JRとコラボしているリウ・ボーリン。彼の姿が見えますか?
「セラーの壁に見つけた落書きから、フランスの文化と歴史、働く人の息吹を感じ、手とボトルを加えた」という 『The Secret Crayère』。
澱抜き工程の場で作業スタッフ3人とともに写った写真やシャンパーニュが生まれる場所に、それを育む人たちとともに溶け込んだものなど、ユニークな作品は全部で8点。
人のシルエットだけが微かに見える、カモフラージュのテクニックに驚かされる一方、シャンパーニュ造りへの温かな眼差しが感じられ、思わず笑顔になってしまう作品ばかり。「自然を歪めずに自然から引き出すシャンパーニュ造り。彼らの仕事に光を当てる作品にしたかった」とボーリンは語ります。
≫KYOTOGRAPHIEで、圧倒的な作品に出合う。
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作品は、今後、世界各地のアートフェアで巡回展示されますが、全作品が一堂に会するのは、KYOTOGRAPHIEだけ。春爛漫の京都で開催される国際写真祭は、 古都らしい歴史と個性あふれるスペースを利用した数々の展示で、年々評価を高めています。
クレイエル(セラー)の棚の前で。『Hinding in the Blanc de Blancs crayère』。セラー内の光のため、色が難しく、ペイントするのに2日もかかったという。
『Lost in Blanc de Blancs bottles』。8点中、最後に仕上げた作品。「鏡を使った作品のため、背中側もペイントしなくてはならず、これまででいちばん難しい作品だった」とボーリンは説明している。「何を見ているのか、現実なのか、現実の投影なのかがわからなくなる」
ボーリンの新作8点が展示されるギャラリー・y gionでは、ルイナールのポップアップバーも併設するとか!
バイザグラス+フードペアリング¥2,500、バイザボトル(ルイナールブラン・ド・ブラン)¥15,000、バイザボトル(ルイナールロゼ)¥15,000。ポップアップバーにはルイナールの世界を堪能できる豊富なメニューが揃う。
京都市内には協賛飲食店も登場し、ルイナールのシャンパーニュがグラス1杯から味わえる企画も同時開催というから楽しみ。春は京都で写真アートを楽しみながら、最高の一杯が愉しめる至福の時間を存分に味わってみてはいかがでしょうか。
●1973年、中国山東省生まれ。
自身の身体にボディペイントを施し、背景と融合することでシルエットだけが見える作風のセルフポートレートが有名。「見えない男」として知られる現代美術のアーティスト。北京を拠点に活動している。ファッションブランドともコラボレーションをするなど活動の場を広げている。
会期:2018年4月14日(土)~5月13日(日)
場所:y gion
京都府京都市東山区弁財天町19
営:15時~21時 ※月曜日および火曜日のみ24時まで
https://www.mhdkk.com/brands/ruinart/kyoto2018/
http://www.ygion.com/
https://www.kyotographie.jp/
texte : MASAE TAKATA