【ブリュッセル街歩き 1】名物に「うまいものあり」の驚き。

Travel 2019.01.18

パリの北駅から列車Thalys(タリス)に乗れば、たった1時間20分で到着するブリュッセル。午前の早い時間にパリを出れば、日帰りで楽しむことも可能なサイズの街である。1泊すれば、かなり満足度の高い滞在ができるはずだ。

ブリュッセル初心者は、シェフが腕によりをかけたクリエイティブな料理より、まずは地元のベルギー料理をトライしておきたい。ベルギーといったら、筆頭に上がる料理はムール貝の白ワイン蒸し(ムール・マニリエール)。常にフライドポテトが添えられているので“ムール・フリット”と呼ばれている。鍋に山盛りのムール貝とフライドポテトのイラストや写真が掲げられていたら、これが食べられるレストランか、あるいは専門店ということだ。でも、この手の店はちょっと観光客向けすぎるかもしれない。雰囲気も良く、おいしいベルギーの名物料理はどこに行ったら食べられるのだろうか。

グラン・プラスからそう遠くなく、ガイドでも必ず紹介されている名所のショッピング・アーケードがある。Galerie Saint-Hubert(ギャルリー・サンチュベール)といって、女王の回廊、王様の回廊、王子たちの回廊と続く。230メートルもの長さがあるらしいけれど、ル・パン・コティディアン、デルヴォー、ピエール・マルコリーニといった左右のお店を眺め、天井の美しさや建築物にため息をついていればあっという間に出口である。

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ギャルリー・サンチュベール。歴史ある建築物の重厚さをガラス屋根から差し込む光が和らげている。屋根までの高さは18メートルもあるそうだ。

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ギャルリーが完成したのは1847年。チョコレート店が多く並ぶ中、ベルギーレースの専門店も。

その女王の回廊の38番地、レンガとグレイッシュなペイントの内装がシックな店内が目にとまる。レストランのLe Marmiton(ル・マルミトン)だ。ここはムール・マリニエールだけでなく、ベルギー料理の小エビのコロッケ、鳥のワーテルゾイなどもメニューに並ぶ。その他にもオステンドの舌平目をはじめ、メニューにはデザートのワッフルまでベルギーの国旗を掲げた料理を多数見つけられる。ベルギーはワインより、ビールの国。Kriekというチェリー・ビールを、キール・ロワイヤルの代わりにアペリティフにしてもいいだろう。

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ルビーのようにきれいな赤。冷えたチェリー・ビール(3.9ユーロ)をアペリティフに。

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クルヴェット・グリーズと呼ばれる小エビのクリームコロッケ(14.25ユーロ)。エビの味がクリームにもしっかりと効いている。

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鳥のワーテルゾイ(19.50ユーロ)。卵黄を混ぜたクリームスープはシンプルで、とても優しい味だ。ボリュームがありそうに見えるが、思いのほかあっさりと軽い料理である。

地元民にも人気の店なので、ディナーは予約が望ましい。もっとも満席の晩でも、早い時間なら長居するのでなければテーブルに案内してもらえる。この店では魚介類は1日に1〜2回届くそうで、素材は新鮮。場所もわかりやすく、おいしいレスランなのでアドレスをメモしておこう。家族、カップル、ひとり……客層はさまざまだ。

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広場に並ぶレストランと異なり、シックでモダンな雰囲気の中、名物料理を体験できる。

Le Marmiton
Galerie de la Reine 38
(Rue des Bouchers 43A)
1000 Bruxelles
営)月〜金 12:00〜15:00、18:00〜23:30、土日 12:00〜23:00
無休
tel:+32 2 5117910
www.lemarmiton.be

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地元の食を地元の人のように……というのであれば、立ち食いスタイルの魚介料理店Mer du Nord(メール・デュ・ノール)へ。広場から証券取引所、中華街を抜けて聖カトリーヌ教会広場を目指す。教会広場のコーナーにあるこの店では、ランチタイムは行列ができている。

北海に面する国、ベルギー。海の幸ならおまかせ!の国である。陽気な雰囲気も味わいのひとつだし、料理はできたてばかり。何を食べてもおいしく感じられる貴重な店だ。料理はひと品の盛りがけっこうあるので、ふたり以上で行って複数の皿をシェアするのが理想的な活用法だろう。

この店ではカウンターでの注文時に支払う。その際に名前を聞かれるのは、オーダーが上がったら、声をかけるというシステムだからだ。料理は丸テーブルで立ち食いするか、あるいは隣接するオイスター・バーが空いていれば、そちらで座って食べることもできる。

フイッシュ・バーのこの雰囲気は、ブリュッセルの思い出作りには欠かせない。だから、日帰りするなら閉店日の月曜は避けよう。

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右がMer du Nord。カウンターでオーダーをし、店の脇か教会前広場に並ぶテーブルで“いただきま〜す!”

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フライものの素材がカウンターの左手に並んでいる。カウンターでスムーズにオーダーしたければ、何が食べたいかを先にホームページでチェックしておいては?

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おしぼり、プラスチックのフォーク&ナイフを最初に渡される。できたての料理はどれも熱々! ムールフライ(5ユーロ)、マテ貝のプランチャ(7ユーロ)、小エビのコロッケ(13ユーロ)、ビール(2.5ユーロ)。パンは無料。

Mer du Nord/ Noordzee
Rue Sainte-Catherine 45,
1000 Bruxelles
営)フィッシュ・バー 11:00〜18:00
休)月
http://noordzeemerdunord.be

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フライドポテト(フリット)も食の名物のひとつ。ブリュッセルに限らず、アントワープでもそうだが、フライドポテト専門店が街で見つけられる。パリでも終戦後には専門店があったようで、5区のムフタール通りの出店で揚げ油からのぼる白い煙と共に写真家サビーヌ・ヴァイスが美しいモノクロ写真に残している。

じゃがいもの中でも低価格の部類に属するビンチェがフライドポテトに一般的に使われている。ブリュッセル市内の専門店では、タルタルやアメリカンなどソースの種類がとても豊富なのが特徴。もっともレストランで料理に添えられるフライドポテトも十分においしい。滞在中に食事の回数が限られているなら、迷わず“ムール・フリット”を!

スイーツにも名物ありのベルギーだ。チョコレートも有名だが、ベルギーに行ったら必ずワッフルを食べる!と、心に決めている人もいるかもしれない。街の至るところにワッフル(ベルギーではGaufresと表示)を販売するスタンドが見かけられる。並べられたトッピングの見本は、ここまでのせるか!!というほどだ。美味しいワッフルを食べたいという人より、旅の一興としてワッフルも!という人向けだろう。なお、こうした店の多くは軽いブリュッセル式ワッフルで長方形をしている。リエージュのワッフルは質実剛健というか、しっかりとお腹にたまる。こちらは楕円に近い。

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市内のワッフル屋ではブリュッセル・ワッフルがメイン。

réalisation:MARIKO OMURA

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