散策が楽しくなる湘南ミニガイド【#03】 緑あふれるガーデンで、ヨガと美食のワークショップ。

Travel 2019.07.18

まばゆい光と、心地よい潮風。湘南の太陽を一斉に浴びたエネルギーに満ちあふれたガーデンは、隠れ家的なヨガスタジオ。心を落ち着かせてくれるヨガだけでなく、美食体験までできる特別なワークショップへと潜入!

ジョーティ|鵠沼

鵠沼海岸からほど近い閑静な住宅街。松が岡という地名が教えてくれるように、ここはかつて、海辺から続く松林に覆われていた場所。路地を進むと、わずかに残された鵠沼海岸の原風景を彷彿とさせる一角に出会える。大きな松の木の前で紫のアガパンサスが一斉に咲き誇り、シンボルツリーの大きなメラレウカの木が潮風にやさしくカラダを揺らしている。どの植物もよく手入れされ、生き生きとした姿を見せている。湘南の心地よい空気を凝縮したようなこの家は、ヨガの講師をするチャキさんと、妻の木下阿貴さんが暮らす場所であり、知る人ぞ知るヨガスタジオだ。

190711-001_MG_4837.jpg光あふれる緑の庭。ヨガスタジオはこの奥に。

笑顔のふたりに手招きされて建物の中に入ると、そこもまた美しいグリーンに満ちている。サンルームを抜けると、大きなデスクがあるワークスペース、奥に小さくて可愛らしいキッチンと調理スペースが。階段を下った先が、静寂に包まれた板間のヨガ道場だ。いまはもう他界したチャキさんの祖父母が暮らしていたという木造の家には、建築家だった祖父のこだわりが、手書きの曲線をそのまま取り込んだ天井に、コの字型の使い勝手のいいキッチンに設けられた小さな窓に見てとれる。暮らしに遊び心と喜びを与えてくれるデザインは、いまも現役として孫夫婦に受け継がれているというわけだ。

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サンルームには、ゲスト用のたくさんの器とともに、チャキさんが手入れをする植物たちが並ぶ。

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心地よさが凝縮されたこの場所で行われているのは、「Yoga With Delicious Food Workshop」という参加型イベント。ヨガを教えるのは、デンマーク生まれという夫のチャキさん。幼少期はここ鵠沼で、17歳から大学卒業後までオーストラリアで過ごし、その後はニューヨークへ。世界を舞台にインターナショナルな感覚を身に付け、当時ニューヨークで流行りつつあったヨガに出合う。その後、インドのチェンナイへと修行に渡ったチャキさんは、現代のヨガの基盤を作ったとされるヨガマスターのクリシュナマチャリアの子息、T.K.Vデシカチャー師に教えを請うことに。

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一面がガラス張りになったヨガ道場。通常は、ヨガ講師のためのプログラムのほか、1対1のヨガセラピーが行われている。

昔は王族や僧侶の中だけで行われていたヨガを、インドはもとより世界中から来た多くの弟子へと広めたクリシュナマチャリアの教えは、チャキさんの根っ子の部分を変えていくことに。初めて師に会った時に与えられたヨガの練習は、不安を覚えるほどに簡単なものだった。しかし、騙されたと思って続けていたところわずか1週間で、いままで何をしてもダメだった身体や精神の不調が生まれて初めて改善されたことに驚いたという。そんな体験から、10年以上をかけて日本とインドを行き来し、勉強に励んだ。日本人の中で、その教えを最も長く学び最高資格を獲得したチャキさんは、「教えることで、自分も育つ」というヨガの考え方に沿って、12年前に阿貴さんとふたりでこの場所にスタジオを開いた。

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左:手入れされた庭には、さまざまな種類の植物が育っている。右:庭から採ってきた新鮮なハーブ類を刻む。

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一方、妻の阿貴さんはカメラマンとして活動中、チャキさんのお姉さんの着物姿を撮影しに、初めてこの家に訪れる。ふたりの母が亡くなり生前に見せることが叶わなかった着物姿を、せめて写真に残しておきたいという姉の依頼だっただという。そんな大切な出来事のなかで、チャキさんと出会った。

幼い頃から食好きの両親の影響で、食べることが大好きだった阿貴さんは、ヨガ講師育成コースの生徒たちに昼食を出すようになり、食事をみなでシェアする素晴らしさに開眼。知り合いの料理教室に通い、腕を上げていった。旅先で見つけたおいしいものを組み合わせて独自のレシピへとアレンジし、栄養バランスのとれた美しいメニューを生み出すまでに。さらに、日本でマントラを指導している数少ない講師のひとりとして活動もしている阿貴さん。夫婦で始めた、ヨガ、マントラ、料理教室をセットにしたワークショップには、特別な意味が込められている。

190711-007_MG_4776.jpgブルガー小麦を混ぜてつくる、スパイスの効いたトルコ料理。

190711-008_MG_4803.jpgワークショップでは、さまざまな国の料理が登場するのが楽しい。

午前9時に集合し、チャキさんによる1時間のスペシャルヨガクラスから始まるヨガと料理のワークショップは、毎回異なるテーマで繰り広げられるから、何度参加しても興味深い内容だ。過去には、「呼吸法とやさしいポーズ、平和を願うヨガ」、「瞑想をテーマに、マントラとジェスチャーにより自分の内面と繋がるヨガ」などが行われた。その後、レクチャーも交えながら2時間ほどのクッキングを経て、美しい庭を臨み皆でのランチタイムが始まる。季節を感じられるメニューや、異国情緒あふれる食事など、ひとひねりあるメニューにゲストの会話も止まらない。ゆったりとしたスケジュールで、自然に心までもがほぐれていくような感覚だ。

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左:屋外のテーブルに並んだ料理の数々。中央は、セルビアのソウルフードとも言われる豚肉の串焼き「ラジュニッチ」。右:オーブンでじっくりと焼いた夏野菜のグリル。

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ここでは、ヨガだからベジタリアン、という考え方はしていない。豚肉も牛肉も、新鮮な野菜と真っすぐな味をくれる調味料とともに、手をかけて丁寧に作られていく。「お肉も甘いものも、わたしたちは自由に感謝して食べる!」と、笑うふたりの力の抜けた笑顔に癒される。ヨガもおいしい食事も皆で分かち合うもの、という意識があり、出会ったときの手招きのように、誰にでも「どうぞ、どうぞ」という外に開かれた心が備わっている。

190711-011_MG_4851.jpg外のテーブルで、庭を眺めながらのランチタイム。

190711-012_MG_4913.jpgデザートは「チョコレートファッジアイスクリーム、ダークチェリー添え」。

「ジョーティ」でふだん行われているヨガセラピーや少人数ヨガクラスとは違って、ワークショップでは、人同士がつながり、喜びや楽しさを共有できる場所が生まれた。心とカラダを整えるポーズ、呼吸、瞑想、それにチャンティング。そこに、暮らしの中心である「食」が加わって誕生した、ヨガを通じた生き方のレッスン。ヨガがくれたつながりは、自分自身の暮らし方に目を向け、人生哲学にまで想いを馳せることができる貴重な時間をくれる。おいしい食事と笑いに囲まれ、気がつくと思わず深呼吸。夕刻、海から潮風が届くころ、カラダ全部が喜んでいることを実感する。

190711-013_MG_4936.jpg自宅ではなかなかチャレンジできないメニューも、丁寧に教えてくれる。スープは「きゅうりとディルの冷製スープ」。

190711-014_MG_4972.jpg穏やかなチャキさんと阿貴さんご夫婦との笑顔に包まれた時間。

Jyoti
神奈川県藤沢市松が岡3-21-16
tel : 070-6661-1215
www.yogastudiojyoti.com
※Yoga With Delicious Food Workshopの開催日、通常のヨガレッスンについては、ホームページにて確認を。

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photos : MAYUKO EBINA, réalisation : MIKI SUKA

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