まだ見ぬ台湾の風景を探しに、台東へ。 海辺の町・都蘭（ドゥーラン）に息づく、アミ族の極彩色の伝統。

台東市のターミナルからバスに揺られて約40分。東海岸最大のサーファーの町・都蘭（ドゥーラン）では、広がる海の風景と原住民の芸術に心奪われる。

都蘭

-Doulan-

近年、東海岸随一のサーフスポットとして注目を集めている都蘭。目抜き通りの11号線沿いには国内外のサーファーを受け入れるホステルやゲストハウス、外国人が集まるカフェが立ち並ぶ。いっぽうで、東海岸を代表する原住民族アミ族による集落という顔も持ち、部族の伝統文化がいまも色濃く息づいている。一本路地を入れば、アミ族特有のカラフルなモチーフが壁のあちこちに描かれているし、年に一度行われる収穫祭、豊年祭には1000人以上のアミ族が集まる。

「海岸線沿いに残るアミ族の集落で、伝統の年齢階級制度カプが残っているのは珍しいの」と話すのは、アミ族のプロダクトデザイナー、ササさん。アミ族は薬草やハーブを日常生活に取り入れる達人というが、その知識は現代の料理や健康法、コスメに受け継がれていると教えてくれた。台湾には珍しいサーフカルチャーから、アミ族の個性豊かな伝統まで――都蘭は、古い歴史と現代が素敵に共存する土地なのだ。

海辺をのんびり散策。町中を我がもの顔で闊歩する猫や犬も、心なしかおおらかに見える。

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ハンドメイドソープで、台東の植物のパワーを体感。

足渡蘭

この地方の植物をふんだんに使ったハンドメイドソープの専門店。「台東の植物の素晴らしさを伝えることが使命」と言う店主は、野生のビンロウの葉やアミ族の長老から調達するタバコの葉、天日海塩と海藻、アワ酒の酒粕、レッドキヌアなどの自然のパワーを、アミ族に伝わる知恵を駆使してソープに閉じ込める。いずれもフードグレードの認証を取得するほど品質は確かで、遠方からもオーダーが入るとか。

ソープ150〜400元

台北でソープ作りを研究していた漢人の夫婦がオープン。上質な素材の調達は、地元アミ族の協力があってこそできることとか。

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都蘭で唯一のサーフィンショップ。

都蘭衝浪店

サーフボードのレンタルからビギナー向けのレッスン、中級以上のサーファー向けのガイドツアーまでを行うサーフショップ。オーナーは元バスケットボールの国体選手で、現在はアメリカのサーフブランドのアンバサダーも務めるサーファーのハナさん。「都蘭の波はメローで乗りやすく、ビギナーにもおすすめ。ガイドツアーではとっておきのポイントに案内します」

英語が堪能で雑誌のモデルも務めるハナ。レッスンは半日1,600元

11号線沿いの店はビーチへのアクセスも至便。近隣で民宿も経営。

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美しい夕暮れ時は、地元のビールで乾杯！

ハイウェイ11

都蘭のローカルビールを試したいなら、原住民の工芸品のギャラリーやショップが集まる新東糖廠文化園區（シンドンタンチャンウェンファユェンチュー）内のブリューパブへ。夫婦で営むこちらでは、アメリカ人の夫が2種のクラフトビールを造っている。ビールのほかにハチミツのリキュール、ミードも醸造しており、旬のフルーツや自家製ジンジャーシロップを使ったミードのカクテルもおすすめだ。

ラベルのイラストはファッションデザイナーの妻が担当している。左から、オレンジ&バニラのミード、パッションフルーツのミード各220元。ビールはタップではなくボトルで提供。IPA 、レモンフレーバーのビール各150元

店内ではライブも行われる。

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パイワン族に伝わる華麗な手仕事に圧倒される。

我在玩

パイワン族の民族衣装は緻密な刺繍で知られるが、その伝統技法の第一人者が陳利さん。その作品は台湾内外の博物館に収められるほど。現在は都蘭に近い隆昌にアトリエを構えて制作活動に励んでおり、この店では陳さんの刺繍を使ったオリジナルブランド、VLSを扱う。第一線の作家の丹念な手仕事を手に取ってみよう。

パイワン族の象徴的なモチーフがヒャッポヘビと壷。どちらも描いたこのモチーフは財産を意味する。

ショップの近くに構えるアトリエにて、「陳ママ」こと陳利さん。

※『フィガロジャポン』2019年8月号より抜粋