レトロな台南を散歩して、美食ざんまい。 おもてなし好きの台湾人文化、辦桌(バンゾウ)料理を囲んで。

Travel 2019.10.29

結婚式や寺廟のお祭りなどで、村人全員でごちそうをいただく風習、辦桌(バンゾウ)がいまも残る台南。大皿を囲んでごちそうを楽しむ微笑ましい食文化を体感して。

伝統を守り続ける、格式高い正統派。

錦霞樓(ジンシャーロウ)

結婚式やお寺の行事で村人たちが集まり、主人が感謝の意を表すために大皿のごちそうを振る舞う辦桌。特別に会場をつくって宴を催すスタイルは、台南ではいまでも脈々と受け継がれている。辦桌料理の老舗として有名な阿霞飯店の若き3代目が営むこの店では、厳選された食材で調理された数々のおもてなし料理がいただける。外せないのは蟹おこわ「紅蟳米糕」。子孫繁栄を意味し、紅蟳と呼ばれる卵が多い蟹だけを使用。シイタケや干しエビなどとともにふっくらと蒸し上げた絶品だ。フカヒレの煮込みや台南名物であるサバヒーを丸ごと1匹使った料理など、素材のよさを最大限に生かしたおもてなし料理の数々を堪能したい。

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前菜盛り合わせ「六品綜合拼盤」は天然のカラスミや自家製豚の腸詰めなど10種類ほどから4~6品チョイスできる。エビ団子は、豚ひき肉とエビのすり身を、薄く延ばした豚の脂で巻いたもの。エビ団子「手工炸蝦棗」、豚の腸詰め「手工粉腸」、蟹団子「自製蟳丸」、茹でイカ「川燙軟絲」、豚のモツ煮込み「滷大腸頭」、天然カラスミ「野生烏魚子」など。大780元

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フカヒレの煮込み「紅燒魚翅羹」は、台南らしく少々甘めの味付け。天然エビの火焼蝦が味に深みを加える。中500元

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辦桌料理ではよく出る鴨のスモーク「煙燻鴨」。酢醤油につけて。中300元

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蟹おこわ「紅蟳米糕」は甲羅を見せず、裏返して中身を見せる盛り方が特徴。大1,200元

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台南では一般的な小さな白菜を、豚骨や魚の出汁で炒めた「扁魚娃娃菜」中240元

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この店の名物、タウナギの炒め物「生炒鱔魚」は、台南では昔から一般的に食べられている家庭料理。淡水魚の一種で、甘めに味付けされる。この店でも出しているが、意麺ともよく一緒に食べられる。中600元

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台南の代表魚、サバヒーを使った野菜のあんかけ「虱目魚五柳枝」。サバヒーを姿揚げした豪華な一品。680元

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台南駅からタクシーで10分ほどのショッピングモール、南紡購物中心の2階に。

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結婚披露宴なども行われる、広々とした店内。家族のお祝い事で利用する人も多い。

錦霞樓
Jin Xia Lou


台南市東區中華東路一段366號2樓
tel:06-300-6789
営)11時~14時30分、17時~21時
無休
カード:Ⓐ、Ⓓ、Ⓙ、Ⓜ、Ⓥ
予約したほうがいい
http://jinxia.ezsale.tw/JINXIA_jp.asp

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築140年の老房子で、地元産の台南料理を味わう。

筑馨居(ジューシンジュ)

細い路地に佇む赤レンガの建物は、約140年前、清朝時代に建てられた情緒漂う老房子(古民家)。辦桌レストランで腕を磨いたという陳シェフの料理はすべておまかせで、一汁八菜が基本。地産地消をモットーに旬の食材をふんだんに取り入れた料理がいただける。辦桌の基本であるカラスミや1匹丸ごとの魚料理はもちろん、5月~9月限定で収穫できる關廟(グァンミャオ)産のタケノコや台南産の山菜である山蘇、塩田がある台南の北門産の塩を使うなど、地の利を生かした料理は感動もの。しかも1人500元〜というから驚きだ。イチ押しは半日ほどじっくり火にかけて作られた「東坡肉(ドンポーロー)」。秘伝の甘ダレをたっぷりつけて、白いご飯といただきたい。週末は満席必至。完全予約制なのでフェイスブックから必ず予約をして。

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メニューはおまかせで、1人500元。700元や900元のコースなどにも応じる。前菜は3種類、自家製の黒豚ソーセージ「香腸」は八角など数種類のスパイスを利かせて。粗くミンチしているため、肉の食感が感じられるのが自家製ならでは。茹でタケノコ「沙拉筍」は、5月~9月のみ収穫できる關廟産を使用。歯ごたえがよく濃厚な味。少し甘めの自家製マヨネーズと。エビのすり身揚げ「蝦捲」は台南では定番の小吃。

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茹で野菜の果実ソースがけ「果香山蘇」。台湾のシダ科の山蘇は台南では一般的。豆腐乳と呼ばれる台湾の調味料に桃を加えたオリジナルのソースでいただく。

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「東坡肉」は、半日ほどじっくり火にかけて作る自信作。溶けやすい脂と赤身部分を半々に保てるよう、火入れの具合を慎重に調整する。

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サバヒーの蒸し料理「清蒸豆仔魚」。サバヒーは骨が多いが、尾に近い身は骨がなく食べやすいからと、その部位だけを使ったシェフのアイデアから生まれた。隠し味は關廟産のパイナップル。

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イカの鉄板焼き「鹽焗小卷」は、小卷という小ぶりのイカを厳選。北門産の塩を敷き、紹興酒で香り付けする。

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サバヒーを丸ごと1匹使った「醬燒虱目魚臍」は辦桌に不可欠。

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蟹肉と蟹みその煮込み「蟹黃絲瓜海鮮」。これから出回るヘチマは台湾離島の澎湖産。熱しても残る食感がアクセントに。

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台湾では食事の締めにスープをいただく。野菜と豚の内臓スープ「捆菜湯」は、奥深く優しい味わいでお腹にすっとおさまる。

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むき出しになったレンガの壁や天井の木の梁などに重厚感が漂う。

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信義街周辺は老房子が多く、リノベされた店が増え続けている。

筑馨居
Zhu Xin Ju


台南市中西區信義街69號
tel:06-221-8890
営)11時30分~14時、17時30分~21時
無休 
カード不可
要予約
www.facebook.com/pages/category/Diner/筑馨居-408529669303867

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食文化の宝庫、台南ならではの小吃(シャオチー)を頰張る。

<台南中心部へのアクセス>
台北からは、高鉄台北駅から高鉄台南駅まで約2時間。高鉄台南駅から市内中心部へは、隣接する台鉄沙崙駅から台南駅まで約20分。タクシーで高鉄台南駅から約30分。

<安平へのアクセス>
台鉄台南駅バスターミナルから2、88、99番バスで「安平古堡(安平路)」下車。タクシーで、台鉄台南駅から約20分。

●1台湾元*=約3円(2019年6月現在) *以下、略称「元」で表記。
●日本から電話をかける場合、台湾の国番号886の後、市外局番の0を取ってダイヤル。台湾内では掲載表記どおりにダイヤルしてください。
●地図内の「站」は鉄道の駅を意味します。
●クレジットカードは略記。Ⓐ=AMEX、Ⓓ=DINERS、Ⓙ=JCB、Ⓜ=MASTER、Ⓥ=VISA
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる可能性もあります。特に台湾の祝日や年末年始、2月の旧正月には、営業時間、定休日が変更になる可能性があります。ご了承ください。

※『フィガロジャポン』2019年8月号より抜粋

photos : SATOKO IMAZU, réalisation : MIO YAMAZAKI, coordination : YUKO IWATA, collaboration : KATSUHIKO OKUNISHI (TIL space Co., Ltd)

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