レトロな町を散歩して、美食ざんまい。 澄んだ空気とまだ見ぬ味を求めて、台湾のコーヒーロードへ。

Travel 2019.11.04

台南駅から車で北東に1時間半。海抜500メートル以上、北緯23・5度に位置する東山(ドンシャン)には、175咖啡公路というコーヒー街道がある。おいしい一杯を求めて、いざ!

東山

-Dongshan-

台湾といえばお茶のイメージが強いが、密かに浸透しているのがコーヒーだ。年間を通して温暖な気候が続く中南部産のコーヒーは、豊潤で香り高いと通の間でも話題。とりわけ中部の阿里山は有名で、台北では阿里山コーヒーを広めたいという日本人がコーヒーショップを開くなど、台湾全土で認知され始めている。台南駅から車で北東に1時間半、コーヒー栽培に適した東山というエリアには、175咖啡公路と呼ばれる21.5㎞の道がある。町おこしの一環として始まったコーヒーブームだが、いまでは約30のカフェやレストランが点在。広大な山の上の農場では、おいしいコーヒーが飲めるのはもちろん、自分で挽いた豆で飲ませてくれる体験型イベントも開催。自家製の豆を料理に生かした食堂や、数々の賞を受賞したコーヒーマスターの店もあり、とにかく一軒一軒の取り組みが興味深い。さまざまなアプローチで情熱を傾けてきた、東山の人たちのコーヒー愛を体感しに出かけよう。

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峰の頂上の農場で、自分で淹れた一杯を。

仙湖農場(シェンフーノンチャン)

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ライチやオレンジなどの果実も栽培。コーヒーの栽培には龍眼の木が不可欠だそう。オーナーによれば、「台湾人がコーヒーをよく飲むようになったのは約30年前」

日本統治時代、日本人がコーヒーの木を植えたのを機に栽培が盛んになったともいわれる台湾コーヒー。52ヘクタールもの広大な敷地を持つこの農場は、25年前にスタート。コーヒーの木と相性がいいフルーツ、龍眼(ロンイェン)の木とともにアラビカ種のティピカを栽培し、豆の干し方から発酵までこだわり抜いたコーヒーを作り続ける。味はまろやかで、酸味や苦味も控えめ。ブラックでも飲みやすいのが特徴だ。カフェ内のスペースでは、自分で豆をグラインドし、エアプレス式でコーヒーを淹れる体験も。大自然を眺めながらいただく一杯は、旅の疲れも吹き飛ばしてくれるはず。

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山を望む絶景を眺めながらコーヒーをいただける。店内では、コーヒーの苗木作りや育て方を映像で学べるレクチャーも開催している。

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龍眼のドライフルーツとジャムが入ったアイスラテ「桂奶啡」160元。濃いめのコーヒーにアイスクリームをのせた「桂圓義式冰淇淋」も苦味と甘味が好バランス。90元

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コーヒーは5月~6月に赤い実をつける。収穫は11月~12月。

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太陽が当たりすぎると豆は小さくなり、当たらないと大きくなりすぎる。無農薬で調整しながら育てる。

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車をチャーターするのがおすすめ。175咖啡公路の看板を目指して。

コーヒーのエアプレス体験に挑戦。

1. 

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コーヒーミルに豆を入れ、ミルをしっかり押さえながら豆がなくなるまで挽く。

2. 

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挽いた粉と85〜90℃の湯150㏄をプレスマシンに入れ、空気を抜くようにハンドプレスする。

3. 

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完全にプレスしたら出来上がり。プレスは意外と力が必要なので、ゆっくり時間をかけて。

 

仙湖農場
Xianhu Nongchang


台南市東山區南勢里賀老寮6-2號 
tel:06-686-3635
営)9時~18時
不定休
カード不可
コーヒーについてのレクチャー、エアプレス体験、コーヒーの苗作り、コーヒーカップ&ソーサー付きで350元
www.senwho.com
アクセス:台鉄台南駅から北方面の列車に乗り、新營駅下車。黃7番仙公廟行で内埔仔バス停下車。そこから車で約20分。事前にフェイスブックにて連絡すればバス停から送迎可能。タクシーでは新營駅から約1時間

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コーヒー好きの夫妻が営むコーヒー食堂。

老家咖啡(ラオジャーカーフェィ)

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廃材を使って自ら作り上げた温かみのある店内。家具は使わなくなったものを近所からもらってきたそう。離れもあるので団体の時はそちらを使う。

仕事をリタイアし、「自分の食堂を開きたい」と自宅の隣に15年前に店をオープンした呉(ウ)さん。自家栽培の手摘みコーヒーを生かした、珍しいコーヒー料理がいただける。特におすすめなのが鶏鍋。豆を4時間ほど熱湯に浸し、コーヒーの香り付けがされた水に、新鮮な鶏肉と塩、コーヒーの赤い実のみを入れて煮込んだ一品。えぐみは一切なく、ほんのりコーヒーの香りが漂うシンプルな味は、最後の一滴まで飲めてしまうおいしさ。野菜や卵などもファームトゥテーブルにこだわり、地元産を使用。食材の味をダイレクトに感じられる料理ばかりだ。

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コーヒー鍋は完全オリジナル料理。赤い実は苦味が出るので途中で取り除く。予約必須なので事前に連絡を忘れずに。「咖啡雞湯」400元

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食材は地産地消がモットー。近くで採れた山菜のサラダはコーヒーマヨネーズと。甘味と酸味が利いて、これまた不思議と美味。「野菜咖啡沙拉」120元

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コーヒー栽培や農作物を育てるなど、ものづくりが大好きなオーナー、呉さん。なんとお店自体もDIY。店の隣には長屋の自宅がある。

老家咖啡
Laojia Kafei


台南市東山區高原里90號 
tel:06-686-1230
営)11時~15時
休)月
カード不可
要予約
www.facebook.com/DongShanLaoJiaKaFei
アクセス:台鉄台南駅から北方面の列車に乗り、新營駅下車。黄13号線で大鋤花間バス停下車。そこから徒歩で約10分。タクシーでは新營駅から約40分

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寺院の廟の中に、天空のコーヒーショップが!

崁頭山咖啡館(カントゥシャンカーフェィグァン)

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1978年に建立、標高600m以上という台南いち高い廟の中にある。お参りに訪れる人がゆっくり休める場所をと、18年前にカフェをオープン。

台南市内の数々のコーヒー豆コンテストで受賞、海外へも招聘されてきた店は、標高約600ⅿに位置する立派な廟の中にある。より香りが高まり成熟度が増すため、ローストしてから1日置いたコーヒーを提供している。有名なティピカのなかで、ぜひ飲みたいのが皮を付けたまま20〜30日間ほど天日干しして作るサンドライコーヒー「冠軍日曬咖啡」。しっかりとコクがあるため、十分に満足できる飲みごたえだ。日本でも高級品種として知られる「ゲイシャ」も3年前から栽培をスタート。今年の分は売り切ってしまったそうで、来年初めからは飲める予定。

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自家焙煎中のオーナー、郭さん。市内コンテストでは何年も続けて賞を受賞。

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コンテストで受賞したティピカのサンドライコーヒー。フルーティーでしっかりした飲みごたえ。「冠軍日曬咖啡」300元、自家製焼きブリュレ「法式烤布蕾」100元

崁頭山咖啡館
Kantoushan Kafei Guan


台南市東山區南勢里大洋14號2樓 
tel:06-686-3588
営)10時~19時
不定休
カード不可
www.facebook.com/donsancoffee
アクセス:台鉄台南駅から北方面の列車に乗り、新營駅下車。黄7番、仙公廟行きで仙公廟バス停下車。そこから徒歩で約3分。タクシーでは新營駅から約40分
<東山へのアクセス>
台鉄台南駅からタクシーで約1時間30分。片道約1,500元かかるが、行きにくいためチャーターがおすすめ。8時間で約4,000元

●1台湾元*=約3円(2019年6月現在) *以下、略称「元」で表記。
●日本から電話をかける場合、台湾の国番号886の後、市外局番の0を取ってダイヤル。台湾内では掲載表記どおりにダイヤルしてください。
●地図内の「站」は鉄道の駅を意味します。
●クレジットカードは略記。Ⓐ=AMEX、Ⓓ=DINERS、Ⓙ=JCB、Ⓜ=MASTER、Ⓥ=VISA
●掲載店の営業時間、定休日、商品や料理の価格などは、取材時から変更になる可能性もあります。特に台湾の祝日や年末年始、2月の旧正月には、営業時間、定休日が変更になる可能性があります。ご了承ください。

※『フィガロジャポン』2019年8月号より抜粋

photos : SATOKO IMAZU, réalisation : MIO YAMAZAKI, coordination : YUKO IWATA, collaboration : KATSUHIKO OKUNISHI (TIL space Co., Ltd)

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