Culture 連載

きょうもシネマ日和

最高に可愛くて、輝かしい生命!
4人の赤ちゃんのドキュメンタリー

きょうもシネマ日和

120507mic1.jpg (c)2010 Chez Wam/Thomas Balmes

みなさん、今年のGWはいかがお過ごし(だった)でしょうか?
私は先日、大好きなご夫妻のホームパーティへ。カメラマンの旦那さん&画家の奥さまなだけに、周りはアーティストや業界の方々でいっぱい。そして、そんな彼らのチビちゃん(=こども達)が走り回り・・・笑。とっても賑やかで楽しいひとときでした。それに、奥さんのお腹の中には第2子がすくすくと育っていて、まんまるのお腹を見ていたら、何だかそれだけで幸せな気持ちに。

そういえば、5月5日は子どもの日なんですよね。

というわけで、最高に可愛い赤ちゃんムービーを今日はご紹介します。
タイトルは『ベイビーズ〜いのちのちから〜』
本作は、同じ時代に生まれ、国も性別も違う4人の赤ちゃんの1年間(=立ち上がるまで)を追ったドキュメンタリーです。

120507mic2.jpg (c)2010 Chez Wam/Thomas Balmes

★ストーリー

主人公は、2009年4月にこの世に誕生した4人の赤ちゃん。1人目は、アメリカのハティちゃん。サンフランシスコ近郊、オークランドで生まれた女の子。最初は人見知りだけど、5分もすればすぐに社交的に、そしてとっても好奇心旺盛。
2人目は、アフリカ・ナミビア北西部に住む少数民族ヒンバ族のポニジャオちゃん。家族構成は、母・アレレルアと父・ビンデレ、10人の子供たち、そして牛とヤギ。家族への愛着が強く、おとなしくて、踊りが大好き。
3人目のモンゴル生まれ、バヤルジャルガルちゃんは、お兄ちゃんが大好きだけれど、そのお兄ちゃんにちょっかいをかけられ、よく泣いている。一緒に暮らす牛と羊と猫も家族同然。ちょっぴり繊細、それでいて意欲的。
4人目の東京育ちのマリちゃんは、共にファッション業界で働く母・セイコと父・フミトの一人娘。連れていってもらったおもちゃ屋さんでは目がキラキラに。チャーミングな笑顔で元気いっぱい。でも時には大泣きしてしまうことも・・・。
そんな彼らをカメラは1年間追い続け、ひとり、ひとりが自分ひとりで立ち上がれる姿まで追う。

120507mic3.jpg (c)2010 Chez Wam/Thomas Balmes

★ナレーション、字幕のないドキュメンタリーが大ヒット

本作は、ナレーションも字幕も一切ない(素敵サウンドはあり)。字幕があったとすれば、最初に赤ちゃんが生まれた国の名前だけだったかと思う。それなのに、約1時間20分。まったく飽きることがない。飽きるどころか、それぞれの国の赤ちゃんの育て方の違いに、おおいに驚かされ、何度も笑わされ、時々ほろりとさせられてしまう。

そんな本作は本国アメリカで公開されるや、ドキュメンタリーとしては極めて異例の初登場トップ10入りを果たし、ハリウッド作をおしのけての大ヒットとなっている。

120507mic4.jpg (c)2010 Chez Wam/Thomas Balmes

★国によって違う、それぞれの赤ちゃん環境

見どころのひとつとしては、国による赤ちゃんの育て方の違い。まず、ナミビアやモンゴルの赤ちゃんはオムツをしていない(驚愕!)。特にナミビアの赤ちゃんなんて、すっぽんぽんのまま土の上に座っているし、その横に犬も一緒に寝ていて赤ちゃんの顔をペロペロなめたり、お母さんは赤ちゃんの頭に泥を塗っていたり(←ヒンバ族の風習なのだそう)、もはやカルチャーショック。悲しいかな日本人の私は「え、衛生面は大丈夫なの??」と心配でしょうがない。が、そんな私の心配をよそに、赤ちゃんはすくすく育っていた。一方、モンゴルの赤ちゃんは、オムツなしで布で下半身ぐるぐる巻かれ、お母さんは母乳を赤ちゃんの顔にふきかけて洗ってあげていたり、赤ちゃんが入っているお風呂(桶)にヤギがやってきて水を飲み始めたり、もう自由すぎる(笑)!

アメリカや日本の赤ちゃんは、想定内(笑)。ベビーカーに乗せられて、赤ちゃんと両親のワークショップにお出かけしたりと"ザ・物質主義な社会"で家族の愛に包まれて育っていく様子が描かれている。

そこには、どちらが良いとか悪いのジャッジメントはなく、世界各地でドキュメンタリーを制作してきたトマス・バルメス監督監督のまなざしは公平だ。

120507mic5.jpg (c)2010 Chez Wam/Thomas Balmes

★監督の想い

ただ、彼はこう語る。「本作は4人の赤ちゃんが育っていく所を、ナレーションもセリフもなく対比させることで、私たちに考えることの余地を沢山残してくれます。(中略)私が是非、問いたかったことの一つには、欧米諸国による物質主義への環境への依存と、ナミビアやモンゴルの家族がこの物質主義の環境の欠如について一体どのくらい体感しているのだろう、ということでした。」


一見、ただただ可愛くてユーモラスで、ピースフルな映像も違った目線を持つと、世界が取り巻く社会の現実が見えてくる。ナミビアのお母さんが映画出演を決めたのは、「映画に出ればお医者さまに診てもらえるとのことだったから。」だという。そのおかげでヤギを売らなくてすみ、出演料は息子の為にとっておくのだとか。

★さいごに

そんな、見方によって受け取り方も様々な本ドキュメンタリー、ラストが近づくにつれ、赤ちゃんたちが自力で立つ姿を見たときには、じーん(涙)。すでに生まれたての映像から見ていて感情移入しているだけに、世紀の瞬間を一緒に立ち会えたような気がして、思わず涙ぐんでしまう私。(もはや親戚のおばちゃん気分)。ただ泣いておっばいを飲んでいた赤ちゃんが、自分の足で立って両親に笑顔を向けている瞬間の、なんと生命の輝かしいことよ。

たった1時間20分の間だけれど、そこにはとてつもないエネルギーと愛がつまっていた。

もうすぐパパやママになる方々(男性もぜひ!)、赤ちゃんが欲しいけど子育てが心配な方、子ども好きだけど出産願望のない方にだって、おすすめしたい。
そして、ちょっとお疲れ気味の方にも。ベイビー達の笑顔と奇想天外な行動に、かなり癒されます(笑)

『ベイビーズ-いのちのちから-』
●監督/トマス・メルバス
●配給/エスパース・サロウ
●79分
●2010年、フランス映画
2012年5月5日(土)、新宿ピカデリー(03・5367・1144)ほか全国ロードショー
http://www.babies-movie.net
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