医師に聞く、"オーダーメイド睡眠"のすすめ。【後編】
Beauty 2018.03.09
最近、よく眠れていますか?
"良い睡眠"は年齢や体質、生活スタイルによって人それぞれ異なるといわれます。いまの自分に必要な睡眠を知り、自分のためにオーダーメイドで眠りをつくるという感覚を持つことが、ライフスタイルの質を高める鍵に。前編では睡眠の専門医である白濱龍太郎先生に、その実践方法のヒントを伺いました。後編では睡眠専門クリニックの活用方法についてもお聞きします。
Q:睡眠にも老化はあるのでしょうか?

あります。簡単に言うと、年を取ると眠りが浅くなり、連続的に眠れなくなる傾向があります。それは眠りに関するホルモンであるメラトニンの働きが落ちてくるから。多くの人は、ちょうど定年を迎える60歳前後からその変化が訪れるので、自分の睡眠が変わってきたなと感じたら生活を睡眠パターンに合わせるようにしてください。昼寝を取り入れて調整することもできます。
© Tara Moore/cultura/amanaimages
Q:前編で教えていただいた方法を試しても睡眠の質が改善しない場合など、クリニックを受診したほうがいいなという目安を教えてください。

不眠は慢性化してくると、自力では治せなくなる場合があります。眠れない状態が1カ月続いたら、病院で受診してください。あとは、いびきがひどい人は睡眠時無呼吸症候群が考えられますし、寝ている間に叫んだり激しく動いている人は睡眠時行動障害、脚が不快で眠れない人はムズムズ脚症候群といった可能性もあるので、寝ている間に明らかにおかしい症状がある場合は、すぐに専門施設を受診したほうがいいです。
Q:クリニックではどんな診療が行われるのですか?

まずは平日と休日の睡眠時間、日中の眠気などについてアンケートシートに答えていただいたあとに、それを踏まえて看護師との面談を行います。眠気ひとつ取っても、10代の頃からのものなのか、最近のものなのか。貧血はないか、喫煙歴はないか、患者さんがご自身で意識していなくても、不眠の原因となっていることはたくさんあるので、それらの情報を洗い出して治療の方針を決めていきます。
Q:自分では問題だと感じていないことも、実は睡眠に影響しているというパターンもありそうですね。

ある高校生が「寝付きが悪くなり、朝起きられない」と言って来院したことがありました。話を聞いてみると、コンビニエンスストアでアルバイトを始めて、夜まで明るいライトの中で働き、帰宅してから携帯電話を見るという生活を続けていたことが原因でした。本人は、周りのみんなも同じようなことをしているから特に問題だとは思っていなかったようで。薬を使わなくても、睡眠日誌を付けて、生活習慣を改めるだけで治る人もいます。いびきなどわかりやすい症状がある人は泊りがけでの精密検査をしていただくこともありますが、それらも健康保険適用の範囲です。
Q:専門医の力を借りた、客観的なアプローチも上手に活用したいです。

これまで"長生きする理想の睡眠時間"とか"睡眠のゴールデンタイム"とか、さまざまなことが言われてきましたが、それらはあくまでもデータであり、目標値にすぎません。睡眠は基本的にはオーダーメイド。その人の性別やライフスタイルによって違うはずのものです。専門施設については、日本睡眠学会が認定している医師や医療機関を公式サイトでも見られます。認定施設では睡眠に特化した診察が行われますし、さまざまな悩みにも対応していますので、通いやすいところを探してみてください。
http://jssr.jp/

白濱龍太郎先生
リズム新横浜 睡眠・呼吸メディカルクリニック院長。医学博士・日本睡眠学会認定医。
筑波大学医学群医学類卒業後、東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院等での睡眠障害専門外来、呼吸器内科専門外来の臨床など、豊富な経験を生かした診療を行う。また、経済産業省海外支援プログラムに参加し、途上国の医師への教育や医療のシステムの構築を行うなど、幅広く活動。近著に『1万人を治療した睡眠の名医が教える 誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)がある。
http://www.resm.info/