寒いとなぜ脂質の高い食事が食べたくなるの?

Beauty 2020.01.11

寒い季節の到来とともに、私たちは脂肪分や糖質の高いリッチな食事を好み、心身を満たそうとする。それはなぜなのだろうか?

200108-pourquoi-a-t-on-envie-de-manger-gras-quand-il-fait-froid-.jpg寒いとなぜ脂質の高い食事を欲するのか? photo : Getty Images

私たちがふと感じるこの疑問は、こんな理由からだ。秋の始め頃から自然光は6時間未満となり、太陽の光も減り、気温が下がる。すると、タラのブロッコリーソース添えよりも、ラクレットのような濃厚な食事が食べたくなる。昼食や夕食時にたびたびカロリーが高めのソースが欲しくなり、脂質の高い食事を摂ることで満足感を得やすくなる。

生活慣習と生理学

それでは身体の中で何が起こっているのだろうか? たくさんの変化が起こったとしても、特に病気を抱えていないかぎりは深刻に捉える必要はない。習慣という観点で食事を振り返ってみよう。「自分の暮らす国や地域の生活慣習を考慮すべきです。パリでは冬の期間中、手に入りやすい果物や野菜が少なくなります」とパリ病院の内科医・内分泌専門医のピエール・ナイス博士は言う。また、純粋に生理的な理由から、コンフォート・フード(幸福感を与える食物)を欲することもある。

寒い時期には、身体はより多くのエネルギーを消費する。熱産生と呼ばれ、より多くのカロリーを消費して、寒さに直面した際に体温を調節する。これが、一部の人々が春や夏よりも空腹を感じる理由だ。「私たちの身体の中にはいくつかの古い反射神経がいまだに残っています。寒さを乗り切るためには、過剰な厚着を避けて、適度な薄着を心がけたほうが食欲を抑えることにも繋がります」と、栄養士で心理学者でもあるエミリー・ガレルは述べる。

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自然光の減少

私たちの食欲は自然光によって整えられる。つまり、寒い季節になって自然光が減少すると、ホルモンの変化が引き起こされ、食生活にも変化が起こる可能性があるのだ。

「日照量が少ないとビタミンDの合成が少なくなり、中肉中背や慢性的に太り気味の人は体重が増加傾向になることがわかっています。また、セロトニンとドーパミンの調節にも影響があります。ホルモンバランスを整え、活力の湧く肉や豆類を積極的に取り入れましょう」とナイス博士は言う。

日照時間が減り、湿度が下がり、寒くなる……こういった気候条件も食事のメニューを決めるのに影響する。私たちがエネルギッシュでいるために必要ないわゆる「ホメオスタシス」が乱れていると、身体に脂肪分や糖質が蓄積されやすくなり、心理状態にも影響を及ぼす。

「私たちは、寒い時には自分自身のためによりよいことをしたいと思う傾向が非常に強く、その際のいちばんの報酬は食べ物です」とフランス国立保健医学研究機構(Inserm)の研究者であり、Institute of the Brain and Spinal Cord(ICM:脳と脊髄を研究する機関)に勤務するライアン・シュミッツは述べる。

確かに冬の間、食事がニンジンのハーブソテーではごちそうとはいえない。「私たちは気分よく毎日を生きるため、そして士気を上げるための食べ物を自然と求めているのです。そしてその多くは炭水化物です」と栄養士で心理学者でもあるエミリー・ガレルは付け加える。

タンパク質を忘れずに摂取

甘いものや脂質の高いコンフォート・フードについつい手を伸ばしていると、冬の間に必ず体重が増えるのだろうか? 冬に身体を定期的に動かし、食事量に気を使っていれば、そうなるとはかぎらない。「脂質が高い食事や甘いものの問題点は、タンパク質が欠如している点にあります。タンパク質は健康であるための基礎的な栄養です」とエミリー・ガレルは強調する。

体重維持に重要なのは、食べすぎには注意すること、そして食事の際、動物性もしくは植物性タンパク質を意識的に摂取することだ。

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texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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