ディオール ビューティの新ミューズ ジゼル・ブンチェン、私らしく生きるということ。

Beauty 2020.02.20

行動派のエコロジスト、慈善家として知られ、健康的なハッピーライフの象徴でもあるジゼル・ブンチェン。彼女は、40歳を目前にしてディオールのスキンケアライン「カプチュール トータル」の新ミューズに就任した。自然を愛するジゼルと今回のコラボレーション、自分らしい生き方について、独占インタビューをお届けする。

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スキンケアはすべてパルファン・クリスチャン・ディオールのプロダクトにて。カプチュール トータル セル ENGY スーパーセラムと同 クリームを使用。ジャケット(参考商品)/ディオール(クリスチャン ディオール)

ジゼル・ブンチェンが単なるエコブームに乗っているだけ、と非難する人などいないだろう。ジゼルはブラジル南部の小さな村、オリゾンティナで生まれ育ち、幼い頃から自然とともに生きてきた。

国連の環境計画親善大使、河川の浄化を目指すクリーンウォーター・プロジェクトの設立者であり、ハーバード医科大学の国際環境市民賞を受賞、瞑想やヨガ、オーガニックフード、そしてポジティブシンキングにも熱心に取り組む。そういった活動が現在の彼女の価値観とぴったり合っているせいか、そのトップモデルとしての華々しい経歴まで忘れてしまいそうになる。

20年もの間、彼女のチャーミングなそばかすや、完璧なボディを持つモデルとしての存在は、有名デザイナーやフォトグラファーの間で争奪戦となっていた。プロのビジネスウーマンでもあるジゼルはスマートにお金を稼ぎ、成功を手にした。15年間、フォーブス誌の「世界で最も稼ぐモデル」のランキングで常にトップを飾っていた(2016年には3050万ユーロ)。17年、彼女はランウェイから引退しケンダル・ジェンナーにその座を譲った。

チャリティとエコロジー活動にひときわ熱心に取り組むジゼルは、仕事選びにもこだわっている。パルファン・クリスチャン・ディオールが84%以上を天然由来成分で作ったカプチュール トータルの新ミューズをオファーした時、彼女は一瞬もためらわなかった。彼女の人物像を深く映し出す選択だったからだ。エシカルビューティを体現し、アメリカンフットボールの有名選手トム・ブレイディの妻であり、ふたりの子ども—ベンジャミン10歳とヴィヴィアン7歳—を持つ美しきジゼル・ブンチェン以外にふさわしいミューズはいなかった。ジゼルが目指す“グリーン”な生活、その色はムッシュ ディオールが最も愛した色のひとつでもある。

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ジャケット、ショーツ(ともに参考商品)/ ディオール(クリスチャン ディオール)

もしあなたが大都会で生まれていたら、自然との関わり方は違っていたでしょうか?

そう思うわ! 私たちは環境にものすごく左右されるから……。私は南ブラジルの小さな村に生まれたことをとても感謝しているの。裸足で駆け回り、果物が食べたいと思ったら木に登って採ることができた。スーパーマーケットに食料を買いに行くことなんてなかったわ。欲しい作物が自分の庭になくても、隣の家の庭にはあったから。幼い頃にこういった自然との関わりを体験できたのは、素晴らしい贈り物。早い時期から、万物が成熟していく長いプロセスを実際に目にし、理解することができた。いま私にとって重要なのは、自然と人々を繋ぐ手助けをすること。自然から切り離された状態は、ある意味、自分自身も分断されているということ。田舎へ行くと深く呼吸ができるようになるし、ストレスも軽減する。なぜだと思う? 自然には高いバイブレーションがあって、私たちにエネルギーを与えてくれるからよ。

—普段はどのようにセルフケアをしていますか?

大体5時半~6時頃、家族が目覚める前、つまり夫、子ども、犬の世話をする前に起きて、まずココナッツオイルでうがいをする。アーユルヴェーダで古くから用いられているケアは歯と歯茎を洗浄し、解毒してくれる。それからキャンドルに火を灯して、ヨガのロータスポーズで最低でも5分間は瞑想。元気が出てくる気がするの。みんなが起きてくる頃には気分が良くなり、ポジティブなエネルギーに満たされている。愛する人たちにもっと何かを与えたいと思ったら、まず自分のことを考えるべきよ。それから常温の水をグラス1杯、約250㎖にレモンを半分搾って飲む。消化器官を浄化する良い方法よ。最後にアボカドトーストかグリーンジュースをいただくわ。

美容に関してお母さまから教えられたことはありますか?

母は6人の娘の世話をしなくてはならなかったから……。わかるでしょ? 銀行に勤めていた母はとても仕事がハードだった。自身の日々のケアをする時間なんて本当になかったの。でもまったく気にしてなかったわね。すごくナチュラルで、顔に保湿クリームを塗り、マスカラを少しつけるだけ。母はいま70歳だけど、驚くほど肌がきれいなのよ。

女系家族の中で育ったそうですね。

母はまず、自分に責任を持つこと、互いに支え合い、尊重し合うことを教えてくれた。一人ひとり違う人間であるということを、そのまま受け入れるべきだと。母親というのは子どもにとって最初の、そして最良の鑑となる人。そういったことを教えてくれた母に心から感謝しているわ。

著書『Lessons : My Path to a Meaningful Life』の中で、あなたは20年間、私の姿には声がなかった。ほかの多くの女性がそうであったように」と語っています。現在のあなたには声がありますか?

確かにそうね。モデルというのは声を持たない女優のようなもの。すごくゴージャスな女やクールな女、ファムファタルなど、いろいろな人物を演じないといけないけれど、それはデザイナーやフォトグラファーが望むイメージにすぎない。会ったことのない多くの人は、私がそういう人だと思ってしまうかもしれないけれど違うわ。それに年齢もある。私はもうすぐ40歳になるけれど、前より自信がついたし、もっと弱さを他人に見せてもいいと思えるようになった。現在はあるがままの私、私自身の価値観を見てもらえるようになったわ。カプチュール トータルのミューズをオファーしてくれたディオールがその例。このスキンケアは私の価値観、私自身と深い部分で一致していた。これだけラグジュアリーなハイブランドが環境に配慮した製品を作る決断をしたということがとてもうれしい。カプチュール トータルのプロモーションフィルムの中の私は、実生活の私そのもの。もう演じる必要はない、ただ私自身でいればいい。解放された気分よ!

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2020年1月に日本でも発売がスタートした「カプチュール トータル」は幹細胞研究の成果と、サステイナブルな哲学に基づいて植物の恵みを生かしたディオールの新スキンケアライン。ミューズに抜擢されたジゼル・ブンチェンは、現代女性が目指すべき、ナチュラルで健やかな美しさの体現者でもある。シャツ(参考商品)/ディオール(クリスチャン ディオール)

—あなたのインスタグラムで「私たちは暮らし方、消費の仕方を見直し、習慣を変えなくてはならない。手遅れになる前に」という投稿を読みました。具体的にはどうしたらよいと考えていますか?

3つのルールを守ってほしいの。子どもたちにもそう教えている。“リデュース・リユース・リサイクル”。たとえばペットボトルの水のかわりに浄水器を使うことで、自然と海を汚染するゴミを減らすことができる。家では常に子どもたちに問いかけるようにしているわ。「いくつのおもちゃが必要なの? 新しいおもちゃが本当に必要?」と。どんな時もそうやって問い直してみるべき。子どもはよく理解している。ケニアで訪れた象の赤ちゃんのための養護施設の写真を見せてから、10歳の息子は誕生日におもちゃを欲しがらなくなった。密猟者たちが象牙を獲るために母親象を殺し、孤児になってしまった象の赤ちゃんを見て悲しんだ息子は、彼の友だちに、自分の誕生日プレゼントはいらないから、代わりにこの財団に寄付をしてほしいと頼んだの。翌年は鯨の保護のために同じことをお願いしていた。小さい頃から本当に大切なことを教え、彼らの善き手本になるのは重要なこと。言葉と行動が違っていたら、もとも子もないから。

ー家庭では、どのように実践しているのですか?

まずペットボトルは使わない。みんな自分の水筒を持っている。庭もあるわ。子どもたちはイチゴが食べたくなったら、旬の季節まで待たなくてはならないし、実が成熟する時間を大事にしないといけないとわかるようになった。実が生り、味わう日がより楽しみになったわ! そして、いちばん重要なのは「何に喜びを感じるか?」ということ。私にとっての喜びは、たくさんのものを所有することではなく、この上なく貴重な何かを慈しむこと。それは真の友だちであり、インスピレーションを与え、愛し、最高の自分でいられるよう助けてくれる人々。人生の終わりにバッグや靴をいくつ買ったかなんて覚えてると思う? 答えはノー。でも親しい人と交わした会話や、家族と過ごした時間、子どもたちのことは覚えているはず。生活の質は、人間関係の質に左右されるのよ。

Profile : 
Gisele BÜNDCHEN
1980年7月20日、ブラジルのリオグランデ・ド・スル州生まれ。14歳でモデルとしてスカウトされ、数々のメゾンの広告、ランウェイなどで活躍。その後モデル業を引退し、2009年にはNFLのアメリカンフットボール選手トム・ブレイディと結婚、現在は2児の母親。
●問い合わせ先:
パルファン・クリスチャン・ディオール tel:03-3239-0618
クリスチャン ディオール 0120-02-1947(フリーダイヤル)
www.dior.com

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※『フィガロジャポン』2020年4月号より抜粋

photos : NINO MUÑOZ pour CHRISTIAN DIOR PARFUMS, interview et texte : MARIE-NOELLE DEMAY (Madame Figaro)

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