それ、腰痛の原因かも・・・。脚を組むのをやめよう!

Beauty 2021.08.11

ついやってしまう ? あるいは『氷の微笑』のシャロン・ストーンのように、話し相手を面くらわせるために意図的にする場合も? いずれにせよ、座っているときに脚を組むのは腰椎に最も負担がかかる姿勢だ。哲学者、運動療法士、姿勢矯正医、人間工学者が徹底解説。負担を軽減する方法をアドバイスする。

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どうしてついつい脚を組んでしまうのだろう? photo:Getty Images

脚を組んで座るのと、小学生のように足をそろえて座るのでは印象が違う、という声もある。ただし、脚を組むとシルエットがすらりと見えるかもしれないが、人間工学的に見ると決していい姿勢ではない。しかし誰もが脚を組んで座っている。映画館でも、仕事場でも、ソファでも、交通機関でも、テラスでも......。

いつも同じ脚を組むにせよ、交互に組み替えるにせよ、座ったらいつか必ず脚を組んでしまう。そしてもはや意識せずに脚を組んでいる場合がほとんど。これには訳がある。さっそく説明しよう。

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悪い姿勢への反応

脚を組むのは第一に身体的反応だ。より正確に言うと、姿勢に問題があると、反射的に脚を組む。原因は? 運動療法医でヨガ講師のベルナデット・ドゥ・ガスケ(1)によれば、大抵の場合、椅子が高すぎるせい。

「膝が腰より低い位置にあると、背中を反らせなければなりません」とドゥ・ガスケは言う。「この姿勢を続けていると、腹筋が引っ張られ、ペリネ(骨盤底筋)に圧力がかかり、呼吸がしづらくなり、腰が痛くなる。私たちは本能的に片方の脚をもう一方の脚の上に乗せて、膝が腰より高い位置に来るようにし、背中が反らないようにしているのです」。女性の方が背中を反らしがちなため、脚を組むのも女性に多く見られるとガスケは指摘する。

脚を組むのはまた、単純に姿勢を変えるためでもある。特に何時間も椅子に座っている場合。「身体は静止した状態を保つのが苦手です」と人間工学者で姿勢矯正医のオリヴィエ・ジラール(2)は言う。「身体は動きを必要としますが、不安定な状態は好みません。しばらく静止した状態でいると、身体は“椅子から立ち上がらずに動くにはどうしたらいいだろうか”と考え、その結果、脚を組むというわけです」。なるほど。

状況によっては、純粋に快適だからという理由で脚を組む場合もある。「革張りの肘掛け椅子などの滑りやすい椅子では、背もたれに背をつけた姿勢で座ると、骨盤が前方にすべります。片脚をもう片方の脚に乗せると、椅子に身体が沈み込み(体重が片方の尻にかかるため)、安定性が得られます」とジラールは解説する。

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無意識の表現

身体的な説明以外に、ほかにも見落としがちな理由がある。私たちは子どもの頃から脚を組むのが習慣になっている、と話すのは、身体の哲学を専門とするパリ=デカルト大学教授ベルナール・アンドリユー(3)。「とくに女性の場合、“きちんと座りなさい、あまり身体を人に見せるものではない”とよく注意されます。女性の膝は閉じておくもの、女性は脚を開くべきではないというのは、昔からの慣習です。したがって膝を閉じて座ることは、恥じらいや、慎み深さ、他者に対する非挑戦的姿勢の表現となります。ある意味で、親密な部分や性、プライベートに関する事柄へのアクセスを遮断するということです」

逆説的だが、脚を組む姿勢にはエロチックな誘惑のオーラも漂う。1992年に公開された映画『氷の微笑』のシャロン・ストーンの有名な取調べシーンを覚えているだろう。「腿を見せ、身体のシルエットを強調する。脚を組み替えて色仕掛けをするのは、たとえば官能小説においては古典的なテーマです」と哲学者は言う。

 

『氷の微笑』1992年

 

この身体的動作は対話相手へのメッセージにもなる。腕組みと同様に、脚を組むのもボディランゲージのひとつ。「これらの身振りは無意識に行われ、身体と精神が必ずしも独立したものではないことを証明しています」というのは、エクス=マルセイユ大学運動科学研究所教授ジャン=ジャック・テンプラドだ。「姿勢や身振りはつまるところ、私たちの表向きの顔です」。状況によって「逃避や期待といった感情」など、さまざまな解釈ができると言うのは哲学者のアンドリユー。「あるいは防衛や“閉じこもり”を表すこともあります」

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身体にはよくない

とはいうものの(空気が重くなるのを承知の上で言うが)、やはりこの姿勢は身体にはよくない。「血流を妨げるだけでなく、坐骨神経を圧迫し、背骨の下方にあるビーナスのえくぼ付近に痛みが生じる原因になります」と運動療法医のドゥ・ガスケは強調する。

第2の問題は、頻繁に脚を組んだり、とくにいつも同じ側の脚を上にして組むことで、身体のバランスがつねに崩れた状態になる。「やがて骨盤が歪み、上に組む脚のほうが長く感じられるようになります」。もちろん背中も曲がる。「だらしない姿勢や、バランスの悪い姿勢で座っていると、ヘルニアが起こりやすくなります」と人間工学者のジラールは付け加える。

後々がっかりしないために、専門家は問題を根本的に解決すること、つまりできるだけ身体を起こすことが重要と訴える。「普段、力学的な必要からではなく習慣から座ってやっていることを、立って行うようにしてみるといいでしょう。マネージャーなら、着席でなく、立って会議をすることを提案するのもいいですね」。

座った姿勢で骨盤が安定するように、椅子の高さを調節するのも重要だ。「酷使した筋肉をほぐすために、日中にリラックスするためのエクササイズを行うのもいいでしょう」とジラール。背中が反って脚を組んでしまうのを避けるためには、デスクの下にフットレストを置いて、膝が腰よりやや高い位置に来るようにするといいとドゥ・ガスケはアドバイスする。

(1)Bernadette de Gasquet著『Pour en finir avec le mal de dos』Albin Michel出版刊。
(2)Olivier Girard著『Plein le dos!』Favre出版刊。
(3)Bernard Andrieu著『Apprends le langage du corps』Mimésis出版刊。

text:Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr)

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