季節の変わり目の身体の変化にまつわるウソ、ホント。
Beauty 2021.10.08
春はデトックス療法が必要、秋や冬には憂うつな気分や疲労感が襲ってくる……。季節の変わり目に身体に起こる変化について、専門家たちがその真偽を解き明かす。
季節の変わり目には、否応なく疲れてしまうのだろうか? photo : Getty Images
春になったらタンポポを使った療法で肝臓の調子を整えられる、という説がある。また冬が近づくと、私たちのやる気は落ちていき、3カ月後の春の太陽とともに再上昇するともいわれている。これらの説は本当なのだろうか? 時間生物学者、栄養士、皮膚科医、自然療法士が、季節の変わり目にまつわる紋切型の考えについて、嘘か本当かふるいにかける。
1. 季節の変わり目に季節性うつ病はつきものだ
嘘。 不可避なものではない。フランス人の4~6%が罹患しているといわれる季節性うつ病は、明るさが低下することにより秋から冬にかけてのみ発症する。体内時計、特に覚醒と睡眠のサイクルは、日照によって支配されている。「日が短くなると、脳はメラトニンを長時間分泌します。いわゆる“睡眠ホルモン”に長時間さらされることが、季節性うつ病の説明になるかもしれません」と語るのは、時間生物学者で、パリ市立工業物理化学高等専門大学教授のアンドレ・クラルスフェルド。その結果、悲しみ、不安、疲労……などが起こる。
秋と冬は落ち込みの代名詞となりえる一方で春と夏は上機嫌の代名詞だ。「光が覚醒と睡眠の良いリズムを作り出し、活動的な気分になります。青と緑はポジティブな気分にしてくれる効果があり、また新しい物が棚に並んぶことで、冬のルーティーンから抜け出せます」と精神科医であり、『上機嫌の四季』(1)の著者であるミシェル・ルジョワイユーは説明する。
しかし、現代では季節とその変わり目は見えにくいものになっている、とアンドレ・クラルスフェルドは指摘する。「人工光は主な内分泌かく乱化学物質であり、夜間の光の存在は知らないうちに私たちの生体を乱しているのです」と時間生物学者は警告している。
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2. 身体が疲れる
本当。暖かい季節になると身体がだるくなることがあるが、これは単にリズムが変わるからだ。「季節の変わり目には、生活リズム夜食生活の変化に順応しなければならず、身体にストレスが生じます。」と自然療法士のオリヴィエ・パニッセは説明する。
またアンドレ・クラルスフェルドは、「移り変わりはとても穏やかで、1日数分ずつの変化ですから身体が混乱するようなことはありませ」と語るのはアンドレ・クラルスフェルド。「時間の変化については、それぞれのクロノタイプに沿うものです。朝型の人は夏のあいだ日が長くなるので疲れやすくなります。夜型の人は、冬になると少し調子が悪くなります」
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3. よく眠れなくなる
本当。寒い季節の訪れでも暖かい春の訪れでも、日照時間の変化は体内時計に影響を与え、その結果、睡眠にも影響する。「私たちのいつものリズムにずれが生じます。良質な睡眠のためには、より早い時間に眠るなどし体内時計を調整する必要があります」と、栄養士で『マインド・ダイエット 脳のための世界一の食餌療法』(2)の著者であるラファエル・グルマンはアドバイスする。
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4. デトックス療法が必要
本当だが嘘でもある。 季節の変わり目のデトックスについては、いろいろな意見がある。ラファエル・グルマンによれば、冬の間に蓄積された毒素による疲労感を避けるために、野菜ジュースやスープで1週間デトックス療法をし、動物性タンパク質は控えるべきであるとのこと。またグルマンによると、液体状のものだけを口にするデトックスは2日以上続けてはいけないという。
過度な制限療法はしないよう忠告するはオリヴィエ・パニッセ。「1週間ジュースを飲むという療法は疲労を増加させます。バランスのよい食事をしつつ、火を通した野菜を多めに食べるよう心掛けるべきです」
さらに管理栄養士のフロランス・フーコーは、旬のものを摂るようアドバイスする。「冬が過ぎ、身体が疲れている時は、春の訪れとともに旬の果物と野菜だけを摂りましょう。食べ過ぎないように気をつけて」と強調する。
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5. 食生活を変えなければならない
本当。「野菜は旬のものを、といわれるのには理由があるのです。冬には寒さに耐えられるよう炭水化物を多く含む根菜類、春には腎臓の機能を活発にし余分なものを排出するようアーティチョークやアスパラガスがおすすめです」とオリヴィエ・パニッセからのアドバイス。
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6. 栄養補助食品を摂る必要がある
断言はできない。サプリメントの問題は、専門家のあいだでも意見が分かれる。オリヴィエ・パニッセは、冬にはビタミンD、春にはマグネシウムを摂るよう勧めている。
フロランス・フーコーは、セルフメディケーションはしないように忠告しており「私たちは体系的に食品のサプリメントを摂取したりはしないのです。いろいろなものをバランスよく食べていれば、サプリメントを摂る必要はないのです」と主張する。
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7. 抜け毛が増える
本当。光や気温の変化によって、秋の訪れから春にかけて抜け毛が増える。この症状は「季節性脱毛症」と呼ばれ、女性に多くみられる。「個人差があって、変化に気づかない人もいるし、気づきやすい人もいます」と説明するのは、皮膚科医で『健康な肌』(3)の著者ニナ・ルーだ。しかし専門家によると、過度の抜け毛には注意が必要だとのこと。「抜け毛があまりにも早く進行し、長期間続く場合は、医師の診察を受けてください」と忠告している。
(1) Michel Lejoyeux著、『Les 4 saisons de la bonne humeur』、JC Lattès出版
(2) Anne Dufour, Raphaël Gruman et Carole Garnier著、『Le Régime Mind, Le meilleur régime du monde pour le cerveau』、Leduc.s出版
(3) Nina Roos著『Une peau en pleine forme』、Solar出版
text : Sevin Rey(madame.lefigaro.fr)